良いニュースなのか悪いニュースなのか、さっぱり分からないのが外交に関するニュースだと分かってはおります。しかし、この歯切れの悪い産経の記事はどうしたものでしょうか。
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北方領土、露世論調査 4島返還51%賛成 中国を警戒、「対日改善」増加か (産経新聞) - goo ニュース
2005年 6月25日 (土) 03:04
【モスクワ=内藤泰朗】北方四島の日本への返還を過半数の回答者が支持するというロシアの世論調査結果がこのほど発表された。プーチン・ロシア大統領の十一月訪日に向け、領土返還反対論が高まっているとされる中、意外ともいえる調査結果は、同国の対日世論が揺れており、一筋縄では行かない難しさを示している。
調査は今月、民間の国際社会学研究センターがモスクワやサンクトペテルブルクを含むロシア全土四十地域で三千二百人を対象に実施した。
それによると、北方四島を引き渡すべきだと回答したのは51%で、一九五六年の日ソ共同宣言に基づく歯舞、色丹二島のみの引き渡し支持が6%だった。領土返還反対は24%だった。また、共同保有が5%、国連信託統治が4%、日本への長期貸与が3%だった。
同センターのカザコワ所長は「二〇〇一年に行った同様の調査では、まったく逆の結果が出ており、ショックを受けている」としたうえで、国境画定に伴い一部領土の中国への割譲が今春決まり、中国の影響力増大への警戒感が、領土問題を解決して対日関係改善を図ろうという声の増加につながっているのではないかと分析した。
一方、別の民間世論調査機関「レバダ・センター」が昨年十一月実施した調査では、「二島の引き渡し」にも87%が「反対」と回答し、今回とは正反対の結果となった。同センターのレバダ所長は、国際社会学研究センターの今回の調査結果について「あり得ない」と懐疑心を抱く。
ただ、これらの世論調査結果が、民族愛国主義を掲げ、メディア操作を行うプーチン政権下で、どの程度実態を反映しているかは不明だ。
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この記事の見出しを思い出してください。「北方領土、露世論調査 4島返還51%賛成 中国を警戒、「対日改善」増加か 」でありますぞ。ロシア国民が北方領土4島を完全返還する気になったのかと思うではありませんか。
ところが、同時にこの記事は、87%の国民が反対しているという別の調査結果を紹介しているのであります!そのうえに、「これらの世論調査結果が、民族愛国主義を掲げ、メディア操作を行うプーチン政権下で、どの程度実態を反映しているかは不明だ」とも。
読者はどちらの調査結果を信頼すればよいのでしょう。その判定を放棄しては、無責任と言うしかありません。
産経が北方領土返還を日本国民の世論に纏め上げようとしている努力は大いに買いますが、これでは日本国民に混乱を与えるだけな気がします。
これに比べれば、読売の書き方はリーズナブルです。まず見出しで余計な期待を持たさせません。
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北方4島返還に賛成51%、別の調査では反対多数…露 (読売新聞) - goo ニュース
2005年 6月24日 (金) 00:16
【モスクワ=古本朗】年内に予定されるプーチン・ロシア大統領訪日で主要議題となる北方領土問題を巡り、露世論調査機関「国際社会学研究センター」は、露国民の過半数が北方4島返還に賛成――とする意外な最新調査結果を発表した。
国内では大多数が返還反対との分析が一般的で、今回の調査結果は露世論の読みにくさを示すものだ。
調査は今月、モスクワ、サンクトペテルブルクなど全国40地域の計3200人を対象に実施。回答者の51%が北方4島を「すべて日本に引き渡すべきだ」と答え、6%が1956年の日ソ共同宣言に基づく歯舞、色丹2島のみの引き渡しを支持、一切の領土返還に反対する回答は24%だった。
社会学者ミハイル・タルーシン氏は、「素朴で外交問題に無関心な社会層」は、「小さな島の帰属など、広大なロシアには取るに足りない問題」と単純な認識を抱く傾向があり、今回のような結果も実は意外でない、との見方を示した。
他方、最も権威ある世論調査機関「レバダ・センター」による昨年11月の調査では、歯舞、色丹「2島の引き渡し」でさえ、圧倒多数の87%が「反対」と回答し、今回の「国際社会学研究センター」のデータと明瞭(めいりょう)な対比を示している。
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ゴウ先生としては、読売の分析を的を得たものだと判断します。ミハイル・タルーシンなる社会学者の見方が普通だと思うのです。
ともあれ、ロシアに北方領土4島を完全返還させることは日本国民の悲願であります。であるからこそ、マスコミは正確な情報と解釈を伝えて欲しいと願わずにいられません。好きな新聞であるからこそ、産経に苦言を呈しました。
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北方領土、露世論調査 4島返還51%賛成 中国を警戒、「対日改善」増加か (産経新聞) - goo ニュース
2005年 6月25日 (土) 03:04
【モスクワ=内藤泰朗】北方四島の日本への返還を過半数の回答者が支持するというロシアの世論調査結果がこのほど発表された。プーチン・ロシア大統領の十一月訪日に向け、領土返還反対論が高まっているとされる中、意外ともいえる調査結果は、同国の対日世論が揺れており、一筋縄では行かない難しさを示している。
調査は今月、民間の国際社会学研究センターがモスクワやサンクトペテルブルクを含むロシア全土四十地域で三千二百人を対象に実施した。
それによると、北方四島を引き渡すべきだと回答したのは51%で、一九五六年の日ソ共同宣言に基づく歯舞、色丹二島のみの引き渡し支持が6%だった。領土返還反対は24%だった。また、共同保有が5%、国連信託統治が4%、日本への長期貸与が3%だった。
同センターのカザコワ所長は「二〇〇一年に行った同様の調査では、まったく逆の結果が出ており、ショックを受けている」としたうえで、国境画定に伴い一部領土の中国への割譲が今春決まり、中国の影響力増大への警戒感が、領土問題を解決して対日関係改善を図ろうという声の増加につながっているのではないかと分析した。
一方、別の民間世論調査機関「レバダ・センター」が昨年十一月実施した調査では、「二島の引き渡し」にも87%が「反対」と回答し、今回とは正反対の結果となった。同センターのレバダ所長は、国際社会学研究センターの今回の調査結果について「あり得ない」と懐疑心を抱く。
ただ、これらの世論調査結果が、民族愛国主義を掲げ、メディア操作を行うプーチン政権下で、どの程度実態を反映しているかは不明だ。
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この記事の見出しを思い出してください。「北方領土、露世論調査 4島返還51%賛成 中国を警戒、「対日改善」増加か 」でありますぞ。ロシア国民が北方領土4島を完全返還する気になったのかと思うではありませんか。
ところが、同時にこの記事は、87%の国民が反対しているという別の調査結果を紹介しているのであります!そのうえに、「これらの世論調査結果が、民族愛国主義を掲げ、メディア操作を行うプーチン政権下で、どの程度実態を反映しているかは不明だ」とも。
読者はどちらの調査結果を信頼すればよいのでしょう。その判定を放棄しては、無責任と言うしかありません。
産経が北方領土返還を日本国民の世論に纏め上げようとしている努力は大いに買いますが、これでは日本国民に混乱を与えるだけな気がします。
これに比べれば、読売の書き方はリーズナブルです。まず見出しで余計な期待を持たさせません。
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北方4島返還に賛成51%、別の調査では反対多数…露 (読売新聞) - goo ニュース
2005年 6月24日 (金) 00:16
【モスクワ=古本朗】年内に予定されるプーチン・ロシア大統領訪日で主要議題となる北方領土問題を巡り、露世論調査機関「国際社会学研究センター」は、露国民の過半数が北方4島返還に賛成――とする意外な最新調査結果を発表した。
国内では大多数が返還反対との分析が一般的で、今回の調査結果は露世論の読みにくさを示すものだ。
調査は今月、モスクワ、サンクトペテルブルクなど全国40地域の計3200人を対象に実施。回答者の51%が北方4島を「すべて日本に引き渡すべきだ」と答え、6%が1956年の日ソ共同宣言に基づく歯舞、色丹2島のみの引き渡しを支持、一切の領土返還に反対する回答は24%だった。
社会学者ミハイル・タルーシン氏は、「素朴で外交問題に無関心な社会層」は、「小さな島の帰属など、広大なロシアには取るに足りない問題」と単純な認識を抱く傾向があり、今回のような結果も実は意外でない、との見方を示した。
他方、最も権威ある世論調査機関「レバダ・センター」による昨年11月の調査では、歯舞、色丹「2島の引き渡し」でさえ、圧倒多数の87%が「反対」と回答し、今回の「国際社会学研究センター」のデータと明瞭(めいりょう)な対比を示している。
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ゴウ先生としては、読売の分析を的を得たものだと判断します。ミハイル・タルーシンなる社会学者の見方が普通だと思うのです。
ともあれ、ロシアに北方領土4島を完全返還させることは日本国民の悲願であります。であるからこそ、マスコミは正確な情報と解釈を伝えて欲しいと願わずにいられません。好きな新聞であるからこそ、産経に苦言を呈しました。