2020年東京五輪・パラリンピックに向け、「飲食店は原則禁煙」などの受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案をめぐり、賛否が真っ二つに分かれている。厚生労働省は各種データを基に「禁煙にしても売り上げに影響はないか、むしろ増える」と主張するが、飲食業界を中心に経営悪化への懸念は消えていない。

 厚労省は昨年10月、病院や官公庁などは敷地内または建物内禁煙、飲食店などは喫煙室の設置可能な原則建物内禁煙とした案を公表。今年に入り法案の概要を自民党部会に示したが、「小規模店に配慮が必要」「非現実的だ」など、出席議員の意見は「反対が9割」(渡嘉敷奈緒美部会長)を占めた。

 これを受け同省は、30平方メートル以下のバーやスナックは例外とするなどの修正案をまとめた。今月1日の公表時には、アルゼンチンのサンタフェ州では規制後もバーやレストランの売り上げは減少せず米カリフォルニア州などではむしろ増加したとする調査結果を提示。国内でも自主的に禁煙とした店の95%で売り上げが変わらなかったとする愛知県の調査などを挙げ、必ずしも減収につながらないことを強調した。

 それでも、外食産業約800社が加盟する日本フードサービス協会は、「30平方メートル以下の店なんてほとんどない。海外の数字が日本に当てはまるか分からない」(担当者)と話し、自主的取り組みへの支援を求める立場を変えない。より小規模業者が多い全国生活衛生同業組合中央会も、一律の規制に反対の署名活動を続ける。

 一方、各種の世論調査では厚労省案への賛成が半数を超えており、打開策が見えない中で「世論だけが頼り」(厚労省幹部)というのが実情。厚労省は法案を今国会に提出する方針だが、先行きは不透明だ。 

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まずもって、「タバコを吸わせないと、客が来ない」という飲食店側の発想が、わかりません。「タバコが嫌いだから、喫煙可能な店には行かない」という日本人が7割以上なのに。禁煙化したほうが、客足が伸びるに決まっています。この法案に反対する店は「喫煙可能」以外に「売り」がないのでしょうか。

そもそも、この法案は受動喫煙被害をなくて、健康を高めるためのもの。飲食店側も、従業員の受動喫煙被害がなくなるし、灰皿の片づけ、火の始末をしなくてすんで、よいことばかりではないですか。

こんな状態なのに、政治家はタバコ権益と一部の業界に加担して、その9割までもが受動喫煙被害防止法案を骨抜きにしようとする。タバコを吸わない8割以上の国民をバカにした、許せない行為です。

公共屋内の全面禁煙化。ラグビーW杯、東京五輪を前にして、世界公約としても、日本は実施せねばなりません。