JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「戀愛の責任」

2022-11-19 | 映画(DVD)
「東宝の90年 モダンと革新の映画史(2)」

「戀愛の責任」1936年 P.C.L. 監督:村山知義 35mm

日本の前衛芸術運動の旗手であり、絵画や小説に演劇の演出など、多方面で活躍した村山知義が、新興P.C.L.の期待を背負って監督デビューした作品。亡き父の残した負債のために財産を差し押さえられた姉妹は、行く手に待つ禍を乗り越えて新しい恋に目覚める。村山はテンポの速い台詞廻しや、カットごとのキャメラアングルに才気溢れる工夫を凝らし、男性への隷属から解放されたモダンな女性像を提示した。

古い日本映画では未知の美人女優に期待するもそこはハズレ
タイプの違う姉妹(細川ちか子・堤真佐子)の男に隷属しない破天荒な行動にすっかり恋してしまう男供の構図楽しい初期和製スクリューボールで、狭いアパートでやけに俯瞰ショット使うのがオモシロい。



当時の広告、前衛芸術運動の旗手・村山知義自身の文章による引用が興味深い。



「最近戀愛に関する議論がしきりに行はれる。それには二つの原因が考へられる。一つは職業婦人が増加し、その報酬は殆ど獨立の生活が出來ぬ程でありながら結婚とは兩立せず、しかも二人の生活を支え得るだけの収入を男もまた保證し得ない。しかし兎も角も一定の収入のあると云ふことは女を意識的にも感情的にもこれまでのやうな男への従属関係から解き放つ、こゝにこれまでと異なつた女の側に於ける結婚から切り離された戀愛の可能な地盤が成立し色々な新しいシチュエーションの戀愛が起こつて來るのである。しかもこの戀愛行動の結果は、従来のやうな結婚観、貞操観から見れば不利なものを生み出すばかりである。こうして女達はこの矛盾を解決する爲の新しい戀愛論と結婚論を要求するのである。女が年若くから職業戦線に立ち、またその職業の確保が困難なことから生じる「不可避的な處女喪失」を理論的にカバーしたいと云ふ要求も亦この範疇に入れてよいだらう。」(以下略)昭和十一年六月十八日・東京朝日新聞掲載村山知義執筆(戀愛と文学)より

当時から長い年月をかけ近年女性の地位の向上は上がっては来ているが牛歩の如き速度であり、日本は読み書き能力、初等教育(小学校)、出生率の分野での男女平等は世界1位を誇りながらジェンダーギャップ指数世界120位という現状。まあ、ここ最近の動静を見ていると我ら世代が引退して加速度は上がるとは思うのだけれどね。

映画から逸れたね。



国立映画アーカイブ
2022年10月


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