函館港イルミナシオン映画祭 会期中広報「イルプレ」

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若い人

2009年12月05日 | Weblog
今年のオープニングを飾ったのは、函館初ロケ作品の「若い人」(一九三七年)です。

舞台はミッション・スクール(遺愛女学院)。
男性教師・間崎を間に挟んでの女子生徒・恵子と女性教師・橋本の微妙な関係が描かれていました。

自由奔放な恵子に手を焼きつつも、決して彼女を見はなさない間崎。そんな間崎になつく恵子。一方、それが気に食わない橋本。

印象的だったのは、対象的に描かれた恵子と橋本の性格です。
自由奔放な性格で思春期ならではの瑞々しさをもった恵子は、父親を持たないことにコンプレックスを持ち、行き場のない思いを間崎や母親にぶつけます。
一方、橋本は理屈っぽい性格で、なかなか恵子のように自分の気持ちを素直に表現することができません。
もしかしたら、橋本は心のどこかで恵子に憧れていたのかも知れません。

恵子と橋本に挟まれて戸惑う間崎ですが、間崎の気持ちは結局はっきりしないまま映画はエンディングを迎えます。
そのエンディングのあっけなさに、幕が下りた後の場内はしばしどよめきに包まれました。

上映後に、映画をご覧になったあがた森魚さんからコメントがありました。
「男女の描かれ方が、今の私たちから見ればモヤっとしている。しかし、この時代(昭和一二年)だからこそ撮れた映画だと思う。今このような映画を撮ろうと思っても撮れない」

"時代とともに人間の描かれ方も変わる"ということを実感した映画でした。

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