函館港イルミナシオン映画祭 会期中広報「イルプレ」

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生きる痛みと叫び ~ ジーナK

2005年12月06日 | 2005
「朝からこんなのをかけていいのか不安だったんですが・・・。」
 藤江監督の最初の言葉に会場は拍手で応えた。
 伝説のストリッパー・カトリーヌ(石田えりさんメチャクチャ綺麗で格好いい!)とその娘,ジーナKことかやの(SHUUBIの歌声は心に疵を付ける)の葛藤と彼女らを取り巻く人々のひりひりと痛むような「生」の物語。
「生きる」ことを伝えたかったという藤江監督,悲劇的過ぎないかという声に
「どんな状況でも這いつくばっても生きていくというのを描きたかった。癒しが流行っているけど癒しなんて本当はなくて,一生懸命生きようという人間に初めて幸せな時間があるんじゃないかと思う。」
 女たちは強くたくましく,弱くて情けない男たちを愛する。どんなに痛めつけられても泣き言も恨み言も言わない。
 「なんでこうなるんやろね。」ninaのその言葉は諦めに似ている。でも,それは「仕方ない,ここからまた始めよう。」という決意。どんなにつらくても立ち上がる彼女らに与えられたラストシーンは痛いけれども,暖かな希望の光が見えた。
 舞台となり,また多くのアーティストを輩出する博多の街を藤江監督はリバプールになぞらえてあえて「辺境」と呼ぶ。そこには,うなされる熱のような何かがある。本作も企画後行き詰まっていたものが博多の街を歩き,博多弁で脚本を書き始めたら進んでいったという。 
 ところで,クライマックスのジーナとカトリーヌの母娘対決のシーン撮りの日は,奇しくもSHUUBIの誕生日,おまけに撮影衣装もその日にあがってきて,彼女のウキウキした気分がカメラに映ってしまう。そんなとき石田えりさんから「こんなちゃらちゃらした主役の映画で裸になるほど落ちぶれたと思われたくないのよね。」と一喝。(その後撮られたシーンは映画で御確認ください。)場の空気を変えるベテランの計算し尽くされた一言に映画撮影現場の醍醐味を感じたというエピソードも披露してくれた。(陽子)


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