函館港イルミナシオン映画祭 会期中広報「イルプレ」

函館港イルミナシオン映画祭開催期間中情報をリアルにお届けする「イルプレ」です。

おと・な・り

2009年12月06日 | Weblog
映画祭3日目のクロージング作品を飾ったのは、「おと・な・り」でした。

本作は2004年函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞長編部門佳作を受賞した、まなべゆきこさん作「A/PART」を改題して映画化した作品です。この作品は、生活音が筒抜けしているアパートで隣同士に住んでいる男女が、いつしか互いの音に癒され、惹かれあっていく物語です。

上映後のトークショーでは、ゲストとして監督の熊澤尚人さんと脚本担当のまなべゆきこさんが会場に来て下さいました。熊澤さんは「映画の中の二人の男女が生活音を聞いて互いを想像したように、お客さんに想像をしてもらう映画がつくりたかった。」と、おっしゃっていました。その強い気持ちが最後のエンディングによく表れていたのだと思います。

まなべさんは「映画化を目指してシナリオ大賞に応募したこの作品が、数多くの書き直しを経てついに映画化を果たし、この函館の地に帰ってきて上映できたことがとても嬉しい。」と、おっしゃっていました。

この映画は、普段何気なく聞いている音が自分にとってとても愛しい音であることを気付かせてくれる心暖まる作品だと思いました。

子ぎつねヘレン

2009年12月06日 | Weblog
まちづくりセンターの十字街シアターでは、『子ぎつねヘレン』、『十字街ショートフィルム・セレクション&かわなかセレクション』が上映され、シンポジウム「来年より始まる〝ショートムービーコンペ〞への期待と希望」が行われました。残すはクロージング上映の『遭難フリーター』となっています。


目と耳が不自由なヘレンを救うために奮闘する八歳の太一。院長に「ヘレンにとって何が幸せだと思う?」と問われ、一生懸命考える姿が印象的でした。「ヘレンと僕は似てるから。ヘレンには母親が必要なんだ」母親のいない寂しさを知る太一は、自分がヘレンの母親になることを決心します。サリバン先生を真似て、水やミルクを触らせる太一の姿には微笑ましいものがありました。また、映写機を使用した今回の上映にはデジタルにはない味わいがありました。

あがた森魚ややデラックス

2009年12月06日 | Weblog
続いては『あがた森魚ややデラックス』です。

上映前に竹藤佳世監督とあがた森魚さんの舞台挨拶がありました。竹藤監督は北海道でのロケが多かったので、北海道の方に特に見ていただきたいとおっしゃっていました。

あがたさんは北島三郎の「函館の女」を歌ってくださいました。あがたさんの六〇年集大成が感じられる作品でした。

非女子図鑑

2009年12月06日 | Weblog
続いては「非女子図鑑です。

この映画ではオープニングを含む七人の非女子がちょっと変わった個性を持ちつつも、自分らしく生きている様子を描いた作品です。それぞれのショートムービーごとにアクションやコメディなどの要素が盛り込まれていて、会場のお客さんたちは迫力の映像に圧倒されたり、笑い声をあげたりと終始楽しんでいる様子でした。上映後のトークショーでは、「混浴heaven」で主演をされていた女優の江口のりこさんが温泉に入っての撮影についての苦労話について懐かしそうに語っていました。

感想としては、テンポの良いストーリー展開に思わず驚いたり笑ったりしました
が、今どきの女子たちの楽しく生きている様子に元気をもらうことができたと思います。

キューポラのある街

2009年12月06日 | Weblog
本日のメイン会場である函館山山頂クレモナホールでは、『キューポラのある街』、『非女子図鑑』、『あがた森魚ややデラックス』が上映され、残すはクロージング上映である、『おと・な・り』となっています。
 
『キューポラのある街』。高度経済成長期を背景に少女ジュンを中心として様々な人の心の葛藤や成長、当時の暮らしがリアルに描かれています。
 
上映後の寺脇さん、植草さんの解説中に、映画の舞台である川口市に住むあがた森魚さんからもお話を聞くことができました。「あの時代の人が生きていたということをすごく感じる。だからこそこの映画が好き。六十年代の川口市の姿そのままが切り取られているように思う。」ということ。地域と映画が結びつくことの意義のひとつには、地域の歴史そのものや、その歴史のなかで生きた人々の姿を、映画を通して感じることができるということでないだろうかと考えさせられました。

あんにょん由美香

2009年12月06日 | Weblog
最後に上映されたのは、『あんにょん由美香』。

林由美香の過去に迫る松江監督の熱い情熱が伝わるドキュメンタリーでした。
監督と共に『東京の人妻純子』の確信に迫っていく体感型の作品であり、由美香の魅力が見ていたお客様全員に伝わっていたと思います。

韓国と日本の橋渡しのようなものになった林由美香の当作品が非常に印象的でした。

松江監督は放映後、韓国と日本の文化の違いにも触れ、経験談を交えながら、違う文化でのコミュニケーションの難しさなどを語っていただきました。

シンポジウム・1

2009年12月06日 | Weblog
次に行われたのはシンポジウムです。

「中央から離れた豊かさ」をテーマに、地方で映画を創るということ、そして映画祭・映画製作は何を還元することができるのかということについて、五人のパネリストの方々が語り合いました。

不景気の現在、映画を含む文化は資金の面で真っ先に標的となります。そのような状況でも、地方で映画を創り続ける理由について、「映画は人の心を豊かにる」、「将来無くなってしまうかも知れない街並を映像に残すことができる」、「地方の視点から地方を撮ることができる」というような意見が聞こえました。

0からのRE-スタート

2009年12月06日 | Weblog
次は赤平市民によって作られた『0からのRE―スタート』です。

財政難は赤平市市民の活気だけではなく、伝統の祭りである「火祭り」まで奪ってしまおうとしていた。
失ってはいけない伝統を守っていこうとする赤平の若者達が立ち上がり、祭りを自分達の手で作っていこうとする物語。

地域の一大事を映画にすることによって町おこしに挑戦する姿がそこにはありました。
地域が一丸となり作り上げた本映画は、完成度が高く、若者達が頑張っている姿に心打たれるシーンがたくさんありました。

映画を作ることによって地域のつながりと地域の力を再確認することが出来たと語る岩木監督と出演者の方々の表情は、赤平を思いやる力であふれていました。

ショートフィルム・マシンガン

2009年12月06日 | Weblog
十字街ホールでの最初の作品は『十字街ショートフィルム・マシンガン北海道選抜』という若手のオムニバス作品でした。

○『RED JACK』
はこだて未来大学の作品です。同じ大学生が作ったとは思えないほど、カメラワークや音響が効果的でした。

○『その音が聞こえたら』
教育大学函館校の作品。肝試しをした大学生が幽霊にとりつかれていきます。自
然な演技が印象的でした。

○『軽い十字架』
職の無い男。精神的に壊れてしまった女。二人の日常。
窓をバックにやわらかい光を受ける女の姿が頭に残りました。
どこまでも暗く、重い作品でした。
上映後、對馬考哉監督は「人間の本来の人格はどこにあるのかということを考えた結果、神話の世界に辿り着いた。模索しながら作り上げた。人間はそもそも暗くて気持ち悪い生き物。そういうものをつめこんだ」と語りました。

○『シーナ』
一八歳のシーナシーナをカメラが追います。
池田学監督曰く、「即興性と美意識にこだわった」とのことでした。