函館港イルミナシオン映画祭 会期中広報「イルプレ」

函館港イルミナシオン映画祭開催期間中情報をリアルにお届けする「イルプレ」です。

危うし?!MASK DE 41!!

2004年12月11日 | 2004
 41歳厄年のプロレスマニア男の情けなくも熱い第二の青春(?)を描いた本作。
 2001年の制作から3年,協力団体FMWの解散,映画会社の分裂,出演者の負傷,病没など相次ぐ不運に見舞われた厄年映画が上映されるはずのイルミナシオン映画祭最終日,函館は折からの低気圧の直撃を受け,10年目にして初めてロープウェイの運行中止という最も恐れていた事態が発生!
 朝イチのプログラム上映のため,急遽お客様を別会場へピストン輸送するも今度は用意した映写機がぽしゃってしまった!
 今日のスケジュールはどうなる?
 ロープウェイは動くのか?
 
 結局,従来会場にて1時間20分遅れでプログラムはスタートしたものの,この遅れをどうやって取り戻すかが大問題。ロープウェイの終了時刻は決まっているので,このままではいずれかのプログラムをカットすることもあり得る。それって,それってもしかして?・・・危うし!MASK DE 41!!
 しかし,ここにもまた熱い男たちがいた(笑)。休憩時間をやりくりし何とかスケジュールを組み直そうとするスタッフ,上映のためならロープウェイの最終便を延すと言ってくれた函館山ロープウェイの方etc。
 かくして,ここに我々は,MASK DE 41 の勇姿を目にするに至ったのである(拍手~)。

 大幅な上映時間変更にもかかわらず,会場は,MASK DE 41を,村本天志監督を,女優筒井真理子さんを待ちわびていたお客様で一杯!みなさん,ありがとうございました。
 上映の後は,お待ちかねのトークタイムです!!

 -早速ですが,映画にまつわるエピソードなど・・・。

村本:FMWの解散やら何しろトラブル続きの映画だったので,今回映画祭で上映が決まって嬉しかったのですが,今日は「やっぱり駄目か・・・」と(会場遠慮がちに笑)。でも,今となっては,皆が元気に生きていた記録が残せたと思って,これを撮れてよかったと思ってます。

筒井:周りに濃い人が多くて(爆笑)埋もれてしまうかもと心配でした。これは中年のファンタジー映画。家族が壊れてゆくので少しずつやつれていくようにし,服も崩してったんですが分かりました?楽しくて,ダメダメだけど愛せる人たちなので,それを感じてもらえれば。

 -監督,初長編映画はいかがでしたか?

村本:これまで仕事はCMメインで,長編は初めてだったので,映画のシステムや人間関係など分からない事が多くて苦労しました。
今となっては何でこんなこと(笑)したか分からないです。もともと東海地域のCMだったんですが,主演の田口さんと,これを映画化できたらと話してて「20kgでかくなってほしい」と言ったら「いいよ」と。で,映画化が実現したんです。役者さんって一度は肉体改造をやってみたいようですよ。

 -肉体改造といえば,あの生卵を飲むシーンも凄かったです。

村本:プロテインと生卵をミキサーに掛けてね。不味いんだよね。一気飲みしてくれたんだけど・・・。

筒井:蒼○優ちゃんが吹きだしちゃって,もう一回撮り直したんですよね(会場驚愕)。

村本:映画「ロッキー」が好きで,ロッキーは卵4個飲むんですよ。だからそれよりも多くってことで,5個にしたんです。で,撮り直したんだけど,勢いが違うってことで,使ったのは1回目のほう。田口さんは2度も不味いの飲んだのに。(会場爆笑!)

 -最後に一言ずつお願いします。

村本:次は,笑って泣ける青春映画を撮りたいです。

筒井:今回の2作(「愛してよ」と本作)は全くテイストが違うけれど,映画はどれもクランクインから公開まで本当に大変な作業です。そこで仕事ができるのは幸せです。

 観た人誰もが元気になれるビタミン剤(栄養ドリンク?)みたいなこの映画,いろいろあったけど無事上映することができて本当に良かったと思うと同時に,一つ一つの映画が持つ「力」と「運命」のようなものを感じずにはいられませんでした。


  >>おまけ<<

その1:村本監督はアニメが好き?!
 打上げ会場で村本監督を発見!隣に陣取って,いろいろおしゃべりさせていただいてるうちに,アニメの話で盛り上がる。
「映画関係の人ってジ○リ作品とか余り見ないみたいで。」
「え,そんなモンですか?」
「向かいの人に聞いてみたら?」
 -寄った勢いでお二人ほど捕まえて聞いてみるも,色よい返事なし・・・。
「やっぱり・・・」
「でしょ?」
「ちなみに何がお好きですか?」
「やっぱり『トトロ』,あと『ラピュタ』なんかも。」
「実は私『トトロ』は見てないんです。『紅豚』とかジブリじゃないけど『カリ城』好きだなぁ。」
「子供と一緒に観てて,子供が笑う所ってすごいヒントになるんですよ。単純にこけると笑ったりするし。」
「なるほど~」・・・とアニメ話題が続いていく。

その2:村本監督,食玩は箱買い?!
 アニメから,いつしか話題はフィギュアに移っていた。
「かなり持ってますよ,フィギュア好きだし。」
「私がよく行く飲み屋さんも棚にフィギュアが一杯ですよ。私はたまに食玩買うくらいだけど。」
「懐かしグリコは全シリーズ揃ってますよ。」
「えっ!!やっぱり箱買いしちゃうんですか?」
「箱買いもします。」
「箱買いすると,全種類入ってるものなんですか?(ワクワク)」
「それがね,箱買い対策で全種類は入ってないんですよ。」
「なんで~!イジワル。」・・・ダブってるものも多数あるとか。グリコの秋刀魚と七輪,覚えてたら送ってください。

その3:村本監督は,柿の種派?!
 監督と私の目の前に置かれた柿ピーの入った皿。ふと気付くとピーナツだらけに・・・。
「監督,ピーナツ嫌いですか?」
「いや,嫌いじゃないけど,ほら,これきっと袋の下のほうだったんだよ。ピーナツは重いからたくさん入ったんじゃない?(といいつつ柿の種を食べる)」
「私,ピーナツ好きの人と柿ピー食べるとちょうどいいんですよね。柿の種好きだから。」
「(ひっそりと)あ,隣の人,ピーナツ好きかもしれないよ。」
「(隣の皿をのぞく)本当,柿の種ばっかり。あ,またピーナツ食べてる!」
 かくして隣の席の人がトイレに入った間に,こっそり皿を取り替えてしまいました。ごめんなさい。でも,ピーナツ増えててきっと嬉しかったですよね?!(陽子) 


松田美由紀さん&御法川監督 大胆にコラボ!

2004年12月08日 | 2004
御法川修監督が2本のフィルムを持って函館に乗り込んできました。もはや伝説と化している松田優作という人物を、永瀬正敏、寺島進、太田光のフィルターを通して映し出すトリビュートフィルム。なぜ今、松田優作なのか。この世を去って16年になる今も、若者たちは松田優作という男をなぜ追い求めるのか。その一端が見えた気がした一作。
永瀬正敏さんの言葉と言葉の隙間から立ち上る紫煙。友達にでも話すかのような語り口で、けれど時折鋭い眼光で圧倒的な存在感を与える寺島進さんのザラリとした空気、そして「え、この人が松田優作さんとどんなかかわりが?」な太田光さんの横顔。時折差し込まれるそれぞれのアップ。モノクロの世界に松田優作が浮かび上がる。彼らの言葉のなかに存在する松田優作。誰にも何処にも帰属しない松田優作が、それぞれの形で甦る。

もう一作は松田美由紀さん主演の『世界はときどき美しい』。40代を目前にしたヌードモデルが、何気ない日常をさまよいながら手を伸ばした先の美しい緑。松田美由紀さんの凛とした演技が印象的。詩が挿し込まれた写真集をめくっているような感覚。言葉が沁みる。私も幼い頃、鏡を見て泣いたことがあったっけ…などと記憶の波にゆらゆらと漂いつつ映像の雰囲気に飲み込まていく。

上映終了後、御法川修監督と松田美由紀さんにインタビュー。

---どんな経緯で作られた作品なのですか?>松田優作トリビュート

松田…松田優作13回忌の展覧会の展示映像として製作されたものです。松田優作を語るためではなく、懐古することでもなく、現在進行形の松田優作を知ってもらうためです。

---優作さんを直接は知らない監督を起用した理由は?

松田…俳優の伝記よりも、1人の人間がどんなことを変えたか、そういうことを描きたかった。そのためには同世代の監督ではなく、優作を全く知らない世代で、客観的に捉えられる方が必要だと思ったからです。優作が亡くなって16年。彼を知らない若い世代の方々がいまもなお優作を求めてくれている。監督がどう触れるのか見てみたかったのです。

---『世界はときどき~』のことを聞かせてください。

御法川…僕は『エレファントソング』という映画の助監督をやっていて、そこでの松田さんを見て凄い人だと思い、それで美由紀さんと仕事がしたいと思うようになりました。世の中ではよく若くて無垢なものが美しいといわれますけど、この作品では熟成した感情を盛り込みたいと思いました。映画やテレビでは見せない松田さんの表情を撮りたいと。

---『パコダテ人』とは全く別のキャラクターですね。

松田…私はばあちゃんの役でも、10歳の子役でも、演れと言われれば何でもやります。自分を出すのが役者ではなくて、幅広いものを演じるのが俳優だと思っています。人間の感情や機微を真面目に演じていければ嬉しいと思います。監督が求めてくれたものを理解して演じられたら本望だと思っています。

---最後に一言。

御法川…短編は気の利いたオチがあるもの…というような感じがありますが、もっといろんな可能性があると思います。来年は長編を撮りたいと思っています。そしてまたこの映画祭で上映してくれると嬉しいと思います。今日はありがとうございました。

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こちらこそありがとうございました!
松田さんは背筋がピンと伸び、黒を身に纏っていらっしゃいましたが、まるでカラーの花のようなすっとした印象がありました。人の目を真っ直ぐにみてお話されていて、体の芯の部分に熱いものをお持ちの方なんだろうなぁと思わずにはいられませんでした。両作品とも映像が繊細でそれでいて力強く、こういう世界を描いた御法川監督にすっかり心酔。私の脳内メモリには、今くっきりとこう刻み込まれているのです。

御法川監督恐るべし。いま一番注目したい新鋭監督。>握り拳。(み)