室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

テンテン消し日和

2009-11-28 11:43:14 | Weblog
今日もまた、小春日和で、ベランダの扉から入ってくる空気の温かいこと。
こんな日は、多少ハラの虫がモソモソ収まらない作業でも、鼻唄まじりにやれたりします。

来月(ヤバッ、もうすぐだ!)ヴィレ・ヒルトゥラ氏が来日したら一緒に演奏することになった楽譜の、テンテン消しです。

去年の来日前も、大変でしたが、今回も、譜面持ち寄りでやるに当たって、プログラムを決定するまでの“バトル”は、なかなかのものでした。そりゃあ誰だって、忙しい時に初めての曲さらうより、自分が得意な曲を入れたいでしょう? こちらは、お客様に楽しんで頂ける、変化に富んだ曲目を入れたいな・・と思ったわけですが、せっかくはるばる遠くから来日されるのだから、ここはひとつ、お譲りして・・と、気がついたら、ずいぶんと『充実』したプログラムになっておりますなー。

写真は、“デカリッシモ”の譜面で、ヴィレ氏がPDF ファイルで、せっせと送って下さったのをプリントしたのですが、とにかく、古い譜面のコピーの、コピーの、コピーの、コピーなんでしょう。テンテンが、いっぱいあって、音符じたいは、薄くて読み取りにくい小節がいくつもあって、「是非、これをやりたい」と言うヴィレ氏に対して、「残念ながら、送って下さった楽譜がとても読みにくいので、楽譜を作り直さないといけないけど、申し訳ないけど、その時間が無いので止めましょう」と言ったら、「それなら、ボクが明日の夜、作り直しをするから、そうしたらやってくれる?」という返事。

ヴィレ氏も、これからモスクワなどのツアーがあって、時間が無いことは分かっているので、そこまでおっしゃるなら仕方ありません。「それでは、無数のテンテンを消して、薄い音符は塗り直ししてコピーし直すから、いいわ」と、ついお答えしてしまいました。

確かに、音楽的には充実したプログラムになりました。
「細かい曲順は、LIVE 当日に決めましょう」と私が提案したことには同意してくれました。


見づらいと思いますが、とにかく無数のテンテンを、この修正テープで消しました。
通常、私たち、長年音楽をやって来ている者は、楽譜を丸ごと地引き網でさらうように、一瞬のうちに情報をつかもうとします。その時に、音符の右にテンがあると『付点リズム』と思ってしまうし、音符の下にあると『スタッカ-トか』と思ったり、モシャモシャとしたものが付いていると『装飾音符か』と思ったり、とにかく反応しようとしてしまうのです。

でも、大方がニセ情報と分かると、正しい情報とニセモノとを選り分けるのに、数倍の労力を要するわけで、(そんなの誰だって、見づらいものは見づらい)疲れるわけです。(説明を読まされる方も疲れる)

そこで、今日はお天気も良く、今のうちにやれば、まだ気分的に余裕があって、ニコニコとテンテン消しが出来るかな・・と思って、やりました。

この写真を撮ってじきに、この修正テープは使い終わり、最後はノック式修正ボールペンで消して、それから薄くて消えかかっている音符を補強して・・、とやっているうちに、私はいったい何曲の新譜を練習しなきゃいけなくなったのかなー?こちらも自信を持ってお薦めした曲はことごとく取り除かれてるのに気がついて、釈然としない紀文のはんぺんになって来ましたが、とにかく、「純粋に、音楽的に充実したものをやろうとしているのだから・・」と、ハラの虫をなだめました。

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