室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

11月17日は中野ゼロヘ

2008-09-22 15:56:42 | Weblog
一雨ごとに秋の気配が濃く・・と”天達さん”も言っていましたが、今朝は、涼しく、夏は終わったんだな~、とレティシア・ダネリのしっとりとした柔らかいタンゴをBGM に過ごしております。 そして、このブログの壁紙も変えてみました。少し気分を変えてみようかな・・と。

まだ少し先、と思っていましたが、気がつくと二月を切っているので、そろそろご案内をさせて頂きませう。11月17日(月)中野ゼロで、東京室内管弦楽団のコンサートがあります。40年、東室をやっていらした、岩窪ささを氏が急逝されて、早10年。私は、岩窪さんに思いがけず、目を掛けて頂いて、引き立てて頂くようになり、足りない楽器を補う編曲などのお手伝いをしているうちに、やがて「この曲は、あんたが編曲やりなさい」と次第に任されるようになった頃、62歳で逝かれました。タンゴとの出会いの機会作って下さったのも岩窪さんでした。

60歳になられた頃に「やりたいと思った事は、みんなやってしまったんだけど、何か面白い事はありませんか?」とおっしゃるようになり、「死んでもね、あまり知らせないでいて、『そういえば、あの人最近見ないと思ったら死んだんだって?良い人だったけどね』て言われるようなのがいいんですよ。」と何度かおっしゃるので「何おっしゃるんですか?まだまだ、これからじゃないですか。勘弁してくださいよ」と取り合わないでいましたが、その通りになってしまいました。

あれから10年。気がつくと、岩窪さんとご一緒していた年月より、ずっと長い時間が過ぎていました。今度の演奏会は、いわくぼメモリアルの意味合いを持つので、お好きだったコンチネンタル・タンゴをかなり多めにならべ、生前のレパートリーを中心に本来の東室らしいプログラムになっています。「こういう曲こそ、フル・オーケストラで聴きたかったのよね」と言われるのをよく聞く映画音楽や、ポピュラー音楽を沢山演奏します。

”リベルタンゴ”は、私が編曲したトリオ版を下敷きに岩窪さんがオーケストラ編曲なさった合作。”グラナダ”は、イントロ部分が「スゴい音させますよー」とおっしゃって岩窪さんがお書きになり、残りは私が任されました。しかし、マリンバをフィーチャーしたこの編曲を、岩窪さんはお聴きになることが出来ませんでした。

この10年の間に、長年常連で東室のサウンドを支えて来たメンバーも、何割か若手と交替となり、指揮者もいわくぼさんを全く知らない若い方で演奏するわけですが、岩窪さんの残された譜面から”いわくぼサウンド”がどのように継承されて行かれるか、きっと岩窪さんご自身が、一番聴きたいことでしょう。

演奏は例えば録音で残っても、時間を切り取ったものでしかないけれど、楽譜は演奏される度に生の音楽として活かされ、生き返る・・。その信念を籠めて書かれた岩窪さんの遺産を、聴いて頂きたいと思います。

中野ゼロは、かなり広めのホールで、1階席も見やすく響きも良いですが、意外に2階席がお勧めです。ステージはやや遠いですが、ムラ無く、どこの席でもホールの持つ響きを聴くことができます。

このブログを見てご一報下さって私経由で券をご購入の方、2階席に向かって手を振りましょう (ホンマか~?

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