室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

セヴラック協会例会

2007-06-18 16:21:10 | Weblog
セヴラックという、ドビュッシーと同時代のフランスの作曲家を愛好する人々の集い”セヴラック協会”の例会に行きました。

「とても素敵な大地のような香りがする」とドビュッシーが評したとおり、南フランスからピレネーにかけての風景と香りを感じさせる作風です。6年前に、舘野泉さんが作品集のCDを出されてから、セヴラックを知った方が多いと思います。権威主義からは遠いところにいて、かといってサティのようにあからさまに皮肉な反骨精神を表現するのとも違って、故郷のラングドック地方で自由に創作活動をしたという、ユニークな作曲家です。

私も、舘野さんのCDを聴くまでは、「セヴラックという名前は聞いたことがある」程度でしかありませんでしたが、聴いてみると、とても爽やか!特に、私は”セルダーニャ”の中の《二輪馬車で》が好きです。楽譜を買って弾いてみると、ジョージ・ウィンストンを連想するような箇所があったりして、従来の大作曲家とは違う、気取りの無い、マイルーム感覚の先駆けか、と思ったりもします。

昨日の例会では、ピアノ曲を6本のフルートに素敵に編曲された演奏や、舘野さんのお弟子さんの平原あゆみさんの演奏で大曲”大地の歌”、それに舘野さんの演奏もあり、盛り沢山でしたが、中でも、末吉保雄先生の《ヴェルレーヌの詩に曲をつけた3人の作曲家の聴き比べ》は、とても面白い企画でした。

ポール・ヴェルレーヌがランボーをピストルで撃って、牢獄に入れられた間に、小さな窓から見える空へ向かって「空は屋根のかなたに」と詠んだ詩に、アーン、フォーレ、セヴラックがそれぞれ曲をつけていて、バリトンの鎌田直純さんと末吉先生のピアノ伴奏で、演奏されました。この詩は、たまたま以前から知っていた(気がする)し、アーンの歌曲を合唱で歌われる知人の発音指導をお頼まれした時にも含まれていてアーンの作品は知っていたので、とても興味深く聴きました。

アーンは末吉先生の解説によると若い、十代の作品だそうで、きれいなフランス歌曲。フォーレは獄中にいるヴェルレーヌの心中に的を絞った表現。セヴラックは、ヴェルレーヌが見た窓の外に広がる景色、空気を感じさせる音楽、といった印象でした。

末吉先生といえば、お話が上手で、ソルフェージュの四声の書取りではとろけるような美しい弾き方で内声が聞こえず、苦労させらた、というのが学生時代の私の印象でしたが、相変わらず、お話も上手。ピアノ演奏は、ピアニストとは違う、作曲芸術家だなあ、と思いました。
「とても素敵な気分になれる」集いでした。

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