室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

ファンタジー・オブ・クラシック

2007-04-21 00:45:57 | Weblog
昨日、4月19日は、中野ゼロ大ホールで、東京室内管弦楽団”ファンタジー・オブ・クラシック”というコンサートがありました。
私が、もう15年もお世話になっているオーケストラです。団員オケではないけれど、レギュラーメンバーで長く来ている演奏家が多く、独自のサウンドを持っているという自負があります。普段はポップス・オーケストラ的なフレキシブルな活動が多いのですが、今回は、ロッシーニのオペラ”絹のはしご”序曲(隠れた名曲)、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」という”クラシック”のプログラムで、ピアノは出番なし・・。でも、パンフレットの曲目解説を書くという重大任務を与えられました。東室(東京室内管弦楽団の略)にとっての、いわば”定期公演”のような大事な演奏会で、私なんぞが解説を書かせて頂いたりして良いのか・・?と思ったのに、お引き受けしてしまう、わたし。 でもお陰で、改めて持っている資料をひっくり返したり、CD を新たに買ったり、インターネットで調べたり・・と資料を集め、勉強になりました。でもね、スコアの解説文、CD ジャケットの解説文も、インターネットで見つけた文章も、皆さん、的確な言葉で、上手によくまとまっているので、マネッコにならないようにするのに苦労しました。 今は、マネッコするとすぐバレるし、厳しいですから。結局、自分なりに要約したり、資料を聴いて特徴的だと思った箇所をピックアップしたり、「田園」はスコアを一通りながめて、聞き手の道しるべとして、自分なりの解釈などを書き、かなり主観的な内容になってしまいました。だから、演奏が、そういう風に聞こえなかったら”責任問題”かしら と、ちょっと心配しましたが、なかなか全体的に良い演奏でした・・と思います。
 ”絹のはしご”は弦楽器群が綺麗だったし、木管群もしなやかな繊細さが際だっていました。サン=サーンスのソリスト、韓国人のチョ・ユジンさん。若いけれど、去年会った時より、ぐっと自身に満ちて、存在感が大きくなって、素晴らしい演奏でした。サーモンピンクのドレスも、サン=サーンスも彼女によく似合っていました。アンコールでのびのびと聴かせたバッハの無伴奏ガボットも観客の印象に強く残ったと思います。
 そして「田園」では、指揮者の橘直貴氏らしい、爽やかさで始まり、気がつくと、客席全体が舞台に魅入っていました。ここまで観客の心をつかめれば、公演としては成功だな、と関係者の一人として思いました。隣の見知らぬ方が、お連れの方に「楽しそうに弾くオケだね」とおっしゃっているのが聞こえて、「そうなんです、それがこのオケの一番の特徴なんです!」と云いたかったけれど、堪えました。アンコールは故・いわくぼ氏オリジナル編曲の「タイスの瞑想曲」で、これだけは東室の十八番。
 普段、一緒の舞台で演奏している人たちを客席から、心の中で応援しながら聴くのは、なかなか面白い体験でした。



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