室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

ごほうび

2008-01-26 23:48:55 | Weblog
「わたしのーおはかのー、まーえで~、なかないでください~

昨年のミリオンセラー”千の風になって”オーケストラ伴奏の編曲をしました。
写真は、12月に他の歌手とのコンサートに載せたものを、反省点を踏まえて、今夜の東京芸術劇場での秋川雅史氏ゲストの東京室内管弦楽団公演に合わせて、多少マイナーチェンジをした”千の風になって・改訂版”スコアです。お正月に姪に「サインもらってね」と言われていたので、私としたことが・・珍しくミーハーをして、秋川雅史さんにサインを頂きました。とても快く、ニコニコしながらサインして下さいました。

秋川さんは、去年9月のミーティングでお会いした時も、芸能ズレしていない、誠実な印象を受けましたが、いつでも誰にでも感じの良い”王子様”です。 今日の本番前ゲネプロの時に「パパ~」という可愛い声が聞こえて、どうしたんだろう?と思ったら、秋川さんのお子さん達でした。”王子様”もパパだったんですね~。 ゲネプロの出番の合間に客席のお子さんの隣に座ったり、家族を大事にする子煩悩なお父さん・・という場面を見たので、「姪に頼まれまして・・」と姪をダシにして、サインをお願いしやすかったです。

”千の風~”ともう1曲、アンコールで歌われたカンツォーネの大曲”グラナダ”を編曲しました。1/13のつくばでのコンサート用の編曲が終わったあと、実質4日間で”グラナダ”と”千の風~”の手直しをするという現実を目の前にした時は、パニックの扉を開けないように、「これは”予定どおり”なのであって、分かっていた事」と自分に言って聞かせ、ひたすらヘラヘラする事を心懸けました。

当初、”千の風~”は、イントロを派手に、大々的に変えようと試みましたが、12月の時のリハーサルの録音を聴いてみて、悪くないかな・・と思い、イントロは変えず、エンディングだけ、盛り上げ系に変更しました。CDはピアノと弦楽合奏のシンセ・エフェクトという編曲で、秋川さんは、普段は殆どピアノ伴奏で活動されており、フル・オーケストラの参考になる資料は、一昨年と去年の”紅白”のみ。他のオーケストラとの協演の時も、そこで作製された譜面での演奏だそうで、定番編曲譜は無いのです。私なりに和音づけをして、自分の統一サウンドで構わないなあ・・と思うに至り、基本方針はあまり変えずに、一部、歌詞にあわせた和音に変更した他は、サウンドの補強程度の、マイナー・チェンジに決定するのに、2日かかりました。

もう1曲の”グラナダ”も、ゼロからのスタートではなく、以前すでに編曲した時のデータを元に、調性を合わせ、サイズを合わせ、シチュエーションを合わせ・・と手順は分かっていたし、ファイルも作ってありました。それでも、2日でスコア仕上げと弦楽パートの完成まで届かせるには、”予定どおり”てつや君の登場となった訳です。

演奏の仕事もあり、歯医者さんの予約や雑用をクリアしつつ、寝る時間をカットし・・間に合いました。責任を果たせました。本番前日のリハーサルまでに残りの管楽器、打楽器、ハープ、ピアノのパート譜を作っても、まだ任務は終わりません。リハーサルでも、本番当日のゲネプロでも、イメージを指揮者やコンサートマスターに伝え、秋川さんとのバランスを見て、音量を訂正したり、音符の確認質問に答えたり、走り回ります。そして、本番で自分のイメージしたサウンドが聞こえてくると、全ては報われるのです。”ごほうび”の瞬間です。









最新の画像もっと見る