室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

それぞれの涙

2010-02-27 01:00:45 | Weblog
ずっと楽しみにしていた、女子フィギュア・スケートが終わりました。

凄いドラマを見せてもらいました。

母親の急死に遭いながらも銅メダルを取ったカナダのロシェット選手。天国の入り口にいるお母さんにずっと話しかけているような様子と、その想いから特別な力が出ている事に、とても感動したし、もらい泣きしました。

キム・ヨナ選手は、金メダルなのに、決して無邪気に大得意の満面の笑みという事はなく、むしろ心中に去来するものがあるようで、演技終了直後も表彰式でも、涙で笑顔がくずれるシーンが見られました。

対照的に、浅田真央選手は、パーフェクトには出来なかった悔しさで、押さえても押さえても涙を堪えられませんでした。目標としてきた”トリプルアクセル”が全部成功したのに、あそこまで悔しさが溢れ出る、という事は、いかに高いところを目指して自分に厳しく、また自分の可能性を無邪気に信じてやってきたか・・。彼女の特異性が現れた気がしました。だからこそ、”トリプルアクセル”を成功させるところまで到達できたんだろうなー、と思いました。

表彰台の3人が、それぞれの涙を見せる、今まで見たこともないオリンピックになりました。

男女揃って、3人ずつエントリーした選手が全員入賞できて、日本のフィギュア・スケート界は世界的に高いレベルに達したと言えるでしょうが、何と言っても、浅田真央選手のずば抜けた存在が大きいでしょう。トリノで荒川さんが優勝したのも、浅田真央の登場で意識が変わった点が大きく反映していた訳で、浅田真央登場以降フィギュア・スケート界は大きく変わったとのです。

あれだけストレートに涙を流した無邪気さ、幼さとも言えるかもしれず、だからキム・ヨナ選手のような表現はできない。でも、それも彼女の個性であり、魅力だなーと思いました。



キム・ヨナ選手は完成度が高く、評価されてしかるべきだけれど、ある意味、浅田真央選手が『主役』でした。