シェルティー ラン吉

拙者シェルティーラン吉でござる ラン吉のランは「団らん」のラン 一度しかない今日もろもろをラン吉ママがしたためまする

ポチの思い出ものがたり 17

2012-07-27 12:22:30 | ポチの思い出ものがたり

2代目ポチの姿がみえなくなって、S少年は、不安にかられていても立ってもいられません

「ポチがどこかにさらわれて行ったのだとしたら、一体どうなるんだろう・・」

と考えると、この日ばかりは食事ものどをとおりません

3人の姉たちも同じように、なかなかご飯がすすみません

「もしも、ポチが犬さらいに連れて行かれたのだったら、どうしたらいいんだろう」

S少年がぼそりとつぶやくと、3人の姉たちは、せきを切ったように泣き始めました

「いやだ~、いやだ~、そんなのいやだ~!」

「迎えにいかなきゃ殺される~、早く行かなきゃ~、早く早く~!」

「どこに行けばいいの~、どこに行けばポチにあえるの~?」

 

子どもたちの泣き声は、はげしくなるばかりです

こうなっては、もはや、食事どころではありません

子どもたちが泣き叫ぶのを、両親はなんとかなだめて寝かしつけました

 

S少年もしぶしぶ布団にはいり、夢見心地でまどろみ始めました

すると、姉のひとりが突然おおきな声で、「ポチ~、ポチ~」と泣きさけび始めました

どうやら、悪夢にうなされたようです

姉たちはまた起きだしてしまい、泣きながらポチの名をよんでいます

そして、知らず知らずのうちに、みんな泣きながら寝入っていったのでした

 

翌朝、S少年が目をさますと、庭から話し声がきこえます

姉たちと、となりのお兄ちゃんの話し声です

「なあ、ゆうべは、なにかあったのか」

「あのね、ポチが犬さらいにつかまっちゃったらしいの・・・」

「えっ、あのポチが?犬さらいに?」

「・・・・」

「ほんとうか?」

「・・・・」

「証拠はあるのか?」

「・・・・」

「どうするんだ?」

「・・・・」

「ポチは殺されちゃうのか~?」

「・・・・」

 

昨夜のように、姉たちの泣き声がどんどん大きくなります

 

「よし、わかった。お兄ちゃんがポチを引き取りに行ってやろう!」

「えっ、ほんとう~?」

「ああ、ほんとうだとも。まかせておけ。今からすぐに行ってやるぞ!」

「ああ、そうしてやって、行ってやって、お願いします!お願いします!!」

「大丈夫だよ。だから、みんな安心して、ちゃんと学校に行けよ~」

 

S少年と姉たちは、不安ながらも学校に行きました

となりのお兄ちゃんに、なんとかポチを助けだしてほしい・・・

授業なんかはうわの空で、一日中ポチの身の上を案じていました