シェルティー ラン吉

拙者シェルティーラン吉でござる ラン吉のランは「団らん」のラン 一度しかない今日もろもろをラン吉ママがしたためまする

ポチの思い出ものがたり 16

2012-07-25 12:48:05 | ポチの思い出ものがたり

2代目ポチは、S少年が学校から帰ってくると、小屋につないだ鎖からはなしてもらえました

ほどなくして3人の姉たちも帰ってきて、「ポチ、ポチ」とよびながらなでまわします

 

当時の遊びといえば、鬼ごっこや缶けり、ゴム飛び、ケンケン、紙飛行機など

道具はほとんどいらないものばかりでした

でも、近所にはなかまがたくさんいて、みんな泥んこになって遊びました

家のまわりの空き地や草原を、2代目ポチも子どもたちも自由に走りぬけました

2代目ポチは、そんな子どもたちの遊びの中に、あたりまえのようにとけ込んでいました

 

二軒先の友だちの家に、ポチとおなじような雑種の犬が飼われていました

その名も「タロウ」といい、いかにも勇ましい元気いっぱいの犬でした

子どもたちは毎日のように「タロウ~、タロウ~」と追いかけます

そして、つかまえては、じゃれあってかまうのです

元気なタロウは、道にできた水たまりだって、なんのその

じゃぶじゃぶと音をたてて入って行き、からだに泥水がはねあがるのも、まるでどこ吹く風

まったくお構いなしに、平気で渡っていきました

後から聞けば、「タロウ」とは名ばかりの、正真正銘のメス犬だったとのこと

メス犬とわかっていても「タロウ」と呼んで近所中のみんなでかわいがる

当時はそんな、おおらかな時代だったのかもしれません

 

それにひきかえ、S少年一家が飼っていた2代目ポチは、まったく弱虫の犬でした

近所にいたメス犬の「タロウ」とは、性格はまるで正反対

道にできた水たまりなどは、濡れないように、できる限りの遠まわりをしてよけていました

そして、家族のだれかが呼べばもどって来られる近所にしか、遊びに行かれません

ろくに遠出も冒険もできない、まったく臆病な犬だったのです

 

そんな2代目ポチが、その日にかぎっては、呼んでも呼んでも夕方のエサの時間に帰ってきません

自分から遠くに行かれないことは、家族のだれもがわかっていました

自分から遠くに行ったのでないとしたら、だれかに連れて行かれたのでは?

 

「ひょっとして・・・」 家族の中に不安がよぎります

 

あの、救い出しに行かれなかった初代ポチ・・・

2代目ポチも、ひょっとしておなじ「野犬狩り」にさらわれたのではないか・・・