ラン吉 誕生ものがたり～ その１4

ついに、その日はやってきた

ぼくは、母さん犬と妹犬といっしょに、実家のママさんに連れられて、
例のお店にやって来ました

ぼくたち三頭が室内ドッグランで遊んでいると、
あの時の二人ずれのヒトが、お店の中に入ってくるのが見えた　

この時、実家のママさんと今のパパママは、初めて会ってご挨拶をしました

パパママは、聞いておきたいリストを片手に、あれこれとお話をききました

そして、もっと細やかなことまで、たくさん丁寧に教えていただきました

たとえば、頭の上から急にさわらないとか、太りやすいから気をつけて～　などです


「犬は、順応性のたかい動物だから、大丈夫、すぐに新しい環境になれますよ」
と言われて、初心者のパパママは少しリラックスしました 　

ヒトの話がようやく終わりました

すると、実家のママさんは、ぼくの体をなでながらじっと見つめて言いました

「今日から新しいお家で、ランちゃんになるんだよ　いい名前をつけてもらったね　
いい子にして、いっぱい可愛がってもらいなさい 」

実家のママさんは、最後にギューとぼくを抱きしめると、すっと離れていきました

そして、母さん犬と妹犬をつれると、さっさとお店を出て、帰って行ってしまいました


あっという間のことだった

気がつけば、家族はだれもいなくなってしまったじゃないか～

なんなんだ
　
一体これは、どうしたんだ～

ぼくは、わけがわからない～

なんだか、おそろしい予感がする

ぼくは、ブルブル　ブルブル　震えだした

ブルブル　ブルブル　ブルブル　ブルブル 　震えはどんどん大きくなる　

ぼくは、部屋のすみっこで震えたまま、一歩も動けなくなっていた


つづく

(写真と本文は関係ありません)

ラン吉 誕生ものがたり～ その１３

お引越しの準備をしていたある日のこと、
パソコンに向かっていたママが、突然大声をあげました　　

「ああああ～　　　これ～　　これ～　
来て～　　　来て～　　
見て～　　　見て～　　」とパパを呼んでいます　


「どうしたの　大きな声をだして　何かあったの　」

「この間、お店の店長さんにあの子の母犬のことを色々と聞いたでしょ

それをキーワードに検索してみたの

そしたら、あの子のご家族のブログがあるのを見つけたのよ　

私たちとお見合いした日のことだって、ちゃんと載ってるわ　

新しいオーナーさんが見つかりましたって、これって、私たちのことでしょう　」


ママは、もうビックリして大興奮だ　

そして、読み進むにつれて、
ぼくを産み育ててくれたご家族のことが手に取るようにわかってきた　

それまで育児書ならぬ育犬書ばかり読んでたママでしたが、もうやめました　

ぼくの実家のブログに出会ってからは、毎日そこだけに熱狂的にアクセスしていた　


そして、パパママは、あちこちのホームセンターを走りまわり、
店長さんにも品物を注文したりして、ぼくの家財道具一式の準備に奮闘しました　

聞きたいことも山ほど出てきて、書きとめるのも大変なほどです　

さあ、いよいよ、ぼくがお引越しする記念すべき日が近づいてきたぞ～　


つづく

(写真と本文は関係ありません)

ラン吉 誕生ものがたり～ その１２

「この子を育てます」って、パパはあっさり返事をしたものの、
なかなか決まらないのは、名前だった

毎日毎日明けても暮れても、パパママ飽きずに、名前談義に花が咲く～

そして、パパが名前の話題に飽きてきた頃、ママが一つの提案をしました

「犬を飼うならメス犬にウランと名づけるって、ずっとそのつもりできたのですから、
できるだけ、ちかい名前にしてみたら
たとえば、ウの字を外して、ランというのはどうかしら 」

「メスの名前みたいだけどね 」

「そうかしら　走ると書いてランと読む、っていうのだったら 」

「それならいいかもしれないね 」

パパは、名前のことでこれ以上時間をかけてもしかたないだろうと思い、賛成しました

ぼくの名前は、こうして決まりました

パパ　「それにしても、普通のご家庭で犬を誕生させるお宅があるんだなあ～ 」

ママ
「本当ね　 すごいわね　
子犬をさがす先といえば、お店かブリーダーさんしか思い浮かびませんでしたからね 」

ぼくのお引越しまで二週間

だんだんと、その日が近づいてきます


つづく

(写真と本文は関係ありません)

(お待たせしました　写真アップ再開です)

ラン吉 誕生ものがたり～ その１１

家に帰って、ママはパパに聞きました　
「どうして、あの子を飼うことに決めたのですか」

パパの返事
「我々のような初心者が、ちいさな赤ちゃん犬のしつけを十分にできるか、
正直なところ、あんまり自信がないんだよ　　

むしろ、六ヶ月になるまで親兄弟と暮らしていたら、
それもいいんじゃないかなあ～って、そんな気がしたんだ　
母犬は美人さんだしな～　
妹犬も、お店のソラ君も、兄妹そっくりな姿で、みんなかわいいよなあ～　

さっきも見ただろう　

あの子が母犬のもとに戻されたら、ヒトのにおいのついたお尻をクンクンとかいで、
さも心配そうに寄りそっていたじゃないか　

なあ、かわいいなあ～　　

親子みんなで一緒に走りまわっていて、楽しそうだよな～　　　

本当にかわいいよなあ～　　」


パパは、母犬も兄妹犬も気に入った様子で、ニコニコとうれしそうに笑っています　

ママ　「でもあの子、あまり愛想はよくないわね」
パパ　「そんなことはね、関係ないんだよ　」

ママは、ペロンの嘘がばれなくて、内心ほっとしていました　

さあいよいよ、ぼくの引越しにそなえて、準備が始まります　

でも、まだまだ未解決の問題もありました　


つづく

(写真と本文は関係ありません)

(写真は今日も不掲載です。大変申し訳ありません。)

ラン吉 誕生ものがたり～ その１０

ママは、「わたしだけがずっと抱っこしているから、腕が痛くなるのだわ」と、
ようやく気づきました

そして、「あなたも抱っこしてごらんなさい」と、パパの腕にぼくをあずけました

パパの抱き方はとてもぎこちなくて、ぼくはもう少しのところで落ちそうなくらいだった

なんとかパパの腕にしがみついていると、店長さんがぼくをドッグランに戻してくれました


ドッグランでは、母さんと妹が心配そうに寄って来てくれて、
ぼくのあとを追いかけながら、クンクンとにおいをかいでいます

ぼくは、とにもかくにも、開放されてほっとした

すると、店長さんとパパママの話し声が聞こえてきました

ママ　
「どうしましょう～　
お返事は、いったん家に帰って相談してからにしましょうか」と慎重です


店長さん　
「こんなにいい子は、そうはいませんよ
返事をのばせば、他のヒトの手に渡ってしまうかもしれません」と決断をせまります

すると、パパは一言、
「そうですね、はい
この子を飼うことに決めました」と、いともあっさりと答えを出したのです

ママは、さっき言った嘘のことをつかれたらどうしよう～と、やや困った様子です


つづく

(写真と本文は関係ありません)

(写真は今日も不掲載です、あしからず)

ラン吉 誕生ものがたり～ その９

(前回までのあらすじ)

パパママが偶然に入ったお店の計らいで、ぼくとのお見合いが実現しました
でも、双方とも緊張しています　

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ママは、ぼくも弟のソラみたいにペロリとするだろうと、当然のように期待していた　
なにしろ兄弟なのだから、という先入観のなせるわざです　

でも、ぼくは、初対面のヒトにペロリなんて、とうていできない　

「一度でもペロリとしてくれたら」なんて言っていたママだけど、
ママにもできなかったことがあった　

それは、ぼくがペロリとしないからといって、
「この子は、一度もペロリとしません　だから、うちでは飼えないわ」と
自分から断言してしまうことだった　　

抱っこし続けて腕の痛くなったママが、ぼくを抱く向きを変えたわずか一瞬のすきに、
ぼくの鼻先が、あろうことか、ママのほっぺに、偶然に触れました　


ママは、その一瞬のチャンスをとらえて、
「あらっ、今、この子ったらペロリとしたわ」と、パパにむかって嘘をつきました　　


つづく

(写真と本文は関係ありません)

(写真は今日も不掲載です、あしからず)

おわび申し上げます

唐突ですが、おわび申し上げます　

ラン吉誕生ものがたり～の途中ではございますが、ここで皆様におわび申し上げます

つたない当ブログではございますが、おかげ様で、毎日皆様方に見ていただいております　

まずは、お礼申し上げます

ですが、最近は写真も載っていない、むやみに話を引っぱりすぎるという、
まことに情けないありさまでございます

いつも見に来てくださる皆様方には、大変申し訳ないことでございます

いつもの体裁をととのえるべく、改善にむけて、鋭意努めて参ります

これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます


カメラの設定に不具合が生じております
なにとぞ、ご容赦くださいますよう

ラン吉 誕生ものがたり～ その８

しかたなく、ぼくは初めて抱かれたママの腕のなかで、
ただ、じっとおとなしくしていました　

ママもママで、ぼくを抱いたまま、緊張しながら思いました　

「この子は、お店向きのソラちゃんとはちがう　
誰にでも愛嬌をふりまけるような子じゃないんだわ　
きっと、初対面の日には、最後までペロリなんてしないのじゃないかしら　」

店長さんは、あれこれと色々、話を続けています　

その間、ママはずっとぼくを抱っこしていたので、だんだん腕が痛くなってきました　


そこで、ぼくを抱く向きを変えようとして、腕を動かしたその時、
ぼくの鼻先が、ママのほっぺに少しだけ触れました　


つづく

(写真と本文は関係ありません)

(写真不掲載の場合もあります)

ラン吉 誕生ものがたり～ その７

ぼくは、前説もなしに、いきなり初めて会ったヒトの腕に乗せられてしまった　　

一度も会ったことも遊んだこともないヒトに、だよ　　

そりゃあもう、ビビリにビビリまくり、緊張に緊張しまくった　　

ママは「お見合いの時に、一度でもペロリとしてくれたら」なんて言ってたけど
残念ながら、ぼくは弟のソラとはちがうんだ　　

初対面でペロリなんて、ぼくには、なかなかできない相談だよ　　

初めて抱かれたヒトの腕のなかで、ぼくは、ただただ緊張しまくって、
じっとおとなしくしている以外に、できる事はありませんでした　　

店長さんの売りこみトークが、むなしく店内に響いています　


つづく

(写真と本文は関係ありません)

(写真不掲載の場合もあります)

ラン吉 誕生ものがたり～ その６

「いずれにしても、会ってみなければわからないよ　」
「そうですね。お見合いの時に、一度でもペロリとしてくれたら、決めてもいいわ　」

パパママとぼくの三人が、まだ会ってもいないうちから、話題はすっかりぼくが独占だ　
まさか、毎日こんなに盛り上がっているとはね　　

そんなこととはつゆ知らず　
ぼくは、いつものとおり生まれ育った実家で
なに不自由なく、のんきに楽しい毎日を送っていた　　

そうこうしてる間に、いよいよ、約束の「お見合い」の日はやってきた　

ぼくは、産みの親のリリー母さん、妹カーラちゃんと一緒に
弟ソラのいるお店にやって来ました　

お店の室内ドッグランで、リリー母さんとカーラちゃんと遊んでいると
二人づれのヒトが入ってきた様子です　

店長さんとその二人づれは、しばらく話をしていました　

そして突然、店長さんは、ぼくだけをさっと抱き上げて
二人づれのうちの女の人の腕に、ぼくを手渡しました　

ぼくは、この時、初めてママの腕に抱かれました　


つづく

(写真と本文は関係ありません)

(写真不掲載の場合もあります)

ラン吉 誕生ものがたり～ その５

シェットランドを少しずつ分かりはじめた頃、ママがビシリと言いました　

「ねえ、私たち、犬を飼うならメスにするつもりだったわよねえ～
名前も、鉄腕アトムの妹にちなんで、ウランちゃんにするのじゃなかったかしら」　　

「そういえば、そうだったねえ～
メスのほうがおとなしくて飼いやすいような気がするからね～」　

「名前まで決めてしまっているのだから、今度の話はどうなんでしょう～
あの子は、間違いなくオスっていう話ですからね」　

「でも、オスメスの区別だけで、一概に性格まで分からないんじゃないかな
ソラちゃんのように、大人しくて人なつこいオスの子もいるからね」　

「でも、シェルティーのオスに、ウランちゃんという名前はどうなんでしょう～」　

「そっ、それは、そうだね～」　

むむむむむ～　
まだぼくと会う前から、なにやら否定されているような、微妙に、いや～な感じです　　

つづく

(写真と本文は関係ありません)

ラン吉 誕生ものがたり～ その４

店長さんは、ぼくが普通の家庭に生まれ、６ヶ月になるまで親犬と一緒に育ったことなど、
ぼくの事をパパママに詳しく話してくれた　　

そして、一週間後に、ぼくとパパママは初めて会えることになりました　

さあ、そうと決まれば、パパママはまだ見ぬぼくの話題でもちきりだ　

実は、店長さんに話を聞くまでは、
パパもママも、シェットランドをあまりよく知らなかったのです　

いつも見ていた「犬種図鑑」みたいなものに、
シェットランドはもちろん人気犬種としてちゃんと載っている　

だけど、写真がかわいくないうえに、なんだか記事もいま一つの内容だった　

だから、シェットランドのページは、いつも素通りしていたのです　　


パパママは、シェットランドについて、ネットで調べたり人に話を聞いたりしました　

そして、色々なことが少しずつ分かりかけてきました　

「シェルティーっていうんだね。我々のような初心者にも、育てられるかもしれないね」
「育ての親御さんがご近所なら、しつけのご相談もできるかもしれないわ」

まだ、肝心のぼく自身に会ってはいないにせよ、
だんだん前向きに検討し始めてきたある日、ママがとんでもない爆弾発言をします　


つづく

(写真と本文は関係ありません)

ラン吉 誕生ものがたり～ その３

ぼくのパパママが待っていると、店長さんが弟のソラを連れてきました　

この時、パパママは、バイブラックのシェットランドを初めて見ました　

「あら～　黒いのね～」とママ　
「６ヶ月って、意外と大きいんだなあ～」とパパ　

ソラは、とても人なつこい性格だからね　

ママが抱っこすると、初対面にもかかわらず、
ソラはママの顔をペロンペロンとなめまわしたんだ　　

犬を抱っこして顔をなめられるなんて、ママにとっては初めての体験　

「あらあら、まあまあ」
ママは、戸惑ってみたり喜んでみたり、どうしていいか分かりません　

店長さん、「ソラは、お店の看板犬です　
ソラの兄犬がいましてね、新しい飼い主さんを探しているのですよ　

今、母犬と妹犬と一緒に、ご近所のふつうのお宅でくらしています　
今度、会ってみませんか　　ご都合はいつがいいですか　」

と、店長さんは、話をすすめていきます　　


つづく

(写真と本文は関係ありません)

ラン吉 誕生ものがたり～ その２

パパママが、見慣れないそのお店にソロリソロリと入っていくと、
店長さんが出迎えてくれました　

お店の中には、室内ドッグラン、トリミングルーム、おやつ売り場などが見えます　

でも、ぐるりと見渡してみても、店内にワンちゃんの姿はありません　

「ここには、ワンちゃんはいないのですか」　

「ええ、いないのですよ」
　
「そうなんですか　
実は、ワンちゃんを飼おうと考えて探しているのですが」
　
「そうですか　
ここにはいませんけれど、でも、この子はどうでしょうか　
ここにある写真をみてください　　云々云々」
と、店長さん、ぼくの説明を始めました　

でも、ぼくのパパママは、あまり興味もわかない様子です　　

すると、店長さん　

「ああ、そうだ　　この子の弟がここにいますよ　
いま連れてきますから」と、
弟のソラを連れてくることになりました　

つづく

(写真と本文は関係ありません)

ラン吉 誕生ものがたり～ その１

ぼくのパパママは二人暮らしなので、パパがママに犬を飼うことを勧めていた　

パパがまだ子どもだった頃、雑種を外飼いしていたことがあるんだって　

とてもお利口なワンちゃんだったらしく、
パパは楽しそうに思い出話しをくり返していた　

「そうだったの、では飼いましょう」と話しが決まってからは、
二人でペットショップに足しげく通ったり、ネットで検索したり、何ヶ月もさがしていたらしい　

あちこち探してみたものの、なかなか決断できずにいたところ　

ある日、お買い物に行きました　
場所は、ぼくの今のおうちから歩いて１０数分のパソコンショップです　

久々に行きました　

と、駐車場の前に、見慣れないお店ができています　
よ～く見ると、「いぬ」という文字がみえるではありませんか　

「あれはなんだろう」「ちょっと行ってみましょう」とお店に入っていきました　

つづく


(写真と本文は関係ありません)