シェルティー ラン吉

拙者シェルティーラン吉でござる ラン吉のランは「団らん」のラン 一度しかない今日もろもろをラン吉ママがしたためまする

ポチの思い出ものがたり 14

2012-07-20 23:51:59 | ポチの思い出ものがたり

ある日、S少年のお父さんがお勤めから帰ってきていいました

「工場の仕事仲間のおうちに、赤ちゃん犬が生まれたらしいぞ」

それを聞いた子どもたちは、もう大はしゃぎです

「ほしい、ほしい。 もらおう、もらおう。 うちにも一匹もらおうよ~~!」

 

次の日曜、S少年の一家はみんなで、わくわくしながらそのお宅に行きました

あいさつもそこそこに、玄関わきの箱の中をおそるおそるのぞいて見ると・・・

いました、いました! 中には、数匹の子犬たちがいました!

まさに、てのひらにのる位の大きさの、生まれて間もないパピーたちが眠っています

 

血統書なんて、庶民には、まず縁のない時代のこと

 「父親の犬はわからないんだ。 どれでも好きな子をあげるよ」といわれました

でも、どの子もかわいすぎて、すぐにはこの子と決められません

迷いに迷って決めた一匹をいただいて、そっと抱えて帰ろうとしました

すると、その子犬は、母犬のお乳をもとめるように小さな声でなきました

「まだ、おっぱいがほしいのかもしれない」

「あまりに小さすぎて、母犬からはなしていいか、心配だな」

「もう少し、一緒にいさせてやったほうがいいかもしれない」

 

結局、子犬をもらってきたのは、二か月ほどたってからでした

子犬はかわいくて、子どもたちはだっこしたくてたまりません

片時もはなさず、なでまわしたり、つついたりしています

「おいおい、そんなにかまっていると、犬だって疲れるぞ」

お父さんが子どもたちを叱ってくれて、子犬はようやく一息つけるのでした

 

「名前をつけなくちゃ」ということになり、家族みんなで話し合いました

名前は、すんなり、「ポチ」に決まりました

家族みんな、初代のポチが忘れられなかったのです

 

2代目ポチは、保健所に登録もされ、予防接種もうけました

そして、おしもおされもせぬ「飼い犬」として、暮らしていくことになりました

もらわれて来てすぐの間は、家の中で大切にそだてられました

小さなポチは、うろうろと部屋の中をあるきまわります

S少年は、そんなポチをふまないように、机の上にのって見まもりました

しかし、成長しておおきくなってくれば、やはり、居場所は家の外でした

S少年のお父さんはとても器用だったので、ポチのために小屋を手作りしました

その中に使いふるしの毛布をしいて、庭のすみにおきました

「飼い犬」らしく、首輪もつけて、その犬小屋に鎖でつなぎました

 

S少年のこども時代、昭和30年前後のころ

ポチみたいな子犬のもらい方や飼い方は、ごくごく普通のことだったのです

 

下の写真は、けがれを知らぬ、おさなき頃のS少年・・・