皆様こんばんは。
本日は第53期森ビル杯十段戦(産経新聞社)決勝、今村俊也九段と余正麒七段の対局が行われました。
今村九段が見事な打ち回しで優勢を築いたと思いますが、余七段がしぶとく食らい付いて半目勝負になりました。
そして、最後は必死のコウ粘りにより、余七段の劇的な半目勝ち!
決勝に相応しい、素晴らしい戦いだったと思います。
井山裕太十段との五番勝負が楽しみですね。
本日の幽玄の間では、十段戦以外にも多くの対局が中継されました。
創意工夫を凝らした対局が多く、お楽しみ頂けるのではないかと思います。
ぜひご覧ください。
さて、本日はMasterと韓一洲五段(中国)の対局をご紹介します。
1図(実戦)
黒1、3の両ガカリを許しましたが、その代わり白2、4のカケを打てています。
左辺は3線に黒石が5つもあり、位が低いと見る事もできます。
どうも、Masterはこういう配石は黒が良くないと判断(?)している節がありますね。
2図(実戦)
黒1、3に対しては、私ならまず分断する事を考えます。
黒7までの形は、白石が多い所で遠慮したように見えるからです。
しかし、先手を取って白10に回りたいという事でしょう。
この三々入りに対してあっさり渡らせてしまう打ち方は、Masterの碁に多く現れました。
もちろん昔からある打ち方ですが、プロの碁では、序盤だと渡らせない事が殆どでした。
これがプロの碁にどんな影響を与えるのか、注目ですね。
ところで、途中何気なく白8と黒9の交換をしてありますね。
今打つ必要があるのか、疑問に感じましたが・・・。
それに関しては、しばらく後の進行で触れましょう。
3図(参考図)
黒の挟みに対して、白1とは打ちづらい所です。
上辺は白△と合わせて、3線に白石が6つ並んでしまいます。
これはいかにも白が悪そうに見えます。
4図(実戦)
そこで白1などと変化するのは、よくある発想です。
しかし、途中白7や9があまり打たれない手です。
棋聖戦で河野臨九段が採用した手と、少し似ていますね。
2目の頭をハネられていないので、さほどの違和感は感じませんが・・・。
とにかく先手を取って白11に回りたい、という事でしょう。
5図(実戦)
黒1がこの一手という絶好点で、こういう所を打てては黒悪くないと感じてしまいます。
ただ、よくよく考えてみると、左辺の黒模様との関係が問題です。
右辺の黒模様が盛り上がるのは良いのですが、白12まで石が来ると、左辺の黒模様にとってマイナスになるのです。
全体を見れば、これで白が十分なのかもしれません。
白12の後は黒A、白Bと進めば無難ですが、それでは黒が不満とみたのでしょう。
実戦は黒Bと仕掛けましたが・・・。
6図(実戦)
その後白1となって、さほど白にダメージを与えたとは言えません。
一方、やや黒の打ち方に無理があり、左辺の形が崩れています。
そこを白9で追及されました。
ここに来て、白△と黒△の交換が役に立って来ました。
ここまで都合良く決まったのは偶然でしょうが、AIにとっては偶然も計算の内と言えるかもしれません。
次に黒Aには白Bと追及されますし、黒Bには白Cの嫌味があります。
ぴったりした受け方がありません。
そこで、直接受けずに黒10で頑張ったのは気合の一手ですが、これは無理でした。
7図(実戦)
白1に対して、Aの傷を守る黒2は仕方ありません。
しかし、白3、5と打たれては決まりました。
次に黒Bと取るしかありませんが、白Cが先手になり、白Dの切りが成立します。
ここで黒投了となりました。
この碁では黒の明確な悪手は少なかったと思いますが、気付かない所で少しずつ差を付けられている印象です。
改めて碁の奥深さを感じますね。
本日は第53期森ビル杯十段戦(産経新聞社)決勝、今村俊也九段と余正麒七段の対局が行われました。
今村九段が見事な打ち回しで優勢を築いたと思いますが、余七段がしぶとく食らい付いて半目勝負になりました。
そして、最後は必死のコウ粘りにより、余七段の劇的な半目勝ち!
決勝に相応しい、素晴らしい戦いだったと思います。
井山裕太十段との五番勝負が楽しみですね。
本日の幽玄の間では、十段戦以外にも多くの対局が中継されました。
創意工夫を凝らした対局が多く、お楽しみ頂けるのではないかと思います。
ぜひご覧ください。
さて、本日はMasterと韓一洲五段(中国)の対局をご紹介します。
1図(実戦)
黒1、3の両ガカリを許しましたが、その代わり白2、4のカケを打てています。
左辺は3線に黒石が5つもあり、位が低いと見る事もできます。
どうも、Masterはこういう配石は黒が良くないと判断(?)している節がありますね。
2図(実戦)
黒1、3に対しては、私ならまず分断する事を考えます。
黒7までの形は、白石が多い所で遠慮したように見えるからです。
しかし、先手を取って白10に回りたいという事でしょう。
この三々入りに対してあっさり渡らせてしまう打ち方は、Masterの碁に多く現れました。
もちろん昔からある打ち方ですが、プロの碁では、序盤だと渡らせない事が殆どでした。
これがプロの碁にどんな影響を与えるのか、注目ですね。
ところで、途中何気なく白8と黒9の交換をしてありますね。
今打つ必要があるのか、疑問に感じましたが・・・。
それに関しては、しばらく後の進行で触れましょう。
3図(参考図)
黒の挟みに対して、白1とは打ちづらい所です。
上辺は白△と合わせて、3線に白石が6つ並んでしまいます。
これはいかにも白が悪そうに見えます。
4図(実戦)
そこで白1などと変化するのは、よくある発想です。
しかし、途中白7や9があまり打たれない手です。
棋聖戦で河野臨九段が採用した手と、少し似ていますね。
2目の頭をハネられていないので、さほどの違和感は感じませんが・・・。
とにかく先手を取って白11に回りたい、という事でしょう。
5図(実戦)
黒1がこの一手という絶好点で、こういう所を打てては黒悪くないと感じてしまいます。
ただ、よくよく考えてみると、左辺の黒模様との関係が問題です。
右辺の黒模様が盛り上がるのは良いのですが、白12まで石が来ると、左辺の黒模様にとってマイナスになるのです。
全体を見れば、これで白が十分なのかもしれません。
白12の後は黒A、白Bと進めば無難ですが、それでは黒が不満とみたのでしょう。
実戦は黒Bと仕掛けましたが・・・。
6図(実戦)
その後白1となって、さほど白にダメージを与えたとは言えません。
一方、やや黒の打ち方に無理があり、左辺の形が崩れています。
そこを白9で追及されました。
ここに来て、白△と黒△の交換が役に立って来ました。
ここまで都合良く決まったのは偶然でしょうが、AIにとっては偶然も計算の内と言えるかもしれません。
次に黒Aには白Bと追及されますし、黒Bには白Cの嫌味があります。
ぴったりした受け方がありません。
そこで、直接受けずに黒10で頑張ったのは気合の一手ですが、これは無理でした。
7図(実戦)
白1に対して、Aの傷を守る黒2は仕方ありません。
しかし、白3、5と打たれては決まりました。
次に黒Bと取るしかありませんが、白Cが先手になり、白Dの切りが成立します。
ここで黒投了となりました。
この碁では黒の明確な悪手は少なかったと思いますが、気付かない所で少しずつ差を付けられている印象です。
改めて碁の奥深さを感じますね。