白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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封じ手予想

2016年06月02日 19時49分46秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本因坊戦第3局、始まりました。
早速1日目を振り返ってみましょう。



井山本因坊の黒番で、ここまでよくある進行ですが黒1と変わったところに開きました。
布石は自由なのでこういった手も当然成立します。
左側の空間が広いので、黒Aと拡大される前に白2と先制攻撃に出たのも当然です。
ここで一転、黒3と上辺に仕掛けていきました。
これは右上の定石以降の狙いで、よく打たれます。




ここでほとんどのプロは白1、3と攻めています。
黒も4、6などと反撃し、競り合いになります。
何も考えずにこう打ってしまいそうですが、高尾挑戦者のセンサーには何かが引っ掛かりました。
何となく黒△の石が戦いに参加してきそうな気配もあり、そのあたりかなという気がします。





実戦は白1!
アマチュアの方は結構好きな手ですね。
しかしプロはめったに打ちません。
白△との距離が近すぎるので、三々に入られて甘いと言われています。





しかし黒が三々に入れば、先手を取って白10からの攻めに回るつもりでしょう。
なるほど、白14までとなれば白が主導権を握っています。





そこで黒も左上は後回しにして、下辺に先着しました。
黒3と勢い良く迫れば白も4、6と力強くボウシ!
黒もAと反撃、難しい戦いが始まりました。





手順が進み、ここで白1、3と切ったのが凄い!
こう切っても下辺の黒を取る事は出来ないので、所謂「ダメを切った」事になる恐れがあります。
普通のプロならまず白Aなどと大場に打っておく事を考えるでしょう。





実戦は下辺の黒に先手で生きられ、黒1と三々にも入られています。
しかしここで先手を取って、白10!
白はこの石の攻めに賭けていました。
ここで封じ手です。





白の渡りを止めたいからといって黒1は、白2が両ノゾキになるので考えにくいです。
これは予想から外して良いでしょう。





黒は攻められているので、まず逃げる事を考えるのが一般的です。
候補としては黒A~F、どれもありそうです。
しかし・・・





最強手を好む井山本因坊、黒1と渡りを止めて頑張るのではないでしょうか?
ただしすぐにやっていくと白8までとなり、白の形に隙がありません。





という事で封じ手予想は黒1!
まず白に傷を作っておいてから黒3と動き出すとみました。
前図と同様に白6までと打ってくれば、ここで黒7が好手です。





白をダメヅマリにしながら脱出、Aの切りを狙う展開になります。
この図は黒が良いでしょう。





ダメヅマリを避けて白1なら黒2で死ぬことはないでしょう。


さて、私の予想は当たるでしょうか?
2日目の対局の模様も幽玄の間にて、鶴山敦志七段の解説付きで生中継されます。
お楽しみに!
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