白石勇一の囲碁日記

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Master対棋士 第54局

2017年08月07日 23時59分59秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
新人王戦決勝進出者が決まりました。
芝野七段は竜星を取って物凄い勢いがありますが、孫五段も実力者です。
どんな碁になるのか、楽しみですね。

さて、本日はMasterと聶衛平九段の対局です。
聶九段はまだ中国が弱かった頃にプロになりましたが世界戦で大活躍、その後の中国での囲碁熱につながりました。
そんな65歳の大ベテランがMasterに挑戦しました。



1図(実戦)
Masterの黒番です。
聶九段が隅の黒を攻めていましたが、白1のつなぎはポカでした。
そして、Masterはミスを見逃しません。
すかさず黒2と急所に打たれ、困ってしまいました。
白Aには黒Bで死んでしまいます。

白1は2が正着でした。
それだとややこしい手順でコウになりますが、黒にもリスクがありました。





2図(変化図1)
と言っても、まだ死んだ訳ではありません。
白1と打つ有名な手筋があり、白5までと生きることができます。
ただし、白△を取られると黒も悠々と生きてしまいます。
黒Aに回られては勝ち目はありません。





3図(変化図2)
また、白1とツケる手もあります。
白7までとコウになりますが、これは黒の花見コウです。
コウ立てでどこかに連打すれば十分でしょう。





4図(実戦)
そこで、白1と外側を備え、黒2の手入れを促しました。
隅は取られますが、白3、5と分断し、黒△への攻めに賭けたのです。
この勝負手に動揺してくれれば良いのですが・・・。





5図(実戦)
当然そんなことは無く、黒△まで完璧に対応されました。
上辺、左辺とも黒はダメージを受けておらず、白の勝負手は不発に終わっています。


1図黒2は既知の手筋であり、プロにとって難しい手ではありません。
ですが、現実に聶九段が見落としているように、人間はしばしば自分の能力以下のミスをしてしまいます。
しかし、Masterは一手を数秒で打つにも関わらず、そういったミスをほとんどしていないように見えるのです。

それは機械だから当たり前、と言えないのはDeepZenGoの対局を見ていれば分かります。
圧倒的な大局観と正確無比な読みを共存させることは難しいのです。
一体どんな技術がそれを可能にさせたのでしょうか?
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