白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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馬場滋-仲邑菫

2019年11月28日 22時09分45秒 | 幽玄の間

<本日の一言>
本日は私も対局がありました。
序盤からずっと苦しい碁でしたがひたすら粘り、ついに追いついたか逆転か・・・。
というところで、いつものポカが出てしまいました。
これで負け先行になりましたが、まだ対局はあるので打ち分け以上を目指して頑張ります。



皆様こんばんは。
木曜日は日本棋院棋士の公式対局日です。
本日も日本棋院ネット対局幽玄の間で多くの対局が中継されました(と言っても、いつもより少なめでしたね)。
今回は棋聖戦予選、馬場滋九段(71)と仲邑菫初段(10)の対局をご紹介します。
結構な年の差対決ですが、囲碁界においてはこのぐらいでは驚くに値しません。

1図(実戦)
馬場九段の黒番です。
黒1と攻められて、一旦は白2と逃げたものの、即座に白4と反撃!
白の弱い石が2つになってしまう意味があり、やや打ちすぎと感じるプロが多いと思いますが、これが仲邑初段の流儀ですね。
AI流を積極的に取り入れつつも、自分の感性を優先していることが感じられます。



2図(実戦)
白△とコウを取った場面です。
黒×も黒○も生きていません。
こうなっては、白の優位は明らかでしょう。

ところが、ここから白が決め損ねました。
仲邑初段なら1秒で分かりそうなところでしたが、何か錯覚があったのでしょうね。
ここから形勢が二転三転して、最後は半目勝負に・・・。



3図(実戦)
黒1の当てに対して、普通なら白Aとつなぐところです。
ところが、実戦は手抜きで白2!
当然黒Aと抜いてきますが、白はこのコウを頑張りきってしまおうというのです。

何故なら、黒1に対して白Aとつないでしまうと、白が半目負けになるからです。
きっちり計算ができているからこその頑張りですね。
もちろん、仲邑初段のレベルならこの程度は当然なのですが、なにしろ10歳ですからね・・・。



 
4図(実戦)
白1のコウ立てに受けていると、黒はコウに勝てなくなり、碁も負けます。
そこで、黒2と解消したのは最後の勝負手か、形作りのどちらかですね。
仲邑初段は白3から隅を手にして、勝ちを決めました。


かつて、若手のレベルが上がったことを表現する言葉として「初段が九段に勝ってもニュースにならない」というものがありましたが・・・。
とうとう10歳が九段に勝つようになってしまいましたね。
これで仲邑初段は今年13勝5敗となりました。
個人的には15勝8敗ぐらいと予想していたのですが、勝率では大分上回っています。
ちなみに、私の1年目(21歳)は6勝8敗だったので、仲邑初段の方が大分強い気がします・・・。




 
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