白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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12/19の対局

2019年12月22日 23時59分59秒 | 対局

<本日の一言>
本日は寒い一日でした。
風邪を引かずに正月を迎えられるよう、気をつけたいと思います。



皆様こんばんは。
本日は久しぶりに私の対局を振り返ってみたいと思います。
名人戦予選、相手は小林光一名誉名人でした。
なお、この対局は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されました。

1図(実戦)
小林名誉名人の黒番です。
白△の肩衝きは、黒Aと受けさせてから白Bとツケようというものです。
白×を理想的な形で逃げ出せるので、もしそうなれば白が良いでしょう。



2図(実戦)
そこで、実戦は黒1と反発しました。
黒5まで、お互いに×の石を制する振り替わりです。
黒の方がのびのびしている印象もありますが、白×が完全に死にきっていないというマイナスもあります。
白A~Eなど様々な手段の余地があるので、黒としては頭の痛いところでしょう。
もっとも、白は白で選ぶべき手段や手を付けるタイミングが難しく、頭が痛かったですが・・・。



3図(実戦)
右上の戦いで、黒が白×を狙っていることは分かっていましたが、構わず白7までと右辺を目一杯に打ちました。
場合によっては白×は捨てても良い、と考えた上での作戦です。



4図(実戦)
結局白×を捨て、身軽になったので白△と下辺黒模様を消しにいくことになりました。
大体イメージ通りの展開ですが、細部でやや誤算があり、少しやり損なったかと思っていました。
とは言え形勢は良い勝負でしょうか。



5図(実戦)
白1以下の手が地としても大きく、しかも白Aの嫌味が生じています。
こうなって形勢は悪くない気がしました。



6図(実戦)
黒1、5は堅実な小林名誉名人が普段見せないような猛攻ですが、これはやりすぎだったかもしれません。
白6の反撃に対して、すぐには手を出しづらい形です。
そして、この折衝が後に大きな意味を持つことになるとは、両対局者ともにあずかり知らぬことでした。



7図(実戦)
黒1が小林名誉棋聖の狙っていた厳しい踏み込みです。
これに対して安全第一で受けるのではつらいとみて、白2、4と気合の反発!
先に右下黒の構えを破ってしまい、後は白×を捌けば良いと考えていました。

しかし、よく見ると思ったより白の眼形が薄いことに気が付きました。
ここで残り少ない持ち時間を使って、最後の長考・・・。



8図(実戦)
潰れも覚悟しましたが、白7までどうにか形になりました。
この後黒Aの両当たりには白B、黒C、白D、黒E、白Fの手順で一発コウになります。
そのコウは黒が勝てないので・・・。



9図(実戦)
実戦は黒1、3と禍根を断ちました。
これで白×が全滅しましたが、その間に白2、4と連打することができ、中央に突如として白の大地が出現しました。
こうなっては白勝勢です。

結果的に、黒○と白○の2手ずつが、黒にとって最悪の交換になってしまいました。
まさかこんなことになるとは、小林名誉棋聖も唖然としたのではないでしょうか。
私としては望外の幸運でした。


右辺の死活の確認を怠ったことはいただけませんが、全体的には自分なりに精一杯打てた一局だったと思います。
来年もこの調子で頑張りたいですね。



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