白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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酒井佑規-上野愛咲美

2020年01月26日 23時59分59秒 | 幽玄の間

<本日の一言>
1/28(火)に、横浜の宇宙棋院で月例のイベントを行います。
今のところ参加者がかなり少ないので、質問し放題です(笑)。
ご都合の合う方はぜひお越しください。



皆様こんばんは。
グロービス杯予選は全局が日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されます(明日が最終日)。
本日は予選決勝の酒井佑規二段(15)-上野愛咲美三段(18)戦をご紹介します。

1図(実戦)
酒井二段の黒番です。
白1のカカリには、もちろん黒模様を荒らす意味がありますが、それだけではありません。
碁盤全体を眺めると、違ったものが見えてきます。



2図(実戦)
黒は強手で白×をもぎ取りました。
しかし、ここで白△の逃げ出し!
これが白の狙いでした。
上野三段は最初から黒×への攻めまで見ていたのですね。



3図(実戦)
もっとも、その後黒も的確に対応して悪くなかったのですが、右上隅で大損してしまいました。
黒1の押さえは狭い所を打っているようですが、一種の勝負手でしょう。
白2のケイマがいかにも好点ですが、黒9、11と強引に切断!
これを狙っていたのですね。

当然ながら白Aのシチョウは成立しません。
黒5、7はシチョウ当たりだったのです。



4図(実戦)
攻め合い含みの戦いになっています。
ここで白△と打ったのがまた凄い手でした。
普通なら、この手で白Aと伸び、黒B、白C、黒D、白△という手順で大石を脱出するコースを考えるでしょう。
白×を捨てても、形勢は白有利ですからね。

しかし、先に白△と打ったということは、黒Eと換わってから白Aという意図でしょうか?
つまり、白×が取られないようにしておいて、黒×を取りにいこうということですね。
とは言え、黒Eと換わると自分のダメを詰める意味があり、攻め合いが不利になるおそれもあります。
普通の人は早碁でこんな怖いことはできないのですが、流石上野三段ですね。

結局、黒は酒井二段は上野三段を信用して(?)黒Eと押さえませんでしたが、押さえたらどうなっていたでしょうか。
際どい攻め合いになりそうで、見てみたかった気もします。
結果は白中押し勝ちでした。


若手は早碁でも非常に深く読んでいますね。
ちょっとでも隙を見せると吹き飛ばされるので、ビクビクしながら対局しています。



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