白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

最年少棋士誕生!

2019年01月05日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
本日は日本棋院にて打ち初め式が行われました。
私は指導碁担当で、10級の方と高段の方と対局しました。
相手の棋力が違っても、碁は楽しいですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日はビッグニュースがありました。
9歳の仲邑菫さんの入段が決定!
早くも今年一番の囲碁界ニュースが決定しましたね。
一般のニュースでも大きく取り上げられているようです。

早速紹介といきたいのですが、私自身は菫さんと接点がありません。
そこで、菫さん自身の話は身近な方にお願いするとして、少し自分の話をしてみましょう。

私の祖父は神戸の人でした。
私の家族はこちらに住んでいましたが、年末年始や夏休みに帰省していました。
私が9歳の時の夏休みにもいつも通り帰省したのですが、祖父がちょうど碁を嗜みはじめた頃で、碁盤が置いてありました。
それが私と碁の出会いです。

そして、1冊の入門書を買ってこちらに戻ってきました。
家に碁盤などありませんが、ひたすら読んでルールを覚えました。
ちなみにこんな本です。



今見てみると、結構硬派な本です(笑)。
プロの中では遅い9歳という入門年齢も、こういう覚え方をするには丁度良かったのかもしれません。
その後、確か数ヵ月後経ってから近所の碁会所に通いはじめました。
たまプラーザ囲碁クラブというところです。
そこに放課後毎日通って強くなり、小学5年生の1月になるとプロの教室にも通うようになりました。
当時の棋力は、今の私に7子ぐらいでしょうか。
その後は小学生の全国大会決勝で負けたり、中学時代は全然ダメだったり、高校選手権や学生本因坊で優勝したり・・・と途中色々あって、21歳でプロになりました。
長い道のりです。

そんな私からすれば、菫さんの入段は異次元の世界です。
正式な入段は10歳ちょうどになるようですが、その頃の私はアマ初段になっていたかどうか怪しいですね(笑)。
才能と努力によって、これほどの差が生じるとは・・・。

さて、今回は特例ということで、菫さんの実力に疑問を持たれる方も多いと思います。
特に、碁を打たない方ほどその傾向が強いでしょう。
張栩名人に逆コミで良い勝負をしたと言っても、どのぐらいのハンデなのか見当が付かないでしょうからね。

対等の相手と打つときは黒番(先に打つ)が有利なので、終局時白に6目半のコミを出します。
黒は盤面で7目以上勝っていなければ負けということですね。
逆コミは白の側がコミを出すので、逆コミ6目半なら黒は盤面6目負けまでなら勝ちになります。
つまり13目のハンデですね。
<追記>逆コミ5目半だったそうです。

では、このハンデを貰って張栩名人と勝負して、勝ち越せる棋士はどれだけいるでしょうか?
おそらく、半数に満たないはずです。
私が打ったとしても、どれだけの勝率になるかは分かりませんが、少なくとも必勝ではありません。
つまり、菫さんは既にプロ並の力があると思われます。
ただ、実際にプロになるまでにはもう少し時間がかかるはずでしたが、それを特例によって早めたということですね。

私が菫さんに期待するのは、女流世界一ではありません。
男性棋士も含めての世界一です。
そのぐらいの可能性を秘めた存在だと思います。
当然注目されるので、子供には色々と負担になることも出てくるでしょう。
そのあたりを、周囲が上手くサポートしなければいけません。

ともあれ、非常に楽しみですね。
囲碁界が盛り上がるきっかけになるかもしれません。