いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第48話>敵か味方か? / [小説]ガンダム外伝

2011-03-04 21:54:42 | [小説]ガンダム外伝
<ここまでの話>
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【第2部】
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【第3部】
<第47話>月面着陸・・

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「マスミンっ!! 大丈夫かっ? マスミンっ!!」

見たところ外傷は無いようだが、ヘルメットバイザー内面に汚物が付着している・・
これはっ!、内臓損傷の可能性もありえる、下手に動かす事は危険だ!!
(呼吸は?)マスミン大尉の胸部に手を置き、呼吸を確認する・・ が・・しかし・・
自分の手袋や、マスミン着用のノーマルスーツのおかげで、動いているのか分からない・・

(もし・・ 気管に汚物が詰まっていたら・・ いかん!!)

そう考えた瞬間、全身に電気が走る衝動に駆られる・・、即座に後部座席にもぐりこみ、
キャノピーを閉じ、すぐにエアーを充填する・・ エアーの充填速度がもどかしい・・

(まだか?・・ 遅いっ!)

エアー充填を知らせるグリーンランプが点燈した瞬間に、
マスミンのヘルメットを外す・・ 急ぎながらも、 ゆっくりと・・ 慎重に・・

ヘルメットを取りさると、すかさず口元に手をかざした・・が、自分の手袋で分からない!

(え~い! くそぉ!・・ 焦るなワサビィ!・・)

自分のバイザーを開け、再度マスミンの胸部に手を置き、慌てて顔を近づけた・・

(息は? 息はしているのかっ?! マスミンっ!)

気が動転する! 全身の血液が沸騰する!!

(落ち着け・・ 落ち着けっ・・!!)

息をしているのかを確認するために、マスミンの鼻や口に自分のほほを近づけた
と、その時・・ 蚊の鳴くような声が・・

「顔が近い・・」

「マっ・・マスミン・・ 良かったぁ・・ 良かったぁ・・」

急にマスミンの顔がにじんで見えなくなる・・ なんでだろ?
しかし・・ 本当に顔が近い・・

「どうした? ぐちゃぐちゃだな・・」

「そうだな・・ ぐちゃぐちゃだ♪」

「というか、既に私は襲われた後なのか? 下半身に異物を感じる・・
 そして・・ この手は何だ? 責任は取れるんだろうな?・・」

言葉だけを聞くと、かなりきつくトゲがあるように思えるが・・
その口調には優しさがありいつものトゲが全く無い事が解る・・
ふと、自分の手を見た・・
私の手のひらがマスミンの心地よく柔らかなふくらみを包み込んでいた・・

「これは・・ 多分何かの間違いだ・・」

「そうか・・ 間違いなのか・・ 残念だな・・」

「ああ・・ 残念だが間違いだ・・ 」

「だったら・・ 悪いが・・ いつまでも放置せず、間違いを正してはくれないか・・」

「そうだな・・ でも、間違いを修正するには少々時間がかかりそうな気がする・・
 もう少しだけ・・ このままでも良いか?」

「ふん・・ やっと正直になったな・・ 困った奴だ・・
 ほんのしばらくの間だけだぞ・・ だから、うっ・・ んっ~ん・・」


おしゃべりなマスミンの口をふさぐ・・ ごく自然に・・
YUKIKAZEの核融合炉の音だけが、やけに大きく聞こえていた・・


・・・


「ところで、ここは一体どこなんだ?
 秘境に連れ込んで何かするつもりだったんだろ?・・ 卑怯な・・」

「秘境で卑怯な・・って 洒落かよ・・ 余裕だな・・言いたかっただけだろ?」

「余裕ではない、呆れてるのだ・・ まぁこれもこれで趣があるか・・
 しかし何とかしないとな、エアーも尽きるしシャワーも無い・・」

「なんでシャワーなんだ?」

「デリカシーの無い奴だな! それを私に言わせるのか?
 さっきも言っただろ、か弱い女性が気を失っている事を良い事に
 あんな事やこんな事をして、私の下半身をぐちゃぐちゃにしたんだろ?」

「おい・・ 言い方に注意をしてくれ・・ 誤解するだろ?」

「誤解だと?」

「ああ・・ まるで私があんな事やこんな事をしたようじゃないか!」

「してないのか?」

「ああ・・ 神に誓って言おう! してない!」

「そうか・・ 嘘つきワサビィになっちまったか・・
 根性が悪い奴だとは思ってはいたが・・ 嘘をつく奴だとは思ってはいなかった
 残念だ・・」

「はぁ?・・ 頭でも打ったのか? おかしくないか?」

「おや? 今度は私が悪いように言う・・ ほんと卑怯な奴だ・・」

「なんとでも言え! とにかく、 し・て・な・い!」

「嘘つき・・ あんな速度で180度反転し、こんな人間の限界である6Gの逆噴射・・
 そんな長時間・・  どうだ? あんなも、こんなも、そんなまであるぞ♪」

「って・・ そういう意味かよ・・」

「ん? どういう意味に取ったんだ? このスケベ!」

「もう良い、というか やっぱりチビッってるんだろ?」

「うるさいな・・ チビルなんてレベルではない・・ やばい・・」

「偉そうに・・
 まぁ、私も近い物があるがな♪・・ 確かにシャワーを浴びたいな♪」

「ふん・・
 ここで『そうね♪』などと言ったら、それを口実にホテルに連れ込む手口だな?
 まさにプロの手口だ♪ さすがと言っておこう・・」

「いや・・ 川でもあったらそのままの格好でほうり込んでやる♪」

「無理をして・・ 本気ではないだろ?」

「解ったよ、一緒にシャワーを浴びたいな♪ これで良いか?」

「ふん・・ 65点だ♪・・ 」 

「65か・・ 合格すれすれだな・・
 でな・・ 最初の質問だが・・ 今見ると、YUKIKAZEのGPSが故障したみたいだ・・
 具体的にはどこかは解らん・・
 しかしな、減速時に確かにマスドライバーを目視した・・
 つまり飛び越したって訳だ・・ だから、アロー市の方向は、多分あっちだ!
 ただ、どれだけの距離を飛び越したのか、まったく不明だ・・ 楽しいだろ?」

「そうか・・ 楽しいな・・ GPSは故障か? じゃ無線機は?」

「無線機は大丈夫だろう・・ ミノフスキー粒子の散布状況にもよるが・・」

「ちょっと無線機を立ち上げてくれ・・」

「周波数は?」

「それは私がやる・・」

狭い後部座席では位置を交代する事も大変だ・・
なんとか体制を入れ替え、マスミン大尉が無線機の周波数を合わせる

「短波か?」

「そうだな・・ 見るなよ・・ 秘匿回線だ・・」

「そうか・・ 色々あるんだな・・」

「まぁな・・ よし・・ これでいいはずだ・・ ちょっと静かにしてくれ・・
 『トリントンは雨がふるのか?』・・ 『トリントンは雨がふるのか?』」

「・・・ ・・ ・・・・ ・・」

「『トリントンは雨がふるのかっ!』・・・」

「・・ ・・・ ・ ・・・ ・・」

「ダメだな・・ 応答が無い・・」

「みたいだな・・ 何度もトライするのも危険なんだろ?」

「そうだな・・ 届いているのか?も不安だからな・・」

「今はYUKIKAZEから電源を取っている・・ 100Wは出ているだろ・・
 周波数が合っていれば届く出力だぞ!」

「そうか?・・ YUKIKAZEから外すと出力は?」

「確か・・ 20Wじゃなかったかな?・・ 電池だからな・・」

「まるで、アマチュア無線機並だな・・」

「さて・・ どうする? このままだと、ジリ貧だ・・」

「つまり、機外に出ると言う事だな・・
 非力な無線機と、たった1本の酸素ボンベとで・・」

「感だがな・・ アロー市を飛び越えて、数10秒のはずだ・・
 だから近所にアロー市の外縁偵察基地や施設があると見ている・・
 その施設を探しに行くべきだ・・と考えているが・・ どうだ?」

「ん? 許可を求めているのか?」

「ああ・・ ここに残るか? それとも一緒に行くか? って事だ
 分かっていると思うが、エアーはYUKIKAZEの機内ボンベの方が残量が多い
 しかし、核融合炉を稼動させたままで無いと、生命維持装置は稼動しない・・
 核融合炉はかなりの熱を発する・・
 つまり、サーマルセンサーでの発見されるリスクがたかい・・
 まぁ携帯用のエアーボンベは2時間だ・・ 1時間探して見つからなければ
 ここに(YUKIKAZEに)戻る・・ エアーだけは確保できるからな・・」

「一緒に行こう・・ 一人で残るのは嫌だからな・・」 

「了解♪ 良い子だ!」

マスミン大尉の頭を軽く叩く・・ トントンと・・
ビックリしたような顔で、私を見る、 目がまん丸だ♪・・

「貴様ぁ・・
 その癖・・ 誰にでも使っているみたいだが・・ 私には効果は薄いぞ!
 少しドキッとはしたが・・」

「ん? なんて言った、最後が聞き取れなかった・・」

「どうでも良い、私には効果はないぞ! と、言っただけだ!」

「効果って・・(何の効果だ?) まぁいいが・・」

そう言われると、そうかもしれない・・
無意識でやっているのだろう・・ 昔からの癖みたいだ・・

「じゃ、ヘルメットを付けてくれ、キャノピーを開けて出発準備だ!」

まず、通話無線ユニットを取り外し、YUKIKAZEに搭載されている予備のエアーボンベ・・
月面が昼の場合に使用する太陽光線や放射線などから身を守る、金属布で出来た
ポンチョ・・ そして医療用具や飲料水が入ったエイドキット・・
それらを袋に押し込む・・

「荷物は他に無いな・・」

YUKIKAZEの核融合炉を停止し、キャノピーを閉じ、ロックする・・
そして、薄茶色の防御布シートで機体を隠した・・ これで準備は整った・・

「さて、行くか・・」

「・・・ エアーは節約だな・・ 通話も最低限にしよう・・」

「そうだな・・ じゃ、後ろから着いてきてくれ・・ 援護を頼む・・」

と、ハンドガン(拳銃)を腰に巻き、無線ユニットと荷物をつめた袋を肩に担ぎ
歩き出した・・ というかウサギのように少し飛び跳ねながら歩いていく・・
ムーンウォークは面白い・・ だが、慣れないと飛びすぎて危険だ
振り返えると同じようにマスミン大尉が飛び跳ねている・・
トランポリンのように上に跳びすぎだ・・ 少々滑稽だが、まぁ良いだろう♪
前に方向を変え、進んで行った・・

・・・

地平線に太陽が顔を出している・・
これから14日間、熱い昼が続く・・ できるだけ早く偵察基地などを見つけないと
金属織布で出来たポンチョだけでは、高温になりすぎて危険だ・・
(太陽光を直接受けると放射線濃度の危険レベルも上昇する)
というか、それまではエアーはもたないのだが・・

しばらく進むと、小高い丘が見えた・・
振り返り、マスミンに手で丘の方向を示し、同時に腰の通話機を指す、
そして、口元でしゃべるような手のしぐさをすると・・

「・・・ 丘に登るのか?」 マスミンからの通話が始まった・・

「ああ・・ 太陽も出てきたので視界も少し良くなった・・
 何か見えるかもしれん・・」

丘の頂上付近でかがみ、頂上から顔を出す・・

「・・・ 何か見えるか?」

「う~ん 何も無いな・・ 見渡す限り一面岩と砂ばかりだ・・」

「・・・ というか偵察基地だとすると、地下ではないのか?
     入り口などカモフラージュされていると思うのだが・・」

「そういえばそうか・・ 建物を探していた・・ ある訳ないか・・
 そなると、アンテナなどのタワーを探すしかないか・・ 探しにくいな・・」

「・・・ 無線ユニットを出してくれ・・」

「そうだな、通信してみるか・・」

と、無線ユニットをを肩から下ろしているとき、マスミン大尉の大きな声がした!

「・・・ あ・・ あれは何だっ!」

慌てて振り返る・・ そこに土煙を発見した!
月には大気は無い・・ つまり風などで土ぼこりが発生する事などは皆無だ!

「・・・ もくもくと何かが舞い上がっている・・ 近づいてくるぞ・・」

「ああ・・ 月面バギーだな・・ 一直線でこっちに向かって来る・・
 ん? YUKIKAZEの方向に向かっているんじゃないか?・・」

月面バギーは丘の横を通り過ぎ、シートで隠したYUKIKAZEに確実に向かっていく!
悪い感は当たる物だ!!

(ちぃ! まだ核融合炉が冷え切ってないっ! YUKIKAZEが発見される!!)

慌ててハンドガンを抜き、月面バギーの後を追う!・・ が、いくら月面であろうと
人間の足では月面バギーに速度で勝てる訳はない・・ 解ってはいる・・

だが、今は追うしか方法がなかった・・

・・・

YUKIKAZE付近まで戻ると、機体の横に月面バギーが止まっているのが見えた
2人が防御布シートを外しコックピットの中をうかがっているようだ・・
ノーマルスーツの形状が、連邦軍の物ではない事は確認した・・

(ジオン系か? それとも・・)

着陸地点がアロー市の管轄区域であれば、おそらく問題は無いのだが・・
他の市の管轄であれば・・ また共有地域であれば・・
ジオン軍の息がかかっている可能性があるのだ・・
バギーも特殊なバギーではなく、汎用的などこにでもあるバギーだ・・
軍を特定できない・・

そのまま2人は、私達パイロットが居ない事を確認したのだろう・・
あたりの探索をはじめた・・ 手には自動小銃を持っている・・

(ちぃ・・ 丸腰だったら良いものを! オートガンかよぉ・・
 そして2人・・ つまりオートガンが2丁かぁ・・
 それに対しこちらは1人・・ ハンドガンが1丁・・ 弾丸は9発・・
 まともにやったら、負けるな・・
 となると・・ 敵かどうかを確認する方法が、何かあるか?)

投降することを前提とし、手を上げて出る事は可能であった・・
しかし、マスミンはどうなる? そして特務という任務は?・・
そんな事を考える・・

(それをやっちゃぁ、軍人失格だ!)

と同時に、自分が勝つための戦術をも考えていた・・
それが軍人の性でもあるのだが・・ いい案は浮かんでこなかった・・
時間だけが経過する・・

そんな時、不意に突かれる感覚に背中が襲われた、振り返ると
不気味に銀色に輝く自動小銃の銃口が目の前に現れた・・
(しまった、バギーには2人ではなく3人居たのか!!)
音が無い宇宙(月面)では、気配を感じる事が出来ない・・
訓練では習っていたのに・・ もっと回りに気を配らないと・・
(なにやってんだ! 基礎の基礎じゃないか!! くそぉ!!)
月面白兵経験の無さが露呈される・・

ハンドガンを地面に落とし、両手を上げた・・
自動小銃に小突かれ促されるまま、月面バギーに向かう、見ると月面バギーの
乗降口に先ほどまで散策していた2人が自動小銃の銃口を私に向け待機していた・・
(まずいな・・ ジオン系なのか?・・)
私のノーマルスーツは連邦軍の物だ・・
だから連邦軍と親交のある月面都市の自衛軍なら銃口は向けないはずだ・・
しかし、今はしっかりと3人の兵士に狙われている・・

彼ら3人は互いに通信を行っているようだが、両手を挙げている状態では
周波数のチャネル変更も出来ない・・
月面バギーに入るようなしぐさに従い、月面バギーに搭乗した・・
最後尾の座席に座らされるが、依然として1人の兵士が自動小銃をこちらに向けている
ドライバーらしき2人が運転席に着座し、月面バギーが動き出した・・
バギーは開放型であるため、エアーの充填は無い・・
少しでも彼らが話す内容が解れば、気持ちも落ち着くのだろうが
全く情報が掴めない・・ 焦る・・

ふと、窓の外に人影を見かけた・・ マスミン大尉を残した丘の横を通り過ぎたのだ
自分の心配だけでも大事なのに、マスミン大尉の心配もそこに重なり不安が増大していく・・

(くそぉ・・) 何も出来ない自分の非力さを認識していた・・

・・・

かれこれ10分ほど走っただろうか・・ 急に周りが暗くなった
月面バギーがトンネルに入ったのだろうか・・ というか振動も少ない・・
舗装されている? (基地に入ったのか?)と思うまもなく、月面バギーが停車した・・
暫くすると、急に白い煙に包まれる・・ 氷結だ!(エアーロックか・・)

私に銃口を向けている兵士がヘルメットのバイザーを上げて何か言った・・
(バイザーを上げろってか?)うなずいてバイザーを上げた・・

「申し訳ありません・・ 地球連邦軍の大尉殿でありますね
 我々はアロー市自衛軍ウエストエンドベース防衛隊です・・
 アロー市への入市申請が出ていないため、確認ができるまで規程に則り
 一時拘留いたします・・
 あのモビルアーマーのような大型戦闘機は貴殿の機体でしょうか?
 複座機でしたが、他にパイロットはおられるのでしょうか?」

「そうか・・ 良かった、アロー市自衛軍なんだな・・ 助かった・・」

「申し訳ありません大尉殿、こちらの質問にお答え願いませんか?」

「おいおい・・ 私は地球連邦軍人だぞ?」

「おっしゃる意味が解りません・・ 我らアロー市は中立を宣言しています・・
 ジオン公国との戦争中である地球連邦軍です、双方どちらの肩を持つわけにも行きません
 というか、入市申請を出されているのですか? 不法侵入となっていますが・・」

「おい・・ ちょっと待ってくれ・・ 聞いている話と違うが・・」

「何をお聞きなのか解りかねますが・・
 申し訳ありません・・ 私ではこれ以上お話できません・・
 おい! 三曹! 監禁室にお連れしろ、丁重にな、大尉殿だ!・・」

「おい・・ ほんとに、ちょっと待てよ!・・」

「もう一度お尋ねします・・ あの大型戦闘機のパイロットですね?
 あともう1人、パイロットがおられるのですか?」

マスミン大尉の顔が脳裏に浮かぶ・・

「貴様に言う必要は無い!」

「そうですか・・ 了解です・・ おいっ三曹!」

「はっ!」

三曹と呼ばれた助手席のサブドライバーが、拳銃を抜き私を追い立てた・・
(一体どうなっているんだ・・ 友好関係にあるのではなかったのか?)
月面バギーを降りると、まだバギーはエアーロックの中であることが解る
エアーロック室の前後ドアは閉まったままだ・・
(基地の中には入れない・・ いや見せないって事か・・)

そのまま、エアロック壁面の気密ドアから中に入り、小さな部屋に入れられた・・

「大尉殿、申し訳ありませんが、ヘルメットをこちらにお渡しください」

「ああ・・ 解った・・」

「あと、認識票(ID)と、時計も含め装備品を全てこちらのBOXに入れてください」

ヘルメットには通信機のマイクとスピーカが内蔵されている、完全に捕虜扱いだ・・

「三曹・・ 1つ聞いても良いか?」

「はい・・
 ただ、お答えできる内容と出来かねる内容がございますが・・ どのような?」

「いや・・ 簡単な事だ・・
 アロー市は我々は友好関係だと聞いていたのだが・・」

「お答えできません、我々は中立を宣言しています。お察しください・・」

「そうか・・ ありがとう・・ 」

「では、何かありましたら、こちらの通信モニターをご利用ください」

「了解だ・・ と・・ カメラ付きなんだな・・ 監視されているのか?」

「申し訳ありません、お察しください! では!!」

と、三曹はドアを閉め退室した・・
監禁された部屋は3メートル四方程の小さな部屋で、ベッドとトイレが付いているだけの
簡易的な作りである・・ ベッドに腰をかけ、頭を整理する・・

(アロー市に行く事は特務だと言っていた・・ つまり極秘任務だ・・
 そうなると、底辺の士官や兵では話が繋がらない可能性が高い・・
 で・・ 友好関係はサイド6のように甘くはないな・・ どうやら軍機のようだ・・
 月都市は原則中立であり、裏では連邦軍と友好状態であっても公ではない・・
 というか、アロー市の場合は自衛軍の一般士官や兵にも極秘にされている可能性が高い
 また、入市申請などを出すのであれば、いくら特務でもシャトルで入市するはずだ・・
 不法侵入といわれると言い訳も出来ん・・
 くそぉ・・ 成す術が無い!)

背中からベッドに倒れこみ、監禁室の天井を見る・・ やけに天井が高い・・
YUKIKAZEから離れて、既に1時間以上は経過しているだろう・・

(マスミンはどうしているんだろう・・ エアーも気になるが・・
 無事でいれば良いのだが・・)

<第49話>アロー市自衛軍」に続く・・・

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