いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第49話>アロー市自衛軍 / [小説]ガンダム外伝

2011-04-17 19:10:40 | [小説]ガンダム外伝
<ここまでの話>
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【第2部】
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【第3部】
<第47話>月面着陸・・
<第48話>敵か味方か?
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YUKIKAZEから離れて、既に1時間以上は経過しているだろう・・

(マスミンはどうしているんだろう・・ エアーも気になるが・・
 無事でいれば良いのだが・・)

・・・

ぼんやりと高い天井のシミが目に入ってきた・・

(ん? そうだった・・ 監禁されているんだっけ・・)

疲れが溜まっていたのだろう・・
重力のある状態でベッドに横たわった事で、身体が睡魔に負けたようだ・・
また、相手がジオン軍では無いことから、命の保障が確保された事も一因か

いったい何時間経過したのだろうか・・
時計も取り上げられているため時間も不明だ・・
ベッドから起き上がり監視カメラを見上げる・・

(そういえば、用があったら通信モニターを、と言っていたな・・)

と思ったとき、ドアの鍵があく音がした、
ドアが開くと小柄な温厚そうな男が部屋に入ってくる・・

「やぁ・・ お目覚めかね? ワサビィ大尉」

「ええ不覚にも眠ってしまったようで・・ どのぐらいで?」

「3時間ほどだが・・ 大尉・・」

「あぁ・・ 3時間もかぁ・・」(ん?)

小柄な男の肩に記章が見える・・ 星が2つに線が2本・・ 中佐?

「と・・ 申し訳ありません・・ 中佐・・いや 二佐殿でしょうか?」

「ほう! 解りますか・・ さすがですな
 いかにも、私は自衛軍ウエストエンドベース隊の責任者・・ まぁ隊長ですな」

「はっ! 失礼な態度、お許しください!」

「いやいや・・ そんなに硬くならなくても良ろしい・・
 ところで、幾つか聞きたい事があるのだが・・ いいかな?大尉・・
 一つ目は、貴殿は何のために月面に降りた?
 二つ目は、大型戦闘機は貴殿の搭乗機か?  この2つだが・・」

小柄でな温厚そうに見えた二佐だが、眼光には威圧感が感じられる・・
僻地の自衛軍かもしれないが、それなりの修羅場は乗り越えてきたのだろう・・
邪険には出来ない事を理解する

「二佐殿・・ 一つ目のご質問には答えかねます・・
 二つ目は肯定であります・・」

「ありがとう・・
 実は、市軍中央局に問い合わせを行ったのだが、返答は『継続拘留せよ』だった・・
 それで、貴殿が寝てしまっていたので、起きるのを待っていた訳だ・・
 だがな・・ ちょっとおかしな事態が発生してな・・」

「おかしな事? どのような?」

「貴殿の大型戦闘機だが、ロストした・・
 うちの兵に戦闘機の回収を命令したのだが・・ 行ってみると機体が無い
 やはりパイロットがもう1人居たのではないかな?」

「えっ! そ、それは・・本当でしょうか?」
(マスミンは、どうなった? まだ彼らには拘束されていないようだが・・)

「貴殿に嘘を言ってどうする?」

「いや・・ あの機体は燃料も推進剤も既にエンプティです・・
 自力での移動は不可能なので消えるなどは・・」

「それでは、貴殿の知らない誰かが移動した? と言う事なのか?」

「あの地点に機体が無い・・ というのであれば・・ 」

「そうか・・ すまなかった・・
 貴殿はこの後、市軍中央本部に異動する、継続拘留だが場所が本部になる訳だ・・
 そして本部が取調べを行うそうだ・・ いや、そう聞いている・・
 これも急に言ってきてな・・ 詳細は不明だ・・
 まぁ、くれぐれも穏便にな、問題を起こさないよう、
 私の兵に従ってくれるよう節に願う、
 それから、その格好ではまずいだろ・・ こんな服しかないが、これに着替えてくれ・・」

作業着のような服をベッドに置く

「これは?」

「ああ・・ 市局の清掃員の作業服だ・・
 今着ているノーマルスーツよりはマシだと思うが♪・・」

「ありがとうございます・・ 実は着替えたくてムズムズしていました」

「ミストシャワー室へは、うちの兵が案内する・・ では私はこれで失礼するよ・・」

隊長を名乗った小柄な男が背を向けた・・

「あっ・・ 二佐殿! 最後に一つだけ・・
 機体は? どこに? いや・・ 本当に無くなったのですか?」

「ああ・・ 消えた・・ 我々もそれが不思議なんだよ・・」

と、言い残し、男は左手を上げながらドアから出て行った・・

消えたって? YUKIKAZEが消えた? 20メートルを越す大きな機体だぞ!
(訳が解らん!)

考えられる事はマスミンだ・・
あの場所に置き去りで、この基地に連れられていない事を考えると、
多分彼女が何かキーを持っている・・
逆に最悪を考えると、他の市のパトロールに拿捕された可能性もある・・
(悪いほうは考えたくないな・・ )

脳裏にマメハ大佐とタゴサ中佐の会話がプレイバックする
『死亡フラグは立てるなよ・・』かぁ・・ 

(くそぉ・・ マスミン・・ 無事でいてくれ・・)

切な思いであった・・
そして彼女の任務についても考える『特務』・・

(というか・・ 終わったな・・)

この時点で私が特務に関して何もできない事を理解し、特務の失敗を意識した・・

・・・

ミストシャワーを浴び用意された作業服に着替え、30分ほど待っているとお呼びがかかる・・
2人の兵に従い、基地の中に連れて行かれたが、意外と大きな設備だ・・
長い通路を数分歩き、広い部屋に入ると目の前にカタパルトが見えた・・
奥の艇庫には3機のシャトルが見える・・ シャトルの宇宙港か?

(おお!ガボット級じゃないか!・・ 連邦製のシャトルだ!)

ガボット級は一般にも使用されている形式の古いシャトルだが、
並んでいるシャトルが、ジオン公国製シャトルではない事が小さな気安めになった

(いや・・ シャトルではなく突撃艇か? ならパブリク級か?)

艇庫から艇の前部が顔を出しているだけでは、ガボット級かパブリク級かの
判定は難しいのだが、良く見るとガボット級には無い2つの銃口が見える
いや・・ 銃口というより砲口だな・・ 100ミリほどありそうだ・・

(そうだよな、ここも軍組織だ・・
 やはり連邦軍の息がかかっていると見えるのだが・・ ただ・・
 パブリク級の機銃は60ミリバルカン砲4連装だったはずだが、こいつは連装だ
 そして、大口径だ・・ ガボット級のシャトルではなく、
 パブリク級モドキの突撃艇と考えたほうが正しいだろう・・)

パブリク級の突撃艇は、機体の下部に2発の大型ミサイルを搭載できるが、
見える機体にはミサイルは搭載されず、伸縮するの4本の脚は短いままだ・・
機体に近づくと、側面も視野に入ってくる・・
側面には小型ミサイルランチャーらしき物が装備されていた・・

(やはりな・・ ガボット級を独自に改造している突撃艇だな・・
 しかし、いくら大口径であっても
 進行方向にしか攻撃できない連装砲と小型ミサイルでは時代遅れだな・・)

などなど考えながら、2人の兵に促がされ手前のシャトルに乗せられた・・
二佐が言うように、アロー市自衛軍の中央本部に搬送されるのだ

シャトル発進のプロセスが開始された、訓練が行き届いている事が良く理解できる・・
(というか、目隠しも無い・・って事は? どう言う事なんだ?)

小さな違和感に襲われるが、そんな些細な事とは関係なく
手際よく発進プロセスが進み、シャトルはカタパルトに設置され、発進した・・

射出された後に高度を取る事もなく、月面の低い高度をシャトルは飛ぶ・・
高度を上げる必要性がないからだが・・ 超低空を飛ぶシャトルのパイロットも
中々の熟練者と見える・・ 技術レベルが高い・・
先ほどの発進シーケンスでの手際の良さ・・ そしてこのパイロットの手腕・・
アロー市自衛軍、侮る事ができない・・ というか感心する

シャトルは20分ほどで、アロー市の宇宙港に入港した・・
横付けされたエレカーに乗り換え、地下に繋がるトンネルに入る・・
5~6分でエレカーは地下3層目まで潜り、ある建物の前に停車した・・

建物から出てきた3名の兵に、金属探知機で身体をサーチされたあと
身柄を引き渡され、建物の中に入りエレベータに乗る・・
作りはどこにでもある軍施設と変わりない・・
そのまま、ある部屋の前で兵が立ち止まった・・

「大尉殿・・ 司令がお待ちです・・」

「何? 司令だと・・」

「再度、身体チェックをさせて頂きます、失礼します!」

と、言い、私の身体に対し、手での触診が実施された・・

(厳重だな・・ しかし? なぜ司令クラスなのだ?)

前に感じた違和感が増大する・・

検査が終わるとドアが開き、部屋には初老の男が待っていた・・
初老の男は即時に3人の兵を追い払い、部屋には2人になった・・

「ワサビィ大尉だね? 私はアロー市自衛軍 宙空防衛隊司令のヒックスだ
 遠路はるばる・・ と言いたいところだか、うちの若い連中に粗相はなかったかな?」

「はっ! 司令直々にありがとうございます!
 自衛軍の皆様は、錬度も高く、素晴らしいと感じました
 粗相など、とんでもないと感じております」

「そうか・・ ありがとう・・ 世辞でも嬉しく思う・・
 そう硬くなるな大尉・・」

「いえ・・ そう言われましても・・」

「大尉はお嫌いかな・・」

と、言いながら、司令はワインの瓶とグラスを2つ持ち出した・・

(一体・・ なんなんだ・・ 取調べではないのか・・)

「いえ、肯定です! 人並みに・・と言うレベルで・・」

「じゃ・・ 乾杯だ♪
 私はね・・ ここでの階級は准将だが、連邦軍では大佐だ・・ 」

グラスに注がれた、真紅の液体がルビーの如く輝きゆれる・・

「えっ? 今なんと・・」

「だから・・ 内緒だぞ♪・・ 軍機だ・・ 数名がアロー市自衛軍に
 出向しているが、全て極秘にされている、なんせ、ここは中立だ♪
 ジオン軍にマスドライバーを修理され、使用されては堪らんからな!」

「ああ・・ やっと話が合いました・・ といっても1つだけですが♪」

「少々苦労かけたかもしれん・・ 特務は聞いていた、まぁ内容までは知らんがな♪
 支援するように聞いている
 まぁ無制限とは行かないが、ある程度は自由に行動できるよう取り図ろう」

「ありがとうございます! ああ・・ そうだったのかぁ・・ 安心しました♪
 では、同行した特務大尉の所存もご存知なのですね?」

「いや・・
 悪いが・・ 彼女の事は分からん・・ 我が軍のパトロール網では確認できていない・・
 すまんな・・
 連邦からは2名と聞いていたのだが、ウエストエンドベースからは1名だと
 聞いて、おかしいな?とは思ってはいたが・・ やはりまだ1名、居るのだな?」

(マ・・ マスミンが・・ MIA?・・ いや・・ まだ・・)

「そうですか・・ あちらのベースで、私が2名居ると言っていれば、捜索されていた
 と言う事ですか・・
 しかし、友軍である事が確認できず、伝える事が出来ず・・
 ああ・・ 失態だ・・」

「そういうな、仕方が無い・・」

「そうなると・・ 私が搭乗してきた、戦闘機セイバーブースターですが
 それも、ご存じないと・・ 」

「悪いがな・・ 報告があったのだが、着陸地点から忽然と消えたそうだ・・
 そのように報告を受けている・・
 私としては大尉だけでも救出でき、良かったと思っているのだが・・
 ん? ワインはお嫌いか?」

「いや・・ 申し訳ありません・・ 仲間の事が心配で・・」

「そうだろうな・・
 パトロールを強化するか・・ そして隣市への問い合わせも行ってみよう・・」

「ありがとうございます! 司令!!」

「じゃ・・ 大尉のお仲間の無事を祈って・・ 乾杯だ♪」

「はっ♪」

・・・

「ところで大尉・・ 特務の期間だが、その格好では動きづらいだろ?」

「はぁ・・ 先ほども同じ作業服を着た人を見かけましたが・・」

「ああ・・ この館内では違和感は無いがな・・ ただ、その服では誰も外は歩かない」

「そうでしょうね♪」

「そこでだ・・ アロー市自衛軍の軍服と認識票を用意する・・ まぁ少々時間はかかるがな
 それだと、自由に行動できるはずだ・・
 職位は司令付、私の配下と言う事にしておこう・・
 そして階級は三等宙佐・・ 少佐扱いだ、給料は出ないがな♪
 まぁ佐官と尉官では、処遇も異なるからな・・ なにか問題はあるか?」

「そんな・・ そこまでして頂けるとは・・
 ただ・・ 他軍の軍服を着ると言う事は、ばれたらスパイ容疑で軍法会議ですよね・・」

「おいおい・・ 私はどうなるんだ♪・・
 私と同じ扱いになる・・ということだ・・ 問題ない♪
 ただ、ばれたら私は知らん振りするからな、巻き沿いはゴメンだ、それは理解してくれ」

「了解です」

「そうそう・・ 名前も変えておきたいな・・
 情報ではモビルスーツパイロットとも聞く、コールサインは何だ?」

「最近では『ベリーワン』とコールしています」

「そうか・・ では、大尉は今から『ベリー三佐』だ・・ それで通してくれ・・」

「そこまでの必要があるのですか?」

「ああ・・ どこから漏れるか分からんからな・・
 ここに自衛軍のおおまかな軍規を用意した、基本は連邦軍の焼き直しだ・・
 違和感は無いと思う・・ 軍服が来るまで目を通しておいてくれ・・
 ちょっと部屋を空けるが・・ 不在票を出しておくので、誰も来ないはずだが・・
 私が帰るまで、誰も部屋には入れるなよ、そこは頼んだぞ、ベリー三佐!」

「はっ、了解しました」

ヒックス准将(司令)は、机上のモニターに軍規情報を表示させ、部屋を出て行った
提示されている書類の量は非常に多いのだが、ヒックス准将が言うように、読んでみると
見慣れた文章で、内容は連邦軍の物とほとんど同一であった・・

(異なるのは・・ 組織構成か・・)

と、組織構成や、軍施設の配置、要員、装備・・ などの文書を確認する・・

(極めて小規模だ・・ 基本的な装備も古い・・)

アロー市自衛軍は2つの防衛隊に分かれている、1つはヒックス司令の宙空防衛隊・・
主に各サイド(サイド6)との航路と月衛星軌道の防衛が守備範囲・・
もう1つは月面防衛隊、これは陸軍に相当する。アロー市の東西南北の方面隊と
アロー市そのもの(地下都市)が守備範囲だ・・
私が拘束されたウエストエンドベースは、アロー市防衛軍月面防衛隊西部方面隊に
所属していた・・

(そうか・・ 組織が異なるんだな・・)

見ていくと、搬送時に乗せられたシャトルやパイロットは、宙空防衛隊に所属している
私への扱いに違いがあったのは、そのあたりが影響しているようだ・・

宙空防衛隊には宇宙戦闘機隊はなく、主な部隊の装備は突撃艇だ・・
艦船は戦艦や巡洋艦の所有は無く、コロンブス級の補給艦を数隻保有している、
補給艦ではなく輸送艦として使用しているのか、それとも突撃艇母艦に改装されているのかは
資料からは読み取れない・・

あのガボット級シャトルも思ったとおり突撃艇として登録されていた、
大口径に見えた銃口は大きく見えたはずだ120ミリもある・・
形式番号を見ると『M-120A1改』との記載が・・

(なにぃ!!このコード番号って・・ ジオニック社のザクマシンガンじゃないか!)

ガボット級の突撃艇は連邦側製の機体・・ そして装備はジオン公国製の装備・・
金銭で動くルナリアン達・・ その片鱗が見えたような気がするが、
決して非難する事はできない

(しかし・・ あの初速が遅いザクマシンガンなんて・・)

と一瞬馬鹿にしたようにも思えたのだが・・

(いや・・ ちょっと待てよ・・)

考え方によっては、自機速度を上げて一撃を加える突撃艇の攻撃スタイルでは、
初速が遅くても弾丸に加速度を加える事ができる大口径のザクマシンガンは有効かもしれない
更に考えると、安定した性能を提供できる枯れたテクノロジーは、使用する側や、整備する側
つまり運用に安心感と安定性を与える・・

(意外と合理的なチョイスかもしれんな・・)

少々唖然としながらも、妙に感心している自分がそこにいた・・
更に資料を見ていくと・・ 新たな驚きもあった、
モビルスーツ隊が一個中隊編成されているのだ!
月面防衛隊にではなく宙空防衛隊に組織されている・・

(時代はやはりモビルスーツなんだな・・ さて何が配備されているのだろう・・)

と探してみたのだが、装備一覧にはモビルスーツらしき名称は確認できない・・
まぁ、そこに『MS-06』などの記述があったら、完全に焦ってしまうのだが・・

また、准将が用意してくれたファイルの中には、ありがたい事にアロー市の地図もあった・・
現在の場所から、ウエストエンドベースはかなり離れた地点にあることを理解する・・
というか、『B-17』と記載されたベース?に非常に近い事も読み取れた・・

(B-17か・・ マスミンが居る可能性があるかもしれんな・・)

准将は『特務を遂行してくれ』と言われていたが、私は特務の内容を知らされていない
だから、私の最優先課題は、マスミン大尉とYUKIKAZEの所存確認だ・・
そしてその次が、如何にしてグリフィンに戻るかだ・・
ジオンとの決戦・・ 予定されている大規模な作戦(ソロモン攻略戦)までには
なにがなんでも帰艦しなければならない・・

ふと、地図に面白い物を見つける・・

(何? 地下トンネルか?)

どうやら、このアロー市の東に隣接する、フォン・ブラウン市とは、
なんと、地下トンネルで繋がっているようだ!
月面防衛隊の守備範囲に「地下」の文字があった事を思い出す・・
地下トンネルは月面都市において重要なインフラ・・
いや、ライフラインでもあるのだ! ここを守らないと意味は無い訳だ・・
アロー市自衛軍の必然性を理解する、私達の地球連邦軍に比べ、守るものが明確だ! 

(うらやましいな・・ いい軍だ・・ この戦争が終わったら私も・・
 ん? そ・・ そうか!
 あのガボット突撃艇の艇長・・ 民間シャトル出身のパイロット技量ではない
 あまりにも腕が良いと思ったが・・
 連邦軍の退役軍人なんだ! きっとそうだ! 間違いない!!)

小さな疑問に対する答えを導いただけなのだが、そんな些細な事でもなぜか嬉しくなる
この先、何をすれば良いのか、いや、できる方法があるのか、など暗中模索の状態で
不安があったのだろう・・ 少し気分が楽になり口元がほころんだ・・

地下トンネル・・ 確か、月面都市の間では証明書があれば、申請書(ビザ)無しで、
行き来ができると聞いている。
月の裏面にあるグラナダはジオン軍の基地なので例外だが・・ 

(フォン・ブラウンかぁ・・ そうだ!チーフが居るじゃないか!
 『特務』の何かが解るかもしれない! そしてマスミンの手がかりも・・
 B-17・・ あのチーフなら、何か知っているはずだ♪)

ヒックス准将に、これ以上の迷惑をかけることは得策ではない、
検索し、地下トンネルにはリニアカーがあり、自由に行く事ができることを確認した・・

(よし! フォン・ブラウンに行こう♪)

人間とは単純な生き物だ、目標や目的がわからず、不安になっているときは、気持ちも
沈んで覇気もなくなるのだが、些細な事でも、目標が決まると元気になる♪

(腹が減ったなぁ・・)

元気になった証拠だろうか・・ 急に腹が減っていることに気付き
グラスに残ったワインを一気に飲み干した・・ 空腹の胃にワインが染み込んでいく・・

そんな時、急にドアが開いた・・
准将が帰られたのか?と、顔を上げると、ドアから一人の自衛軍ウェーブ(女性兵士)が
入ってきた・・

(ん? 誰も入ってこないはずなのだが・・)

と顔を上げ思った瞬間に、自衛軍女性兵士が銃を抜く・・

「きっさまぁ! そこで何をしている! 清掃員の分際で!
 司令の端末から離れ、手をあげろっ!! スパイだな?  警備兵! 警備兵はいるかっ!!」

<第50話>大丈夫だよね・・に続く・・・

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