東北総合体育大会と言う、東北の大学が集まってやる競技大会があるのですが、その陸上部門が21・22日と岩手県陸上競技場で行われました。そこで撮影してこいと、オーダーが来たのが1カ月前。大会のパンフレットが出来たのが20日のこと。本来だったらパンフレットを使って、この競技を撮るとか、この競技の誰を撮るとか打ち合わせをするのですが、直前に確認をとった所「6つの大学の出場選手を出来るだけ撮る」と言うオーダーです。「もう本当、出来るだけでいいですから」、実はこの言葉は非常に厄介だ。弱い大学はほとんど写らなくなる。6つの大学のうち3つは強い。だが2つは確実に弱い。弱い所をどう押さえるのがキモになるが、弱い所は選手も少ない。ちょっと油断すればあっという間に予選落ちしてしまう。なので全く気が抜けない撮影になる。
陸上競技って走ってくるだけだから、カメラのAFと連写で十分じゃないか?そう思うかもしれない。だが実際はそうも行かない。今のAFは非常に優秀なのだが、競技特性によってはそのAFの使い分けも必要だ。例えばハードル競技だ。間違ってもマルチAFを広く設定しては行けない。ハードルにピントがあってしまって人物にピントが合わない可能性もある。余裕があればシングルモードAFが一番いい。だが今回は全く余裕がない。なのでマルチAFの範囲設定をマメに切り替えたりする。
走り高跳びのように、被写体を追ってゆく中に支柱が入り込むものもある。一瞬AFがそれで外れるのだが、そうしないようにシャッターボタンを一瞬緩めたりする作業もあったりする。
オーダーからいっても、先頭の選手だけを撮れば良いと言うものではない。先頭のすぐ後ろの選手の表情を撮るとかそう言った作業もある。そうなると広範囲のマルチAFは微妙に厄介になる。あまりないのだが、たまに悩みだす。悩みだすとニッチもサッチも行かなくなる。
更にレンズとの相性もある。なぜかAFの効きが遅いレンズがあったりする。これは未だ持ってナゾなのだが、電気接点をいくら磨いても治らないから、多分相性なのだろう。
連写機能もかなり良くなっている。秒間5コマだ。実はこれも問題。ファインダー上では高速に瞬きをしている状態になる。すると脇が見えなくなる。後ろにいる奴とか、隣にいる奴に目配せが行かなくなる。一人を追う時には良いのだが、今回みたいな課題だとイザと言う時しか使えない。かといって連写モードをいちいち切り替えていたら、それはそれで反応が遅くなる。
おまけにだ、カット数が増大しすぎる。デジカメだから暇な時に削ってゆけば良いのだが、100メートルを撮って合間に砲丸投げを撮る、そんな感じで進んでゆく。昼飯を食う時間も5分とかなってゆく。下手に連写をすれば後々整理する時間に響いてくる。
二日で1400カットでおさえられたのは、もう努力。どう撮影を効率化出来るか、それだけだ。1分以内にどう移動出来るか、最適なポジションにいれるか、こればっかりだ。
大学に進んでまで陸上競技をやっている連中がいる。競技者のレベルはかなり高い。インターハイに比べれば東北の大学が集まってだから、低いんじゃないの?そう思われると思うが、インターハイ出場経験者はザラ。東北インカレ・全国インカレもザラ。入賞経験者もザラ。出場選手の半分がそんな世界だ。写真の10秒55は100メートル決勝のタイムだが、このタイムは20年前にはどんなものだったか、考えてもらいたい。
なので撮影スキルもそれなりのものが必要になる。今年はありがたい事に岩大の選手の練習を、たった2時間だが真面目に取る時間が出来た。走り幅跳びと三段跳びは一応練習出来た。走り高跳びも練習出来た。障害は何とかなる。フィールドは棒高飛びとハンマーが未経験だ。ここは諦めるとして、ハードルは過去に練習した経験があるから何とかなる。問題はリレーだ。これだけは経験もなければどうなるかも解らない。
そうこうやって陸上競技全般を撮影するのはなんと22年ぶりだったりするのだ。もの凄く緊張していました。
さて私が陸上競技で大好きなのは、投てきです。もう大好きです。なぜって?会場で自分の体型に近いのがワンサカいる訳です。あとはもうほっそりとしていて体脂肪率9%以下の人たちばかりです。たまにそれ以上の人もいますが、私よりはかっこいい訳でそれが不安になる所です。
あと大きいのは、100メートルとか400メートルの選手だともの凄くピリピリしている訳です。トラック競技全般に言えますが、あの空気がイマイチなじめません。
これがですね、投てきだとガラっと空気が変わります。みんな社交的なんですね。ライバル同士でも馬鹿話をしています。下手すりゃ互いにアドバイスをくれあっています。互いに切磋琢磨している雰囲気がいいです。
なお当然ウラもありまして、そうやって牽制しあっている、というのも事実です。あと競技人口が少ないので、どの大会でも同じメンツになるというのもあるようです。それなりに仲が良くなります。
今回投てきでかなり違和感を感じたのです。特に砲丸です。私は砲丸投げの撮影には自信があります。真面目にこれは機会があれば練習する課題です。
投てきの撮影が大好きっていうのは、彼らが超マニアックだからです。こちらもマニアックに答えるしかありません。おまけに連写が効きません。投げる瞬間のトップスピードはムチャクチャ速いです。重いから飛ばないだけで、野球のピッチャーよりある意味難しいです。
ある時に岩大で砲丸の練習をマジメにしていた学生がいたのですが、おもしろがってかなり撮影しました。当時カメラがかなり良くなかったのですが、砲丸で横からのバストアップの撮影という課題で撮影していました。
これが難しい。どの程度難しいのかと言えばとにかくその瞬間は速いと言う事。確実に今現在のカメラの連写では難しいです。シャッター一押しで決めないとムリです。
でも本当に勉強になりました。その後妹さんが大学に入学して今度は妹さんなのですが、これがまた凄い。下手な男子選手より圧倒的だった。おかげで、大抵の選手ならタイミングをあわせられるようになりました。
インカレ常連レベルを捕まえて何をしているんだか。
写真は秋田大学の学生ですね。こうして槍投げを見ていると、膝と肘と腰に悪そうなスポーツですね。野球と違って重いので、そうそう練習量を上げられないのが救いでしょうか。
投てき競技はもの凄く奥深い。全身の筋肉を効率よく連動させて重い砲丸や槍を飛ばす。ほんの1秒以下で最大スピードまで持ってゆく。一見ガタイだけが良いように見えるが、精密機械のようだ。投げるフォームがわずかに狂っただけで結果が大幅に変わる。そこが見ていて面白い所だ。
さて何が違和感があったのかと言えば、トップスピードに上がる直前にスピードが落ちる選手が目立ったのです。パワー不足かフォームに問題があるかです。たぶんフォーム。どうも東北の競技レベルが下がったようです。関係者曰く「3年ほど前に強い選手がいすぎたため、後輩が育たなかった」そうです。普通は強いのがいれば後輩もがんばってくれそうなものですが、競技人口の少なさがネックになるんでしょうか。競い合う同級生もいない中で強い上級生の実力を見せつけられたら、心が折れますね。ただでさえ修行のようなトレーニング、セルフチェックをしながらひたすら投げて、ひたすらウエイトして、ひたすらストレッチしてですから。究極のフォームを手に入れるためには、それしか方法がないのです。
しかし20年前に「ハンマー投げなら直前10メーターでも大丈夫だよ」と言われていたのですが、ちょっと危険でした。
そうはいっても投てき競技を楽しんで参りました。これは趣味。欠点は同じ人ばっかり写真に撮ってしまう事。下手すりゃ砲丸・円盤・槍・ハンマーと全種目出る人がいますから。
この投てき競技から外れると、ピリピリしたトラック競技です。特に短距離がヤバイですね。でも最近の子の特徴なのでしょうか、昔に比べればあの空気は柔らかくなっています。
まあ高校の先輩後輩だったり、県強化選手だったりしますから顔なじみだと言う事もあるかもしれません。
ハードルとリレー、障害競技以外は写真を撮るのは難しい事は無く、長距離になるとシャッターチャンスありまくりですから余計な事をはじめます。レンズ使いまくりです。スーパーワイド使ったり標準レンズ使ったりとか、およそスポーツ写真の撮り方から外れてゆきます。
ようは飽きています。
今年は幅跳びと三段跳びの撮影練習をしていたのがよかった。こういった事はちょっとやっていたかどうかでかなり変わる。しかし、この競技の場所なのだがカメラマンがいては行けない場所です。審判の邪魔になるのが理由です。そこで、望遠で撮影していると役員がしょっちゅう横切る。もう何回じゃまされた事か。そうしてイライラしていたら、別な役員が「もっとよって撮れば良いじゃない?」。けっこうお年寄りが多いので、なんかフリーダムです。
幅跳びの計測器具です。手前のプレートに小さな穴が開いてあって、奥のスリットの真ん中に針金が通っています。小穴から覗いて針金が真ん中に見えるようにして、計測点を覗いて位置を決め、手前のメジャーで距離を見ます。極めて原始的な測量器具です。同様なものが平板測量で使われています。平板測量では1/100の精度で測量出来ますが、熟練者だと1/300は出せます。この器具だと小穴のプレートが厚いので、もっと精度が出せそうです。
なんでこんな器具で良いのかと言えば、測る場所が近いからです。1メーターから2メーターの距離ですから5ミリ程度の誤差になりますが、測量点を示すピンが大体この太さなので誤差が相殺されてしまいます。
ということでこの器具でも大丈夫です。雨にも強いし、丈夫だしメンテナンスも簡単です。欠点は測量者による誤差がある事。このため定期的にメジャーで測り直して誤差が許容範囲かどうかを確認しなければ行けません。
もうちょっと進歩した器具があると思うのですが、これはこれで面白い光学器機です。
さすがに二日間で2万歩以上歩いたら、膝が痛くなりました。腰も重いです。昨年はソフトボールの撮影で腱鞘炎になったので、かなり気をつけていましたが、まあまあな状態です。
ただですね、撮影するテンションをずっと高すぎず低すぎずに安定して高めにし続けたせいで、頭の調子が元に戻りません。7時間撮影して、帰って6時間かかって写真を整理してですから、二日間ぶっ通しです。撮影したその日に見ないとミスしたまま仕事を続ける怖れもあります。スポーツだとかなり厳しいのでそこはマメに。
身体はバテバテなのですが何かしていないと落ち着きません。かといって、実際頭も疲れているので何が出来るって何も出来ないのですが。
なので全休にします。しかしカメラを修理に出します。仕事では問題はないのですが、カードスロットエラーがしょっちゅう出るのです。さすがに不安です。カメラもしばらくお休みしてもらいます。まったく、3ヶ月前に修理に出したばっかりなのに。なにかカードスロットのコントローラーがいかれているようです。多分全部交換。
そんなこんなで、ようやく回復してきました。
文章を読むと、頭はまだ壊れていますね。このあたりのコントローラーチップ、交換出来ないのかな。