夜のブログ

講評です

【-2】 回るんですぅっ!

2007-02-25 23:54:50 | 講評2007
内容: 0
文章: -2

要素要素は怖いんですけどね。
全体を通すとすごい違和感があります。
怖いかどうかは舞い方次第ですね。
飛んでる首の話はそりゃ怖いものですが、それは類例の多い話でもありますので。

ところがその舞う首自体の描写があまりにも貧弱。
約半分が車庫の説明に使われているけど
その後の話にはあまり関係がないから割愛してもよかったですよね。
その割りに

> 昔はそのあたりも整備場だったらしいし

こういう重要な説明を書かなかったりするわけで。
文章そのものもお世辞にも上手とは言えないしなぁ。
技術的にはマイナスにせざるを得ませんね。

【+1】 海神祭

2007-02-25 01:10:13 | 講評2007
内容: 3
文章: -2

海の見える温泉とかホテルはあるけど、海の見える便所か・・・。

それにしてもこれは意外な海神でした。
頭部についてしか言及されてないので頭だけかと思いがちですが
実際は海面下に胴体があったのかも知れません。
するとこの群れは海で死んだ漁師の帰ってくる日なのでしょうか。
幾ら明るいとは言え、夜視認できるくらいなのでかなり近かったのでしょう。
これはかなり怖いので、距離についての言及も欲しかったところ。

ただどうしても便所のことが頭に描けず苦心しました。
また「ぷかりぷかりと波間に漂っている」という記述は
なんだか受動的なイメージを受けるのですが、能動的に陸を目指しているなら
そう書いたほうが良かったように思います。
ゆっくり動いているのに来た方向から向かう方向までわかったということは
相当長時間眺めていたか、或いは単に群れなしていただけではなくて
列のようになっていたんでしょう。
そういうところもちゃんと書いた方が得だと思いますよ。


【+2】 漂流

2007-02-25 00:40:15 | 講評2007
内容: 1
文章: 1

緑色に光る・・・

まさかキャッツアイではないですよね?

中年男だということだから違うか。
このタイトルのセンスが素晴らしいと思いました。

ダラダラとコメントすべき話でもない感じなので
気の利いたことは何にも言えません。ごめんなさい。

【+2】 オモリ

2007-02-25 00:34:15 | 講評2007
内容: 1
文章: 1

去年一回だけ使った造語「プロレタリア怪談」。
竈の灰の水は関係あるのかなぁ?
まだ早い時間に一度しかチェックしに行かなかったことが悔やまれます。
錘と足かせのインパクトがあって、水のイメージがやや遠のいてしまいましたが
その、何となく関係ありそうな、でも解らないくらいのがこの話のツボなのかも
知れません。

文章も過不足なく読みやすくて好感です。

【0】 自爆

2007-02-24 19:25:21 | 講評2007
内容: 2
文章: -2

まずすでに指摘されているとおり、爪で小さな幼虫を捕らえる鳥はどうなのよ、
という疑問があります。
鍵爪は鉤爪のことだと思うのですけど、まぁこの誤字に気づかない時点で
あまり鳥には詳しくないのだとは思う次第。

(ヴェロキラプトルのような爪を想像されるかも知れませんが
鳥類の爪は全て鉤爪でよいらしく、雀の爪でも鉤爪です)

普通はまず有り得ないことだと思います。
ただ鳥が空中から獲物を狙うときはかなりのスピードですので
予測して観察しない限り、見誤ることはあるので。

体験者の見間違いか、はっきりしなかったから著者がうっかり勝手に補ったのか
或いはバカな鳥だったのか。
真相はわからないけど、とりあえず作品のマイナス要因であるとは
言えると思いますよ。

で。ここからが講評なんですが。
内容は面白いです。
特に子供の悪戯と直結している部分もトラウマ度が高い。

文章も良いと思います。
手の施しようがなくなったイモムシに必死で懺悔する千里さんの描写が特に。
それだけに、前述したマイナス要因が残念ですが。

【+6】 浜辺

2007-02-24 18:53:36 | 講評2007
内容: 3
文章: 3

ああ、これはいいですね。
あまり伝えられることのない、島国との日本軍との関係を含めて
現代でこそ生きる怪談と言えましょう。
そしてちゃんと怖い。

臨場感のある書きぶりもナイス。
説明のスケールのとり方や時間軸の進め方に書きなれたというか
非常に説明し慣れたものを感じます。

とんでもないものが現れたりはしてないのに、この嫌な怖さには
淀みない説明が一定以上貢献していると思います。
うーん、グレート。

【+3】 じゃっじゃっ

2007-02-24 18:42:03 | 講評2007
内容: 2
文章: 1

スポット通り過ぎ型の怪異としてはチャーハン作ってるときだけ
現れるという珍しいものです。
料理作ってるのを見られるのを嫌う女の子とかいますよね。
そういう人のところに現れたらいったいどういう反応をするんだろうか。
楽しみです。

「私」が従業員だということは解るけど、どんな店なのかも
少し解るくらいに書いて欲しかったかなぁ。
バーか何かかと思ったんですけど、バーで炒飯ってあんまりない気がするし。
不足だ不足だというわけじゃなく、ちょっと絵が頭に浮かびにくくて
そこに気をとられてしまったもので。

とはいえ、ドスンという感じの朴訥な書きぶりに
妙な静けさがあって好きです。

【-2】 無縁仏

2007-02-24 17:38:17 | 講評2007
内容: 1
文章: -3

移設し忘れた無念仏が主体ですかね。
因果関係を前面に押し出した話になっております。
まぁ、好き嫌いの別れるところだと思うんですけど
僕としては極めてニュートラルな印象かなぁ。
怪異の起こる前から、色々と身構えさせる記述が多くて
またそれが大成功してしまった感があります。
身構えて因縁話を読んだら、衝撃を受けず「まぁ、そういう話になるんだろうな」
という予想の範囲に収まってしまいますから。
ですが、最後のちゃんと移動したけど駄目だったかもという示唆がありますので
もしRさんの言うとおりならそこは少し加点したいところです。

話の展開もどうもきちんと閉じてない印象を受けます。
消化不良というか。
(もちろん最後で消化不良というのはいいんですけど
展開する途中で小さな消化不良を残すのは良くない)
一番致命的に思えたのは、葬式の支度で親類縁者が集まった記述のあとで

> 両親ではない事は二人に確認していた。

と書かれてもあまり説得力がないわけです。
Rさんは葬式で実家に戻ってるんだから、両親以外にも親類がいるんだよね?と。
親戚は通いなのかも知れないですから、少なくともこのときは両親二人に訊けば
それで充分だと思ったのでしょうけれど、それならちゃんと状況を限定するか
前述の親戚縁者云々というのは省いておかないといけなかったでしょう。
そうやってちゃんと読み手の意識と、現場の状況をすり合わせておかないと
怪談としては不成立と思われるか、ちゃんと伝わらないことになってしまいます。

文章的には読みやすくていいんですけどね。
技術という点からいうとマイナスは避けられないと思います。
何より、このネタで読み手を身構えさせたのはよくなかった。
読者にガードをさせておいて最後の記述で崩せたならすごいテクニックに化けますが
それもかなり弱い一撃になってしまった感があります。
最後の身内の不幸の件については解釈の余地が色々とありすぎますから。

【+5】 金縛らず

2007-02-22 02:36:48 | 講評2007
内容: 2
文章: 3

紆余曲折あるのは理解できますが
さすがにタイトルには少々無理を感じますね。
むしろ「金縛られるのもいいかも」とかどうですか?
いや、それじゃ「金縛れ」と同じか。

そしてこの最後。
これはかなり好きです。
外人が、とかじゃなくて。
怪談のぶん投げ方はこの辺が難しいように思えますが
これは非常に丁寧な暴投で、匠の技を感じますね。

怪異自体は怖くないけどかなり不快。
(だって不快でしょうよ)
そのうち凄い体勢で寝ないといけないことになるんじゃ。


【+4】 奇禍

2007-02-22 02:11:34 | 講評2007
内容: 2
文章: 2

まさしく奇禍としかいいようがありませんね。
で、これだけ続くのならいっそ伝聞の伝聞になる「運転席に黒い人影が」などは
切ってしまったほうがよかったようにさえ思います。

事故・不幸がこれだけ続くとそれは不気味ですが
6人目に至って不気味さ最高潮。
最後の一行も危ないものを引き受けてしまった感が残り良いですね。

ていうか社長は労災続きで焦りはしたんでしょうけど
噂が立ったあたりでもう引けよと思うわけです。
もうこれは単純な利益主義とかそういう問題ではない気がします。
多少縁起を担ぐタイプだったとしても「新車だから」という油断があったのかも知れません。
真実利益追求を目指すなら、寝かすより節税のために廃車すると思うし。

ただ駄目押し的に見える7人目は敢えて詳しく書かないほうが良かったかなと思います。
せっかく6人目の出来事を臨場感を交えて書いたのですから、そのまま終わる手も
あったかと。