高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

3月19日 ことの始まり

2006-03-20 | 千駄ヶ谷日記
 3月のはじめは、ありがたいことに撮影が重なり、さらにありがたいことに本のプロモーションにあたる取材が相次ぎ、睡眠時間、食事の時間が大幅に削られた。
 その波を超えたので、ここ2日間、ぐっすり眠っている。
 昨日は銀座の本屋さんから帰って、夕方ココにエサをあげてからコトンと夕寝をした。

そのあと、朝作ったスープで食事をして、また数時間寝た。
これは夜中に西麻布のアムリタというバーに行く約束をお隣のきよみさんとしていたから。
夜10時から11時半まで「木村伊兵衛の18万コマ・よみがえる昭和の記憶」という偉大な番組を居眠りしつつ観る。
 それからアムリタに電話したら、そこで写真展をしているカメラマンの池野さんが来てなかったので、取りやめた。
 また眠りに入る。
日曜日の朝まで、私はどれだけ眠ったことだろう。
肌がしっとりして、いつもよりほんの少しだけ顔もかわいい感じがする。
 この自己愛を生かす取材も、デートもないので、日曜の定番で週間ブックレビューを見て、再放送の新日曜美術館「建築家吉村順三の仕事」を観た。

 2月末、長いこと私の本のデザインに関わってくださったサンアドの葛西さんと引地さん、編集の貝瀬さん、若いカメラマンの中さんとパレスホテルの地下でお疲れ会をした。
 翌日は葛西さんがサントリー・ウーロン茶の中国ロケで早朝出発のため、パレスホテルに泊まるとのことなので、ゆっくりとお話をした。
 ステーキハウスの半円形のカウンターの対面には瀬戸内寂聴さんがいらして、仮に出版の話がそちらに聞こえたりしたら超恥ずかしいと思い、話題がそのことになると、声を低くした。
 こういう自分勝手な、意識過剰なところが私の特徴でもある。  
 ほんの少しきこえたところで、寂聴さんが意に介すはずもないのに。
 葛西さんがラテン語のすてきな格言を教えてくれた。
 「すべてことの始まりは小さい」
 「表参道のヤッコさん」という本が出来て、、船出の時を迎えた。
小さな船出だ。
 コツコツと書いて、コツコツと仕上げていただいて、始まりのときをむかえた。
この本が本屋さんに並ぶなんて、夢のようだと思った。

 それから怒涛の一ヶ月が過ぎた。読売新聞と日本経済新聞の書評欄に取り上げてもらい、本屋さんではチラホラとポップも出現した。
 今朝、はっきりと記憶に残る夢を見た。
 「増刷です」と言う声が聞こえたのだけど、それは4千冊だった。
 どうせ夢なら4万冊とか、40万冊とかだったらよかったのにのに、やっぱり夢も控えめでした。
 編集の貝瀬さんに伝えると、きわめてリーズナブルな数字、とのこと。
 ことの始まりの、小さな夢よ、もっと羽ばたいて!