「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン算…その2・中学入試問題《城北埼玉中学校》』

2011年01月31日 | 学習指導法



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割合の特殊算として、相当算・売買算・混合算を取り上げ、そして4番手として仕事に関する文章題について、家庭における指導法を伝授しています。

仕事に関する文章題として、仕事算・のべ算についてすでに説明し、前回から『ニュートン算』を取り上げています。

導入のポイントは、前回の『ニュートン算…その1・中学入試問題《桐朋中学校》』で説明しましたので興味ある方は参考にして下さい。


今回は、ニュートンが出題した『ニュートン算』に一歩近づいた問題を取り上げます。

ニュートン算の解き方のポイントは、まず与えられた条件から『入っている量』・『入ってくる量』・『出ていく量』を整理することです。

多くの参考書や問題集でも、ニュートン算のポイントとなるこの3つの量に視点を当てて、上手く解説したものは見当たりません。

長年の指導で、この3つの数量の条件をまず模式図で書き表す私の方法は、解く鍵を見つける最善の方法ですので、家庭で教える場合この方法を実践してみてください。

前回の桐朋中学校の問題は、この3つの量のうち、すでに『入っている量』・『入ってくる量』が示され、一つの『出ていく量』の条件から、答えを導き出す最も基本的な問題でした。


今回取り上げる『城北埼玉中学校』の問題は、『入っている量』が示され、残りの『入ってくる量』と『出ていく量』を、条件から導き出す次のステップの問題です。

この年の城北埼玉中学校の算数は大問6題の出題で、【1】は計算を含む小問6題構成(問題が2つあるものを含む)で、今回の問題は大問【4】として出された問題です。


【問題1】

 ある映画館で新作映画の試写会が行われました。その日は、上映1時間前に657人の客が入場を待っていたので、窓口を4つ開けて入場させました。入場を開始して18分後でも621人が窓口に並んでいたので、もう2つの窓口を開けて入場させたら、上映15分前に351人が窓口に並んでいましたが、最後まで6つの窓口で入場させました。
 窓口1つで入場できる人数は同じで、窓口を開けてから新しく並び始める客の数は一定でした。

(1)窓口1つで入場できる客は1分あたり何人ですか。

(2)1分あたり何人の客が窓口に新しく並びますか。

(3)この映画館は1000人座ることができます。満席(全員着席)になるのは上映何分何秒前ですか。ただし、立ち見は入れません。



【ヒント】

前回お話ししたように、私が考案した下のような模式図を書いて、与えられた条件から『入っている量』・『入ってくる量』・『出ていく量』の3つの数量をキーワードとして、条件を整理してみましょう。



上の模式図を参考に、与えられた条件を整理すると、『入ってくる量』が出ていないことと、『出ていく量』の条件がややこしいことがこの問題を解くポイントであることが分かります

窓口4つを18分間開けると、並んでいた657人の客が621人になったので、見かけ上36人減ったことになります。

見かけ上1分間で減る「並んでいる客数」は、

(657-621)÷18=
2(人/分)…① 

新しく並び始める客の、単位時間あたりの人数を□人/分とすると、

4つの窓口で入場させることができる実際の人数は、(□+2)人であることが分かります。


また、入場を開始して18分後から上映15分前まで、窓口6つを27分間開けると、並んでいる客は351人となったという条件から、見かけ上621-351=270人減ったことになります。

窓口6つを開けて、見かけ上1分間で減る「並んでいる客数」は、

270÷27=
10(人/分)…②

よって、6つの窓口で入場させることができる実際の人数は、(□+10)人であることが分かります。

 ①と②の数値と、窓口の数との関係を考えて、答えを求めていきます。



【問題1・解答】

(1)

窓口4つの1分あたりの入場者数は(□+2)人…①で、窓口6つの1分あたりの入場者数は(□+10)人…②という条件を、ヒントで求めました。

①と②を比較して、その差8人が何を意味するのか考えてみましょう。

それは、開いている窓口数(6つと4つ)の違いによって出てくる、1分あたりの入場者数の違いです。

よって、求める「1分あたりの窓口1つで入場できる客の数」は、

(10-2)÷(6-4)=
4人/分…(1)の答え

この数値を出すことにより、『出ていく量』を把握することができます。


(2)

『入っている量』は657人
『出ていく量』は窓口1つ1分あたり4人/分、そして、最後に残りの『入ってくる量』を求める必要があり、(2)でその答えを求めています。

窓口1つ1分あたり4人の客が入場できることが計算できましたが、すると窓口4つ開けた時には、1分当たり4×4=16(人)の入場者があるはずですが、並んでいる客は1分当たり2人しか人数は減っていません。

その差は、どうして起きたのか?

毎分16人の入場者があるのに、2人しか並んでいる客が減らないのは、その差の分の人数が新たに並んでくるからです。

よって、求める1分当たりに新たに並ぶ客の数は、16-2=14(人/分)…(2)の答え

 

(3)

(3)の問題は、おまけのような問題です。

まず初めの18分間は、毎分4人の入場者を処理できる窓口を4つ開けていましたので、その間に入場した人数は、4×4×18=288(人)です。

残りの満席までの人数、1000-288=712(人)を、今度は窓口6つで入場させます。

712÷(4×6)=29と2/3(分)で残りの入場者を処理して、満席にすることができます。

よって満席になるのは、上映時刻何分前かを計算します。

60-(18+29と2/3)=12と1/3(分)

1/3分は、(1/3)×60=20(秒)ですから、

(3)の答えは、12分20秒前

明日2月1日から、都内中学入試がスタート

入試が終われば、こんな楽しいことが待っている!

ハハハ、ちょっと違うか……健闘を祈る!


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