「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン算…その1・中学入試問題《桐朋中学校》』

2011年01月15日 | 学習指導法



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割合の特殊算として、1回目は相当算、2回目は売買算、3回目は混合算、そして4番手として仕事に関する文章題について、家庭における指導法を伝授しています。

仕事に関する文章題には、仕事算・のべ算・ニュートン算の3種類があり、今日から4回にわたり『ニュートン算』について取り上げ、その指導法を解説します。


万有引力の法則で知らぬ人はいないアイザック・ニュートンの名にちなんで命名された『ニュートン算』と言う特殊算は、その解き方を練習していない子供にとって、頭の中が混乱する問題の一つです。

ニュートンが母校ケンブリッジ大学の数学講座で使用した本の中に、こんな問題が出ています。

「a頭の牛がb量の牧草地をc時間で食べ尽くし、d頭の牛がe量の牧草地をf時間で食べ尽くした。牧草は一定の速さで成長すると、何頭の牛がg量地の牧草をh時間で食べ尽くすか。」

この問題は、数学専攻の大学生でも頭を悩ます問題です。

そこでニュートンは、条件を具体的な数値にした同類の問題を出題しています。

「もし12頭の牛が(3と1/3)エーカーの牧草を4週間で食べ尽くし、21頭の牛が10エーカーの牧草を9週間で食べ尽くすとすると、何頭の牛が24エーカーの牧草を18週間で食べ尽くすか。」

この問題でしたら、中学受験に出題しても差し支えないレベルの『ニュートン算』となっています。

ニュートンが出題したこの『ニュートン算』は、最終回のブログでその解法を伝授したいと思います。

ちなみに、ニュートンもこの問題の解法をかなり難解に説明しているのですが、私は小学生でも理解できるほど、分かり易く解説してみようと思います。


中学入試におけるニュートン算の位置づけは、出題頻度は低く、その考え方のテリトリーは狭く、そうした意味で重要度は高くはないと言えます。

しかし、前記したように、解き方に慣れていないと得点できない問題の一つですから、やはり基本的な解法は理解しておく必要があります。


ではさっそく最新の中学入試問題を参考にして、ニュートン算の解法指導を伝授しましょう。

今回取り上げるニュートン算は、桐朋中学校で出題された問題です。

この年の桐朋中学校の算数は、大きく7題の出題で、このニュートン算は【3】の問題です。

この問題は、ニュートン算の中では最も基本的パターンの問題です。

中学入試を目指す人は、必ず正解すべき問題ですし、そうでない小学生にとっても頭の体操になるでしょう。

一般の大人にとってもちょっと頭をひねって考える問題で、頭を柔軟にするクイズ的な問題といってよいでしょう。



公園の菜の花が咲き始めています


【問題1】

 ある遊園地では、午前10時に入場券を売り出します。午前10時に窓口にはすでに180人が並んでいました。その後、行列には毎分3人ずつの割合で人が加わります。午前10時に1つの窓口で入場券を売り出したら、午前11時20分に行列がなくなりました。もし、午前10時に2つの窓口で入場券を売り出したら、行列は何時何分になくなりますか。答えだけでなく、途中の考え方を示す式や図などもかきなさい。



【ヒント】

ニュートン算が難解に感じるのは、出ている数値に「比例や反比例関係が成立しない」からです。

例えば、この問題を例にすると、窓口が1つの時に行列のなくなる時間が80分という条件が提示されています。

もし窓口数と時間が反比例していたなら、窓口を2つにすると、時間は窓口1つの時の半分の40分ということになりますが、無論それが正解ではありません

常に一定量が入ってきたり、反対に出て行っているという条件がじゃましているからです。


ニュートン算を解くには、まず与えられた条件「入っている量」「入ってくる量」「出ていく量」の3つの量を整理することから始めるように生徒には指導しています。

下の模式図のように、条件を整理すると分かり易いと思います。



「入っている量」「入ってくる量」「出ていく量」の3つの量を整理


今回の入試問題のように、与えられた条件に「入っている量」と「入ってくる量」がすでに出ている問題は、基本的なニュートン算といってよいでしょう。



【問題1・解答】

並んでいる人数を、行列がなくなるまでの時間80分でわります。

180÷80=2.25(人/分)

この数値は、外からこの行列を見ているときに、行列の人数が減っていく「見かけ上の窓口の処理能力」(単位時間当たりの仕事量)です。

実は、まず並んでくる3人/分の入場券を窓口で販売して、その余力で並んでいる人たちを処理するといった考え方をする必要があります。

すなわち、窓口1つの1分当たりの処理能力は、上で出した数値2.25(人/分)に、並んでくる3人/分を加えた数値になります。

よって、2.25+3=5.25(人/分)が窓口1つの1分当たりの処理能力です。

このことから、窓口を2つにした時の処理能力は、5.25×2=10.5(人/分)。

そこで、ます窓口に並んでくる3人/分を処理し、その余力で並んでいる180人を処理することになります。

よって求める時間は、180÷(10.5-3)=24(分)となります。

したがって行列のなくなる時刻は、10時24分。…答え



ゴール! 皆さんもできましたか?


今日のニュートン算は、「入っている量」「入ってくる量」「出ていく量」の3つの数量のうち、「入っている量」「入ってくる量」の2つの数量が条件として出ている問題でした。

このタイプの基本的なニュートン算を解きながら、この特殊算の問題構造を理解しましょう。

次回は、次のステップとして「入っている量」のみが出ている問題の解法指導について伝授しましょう。





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