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今回3回目の「ニュートン算」は「牧草と牛の問題」で、このタイプのニュートン算はニュートンが実際に出題した問題に最も近く、中学入試にも出題される問題です。
この種の問題は、「泉のポンプの問題」と並んで、「ニュートン算の完成形」であり、その解き方を理解しておく必要があります。
この種の問題を、「牧草算」と名づけて解き方を解説している人がいますが、「~算」と呼んで特殊算をやたら増やすのではなく、逆に大きな分類に集約すべきです。
今回取り上げる問題は、渋谷教育学園渋谷中学校の入試問題です。
2010年の渋谷教育学園渋谷中学校の算数は、大問5題で【1】は計算2題、【2】は小問5題、【3】から【5】までは3つの小問に分かれる大問3題の構成です。
解説する「ニュートン算」は、【5】の問題で、小問3問構成で出題されています。
オオキバナカタバミ
【問題1】
ある牧場で、牛を15頭放牧すると、14日間で食べつくす草が生えています。もし、9頭を放牧すると35日間で食べつくします。ただし、草は毎日一定の割合で生えるものとし、またどの牛も1日で食べる草の量は同じであるとします。
次の問いに答えなさい。ただし、答えを求めるのに必要な式、考え方などを順序よく書きなさい。
(1)1日に草が生える量は、牛1頭が1日に食べる草の量の何倍ですか。
(2)もし、牛25頭を放牧すると何日で草を食べつくしますか。
(3)もし、はじめに牛を7頭放牧して、7日目から何頭か増やしたところ、それから16日間で草を食べつくしました。何頭増やしたのでしょうか。
【ヒント】
「泉のポンプの問題」と同様に「牧草と牛の問題」は、「1日に生える草の量」「牧場に生えている草の量」をどのように表すかがまず問題になります。
今回の出題では、まず(1)で、「牧草と牛の問題」の解き方のヒントを与えています。
すなわち、牛1頭が1日に食べる草の量を基準にしなさいという条件が、こうした問題を解く手段となります。
同様に「泉のポンプの問題」は、ポンプ1台が単位時間当たり(1分・1時間など)に汲み取る水量を①と置いて条件を整理します。
与えられた条件を、いつも通り模式図に書いて整理してみましょう。
上の図のように、入っている量(生えている草の量)・入ってくる量(生えてくる草の量)が条件として出ていません。
また、出ていく量(牛が食べる草の量)は、2つの条件が提示されています。
この2つの条件を上手く整理して、1日に草が生える量と牧場に生えている草の量の2つの量を求めることからスタートします。
牛1頭が1日に食べる草の量を①と置きます。
すると牛15頭が14日間で食べる草の量は、15×14=210(丸で数値を囲む)…①
また、牛9頭が35日間で食べる草の量は、9×35=315(丸で数値を囲む)…②
①と②の条件から、牛が牧場の草を食べつくすのに、210と315という牧草の量の差が生じるのは何故かを考えます。
牧場の草を食べつくすのに食べる牧草の量に差が生じるのは、食べつくすのにかかる日数の差(14日と35日の差21日分)により、生えてくる牧草の量が異なるからです。
このことを考えて答えを出していきます。
【問題1・解答】
(1)
ヒントで出した210と315の差は、315-210=105(丸で数字を囲む)。… 「以下、丸で囲む」の表記は省略します
この牧草の量の差は、14日と35日の日数差である21日間に生えてきた牧草の量と考えられます。
したがって、1日で生える草の量を、牛1頭が1日に食べる草の量①で表すと、
105÷21=⑤という数値が出てきます。
求める1日に草が生える量は、牛1頭が1日に食べる草の量の5倍という答えが出ます。
(2)
(1)で入ってくる量が計算できました。
次に「入っている量」、すなわちこの牧場に生えている牧草の量を、牛1頭が1日に食べる草の量①の何倍かで表すことです。
牛15頭が14日間で食べた草の量は、210。
そこから、14日間で生えた草の量を引くと、牧場に生えている草の量を計算することができます。
210-⑤×14=140
求めた条件を、模式図に記入すると、以下のようになります。
入っている量…140、入ってくる量…⑤、出ていく量は牛25頭分でマル25。
以上の結果から、この3つの数値が出てきましたので、後はニュートン算の基本の基本!
140÷(25-5)=7日間……(2)の答え
(3)
条件より6日間と16日間の合計22日間で食べた草の量は、140+5×22=250。
初め牛7頭で6日間草を食べた量は、7×6=42
よって16日間で食べた草の量は、250-42=208
この208の草の量を、16日間で食べたという条件から、
1日で食べた草の量が計算できて、208÷16=13(頭)…無論丸13と表記
よって求める牛7頭から増やした牛の頭数は、13-7=6(頭)……(3)の答え
どうだったでしょうか?
これが、 「ニュートン算」の本質的な問題です。
「入っている量」・「入ってくる量」が条件として出てなく、「出ていく量」についての2つの条件から、問題を解いていくパターンの「ニュートン算」です。
受験生にとってニュートン算は、そのテリトリーは狭い文章題ですが、慣れていないと解けない問題の一つですから、練習しておきましょう。
次回4回目は、「ニュートン算」最終回の指導法伝授として、「ニュートンが実際に出題した問題」にチャレンジしてみましょう。
ニュートン算についての解法指導に関心のある方は、下のブログも参考にご覧ください。
マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン算…その1・中学入試問題《桐朋中学校》』
マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン算…その2・中学入試問題《城北埼玉中学校》』
マッキーの算数指導法『特殊算』…『ニュートン出題の《ニュートン算》を小学生が解く!』