8月9日、旅の三日目。最終日は、まず山小屋のロッジ立山連峰から室堂ターミナルまで1時間ほど歩く必要があります。8時発のバスに乗るために、朝食後余裕を見て6時30分に山小屋を出発しました。天候が良かったので、その途中の景色を楽しむことができました。ただ、登りが多く結構の運動量でした。
エンマ台から地獄谷を見て、みくりが池に映える山の景色も楽しみ、ターミナルまで歩きます。雄山の頂がはっきりと見えるほどの快晴でした。下の画像の立山の山崎圏谷(カール)は、立山の雄山北西山腹に見られる圏谷(カール)のことです。圏谷(カール)とは、氷河によって削り取られたお椀型のU字谷のことです。
室堂ターミナル前の破砕帯から湧き出す湧水を、お土産用にペットボトルに入れました。立山玉殿の湧水は、とても冷たくおいしい水でした。帰宅後に、その水を使ってお茶を入れましたが、とても美味しく感じました。また、リュックに入っていた室堂で空になったペットボトルが、自宅では娘のものも私のものも、ぺしゃんこになっていました。これは、気圧の差のせいだと娘に説明しました。室堂は自宅よりも標高が高いので気圧が低いために、持ち帰ると平地の気圧に押されてへこんでしまうのです。
平地の気圧は1013hpaと習いますが、室堂平の標高は2450mですので、気圧は760hPaしかありません。また、気温は標高が100m上がるごとに0.6℃下がるといわれています。つまり標高2450mの室堂では平地に比べ約14.7℃低くなります。平地が30℃を越す真夏日でも、立山では20℃を越えることは稀です。
そんな別天地に、様々な交通機関を使いますが、汗水流すことなく到達できるというのは、やはりすごいことだと思います。スケールが異なりますが、室堂はいわば日本のユングフラウヨッホ(標高3500m程度)と位置付けることができるでしょう。だいぶ古い話になりますが、私はユングフラウヨッホから一泊二日の日程で世界自然遺産に登録されているアレッチ大氷河を、ガイド付きで下ったことがあります。
室堂から立山高原バスに乗り、美女平まで行く途中の弥陀ヶ原で下車してラムサール条約に登録されている高層湿原を散策しました。弥陀ヶ原遊歩道外回りコースを歩きました。ほどんどは木道で、その木道に昆虫がたくさんいました。ワタスゲの白い実が奇麗に風に揺れていました。池塘の規模は思ったよりも小さかったのですが、高原に霧が発生したり、周囲の山々と青空が夏の高原を奇麗に彩り、散策を楽しむことができました。
ワタスゲが揺れ、ヒョウモンチョウが花の蜜を吸い、ヤマハハコ・シモツケソウ・ハナウド・コバイケイソウなどが咲いていました。
娘にとって、こんな景色の中を歩いたことはなかったはず。広々とした風景や済んだ空気、そして遠方にガス(霧)が立ち込め始め、いっそう高原の雰囲気を醸し出しています。
一時間程度で周遊できましたので、バス到着までだいぶ時間がありました。そこで弥陀ヶ原ホテルへ行って冷たい飲み物を注文して休憩しました。帰りに「ワタスゲ」と名付けられた名物のお菓子を購入。弥陀ヶ原から美女平まで高原バスで行き、美女平から立山駅までケーブルカーで降ります。立山駅から富山地鉄駅まで電車で行きました。娘は、電車の中ではさすがに疲れて寝ていました。
富山駅で、北陸新幹線の切符を購入し、娘が好きであることと海産物が美味しい土地柄なので、昼食にはお寿司を食べました。お土産に買った素干しの白エビとホタルイカを、新幹線の中で食べました。娘は白エビの素干しが、よく味わうと美味しいと言っていましたが、私は味がしっかりとしたホタルイカの素干しの方がおいしく感じました。白エビの希薄な味覚を旨味として感じるとは、通ではないかと思いました。「あまり食べ過ぎないでね。お母さんにも食べさせたいから。」「無論、そうだね!」
娘にとって初めての経験が多かった旅でした。食べ物のお土産だけではなく、旅の楽しいお土産話がいっぱいできたはず。今回の旅の記憶が、小学4年の夏休みの楽しい思い出としていつまでも残ってほしいと願いました。