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算数が得意な生徒と、不得意な生徒の学力の違い。中学受験を目指す生徒と、公立進学へ進学する生徒との学力の差。上位校を受験する生徒と、下位の学校を受ける生徒の学力差。
算数において、決定的に違うのが、算数の基礎学力である計算力です。
しかし、中学受験生にとって、計算力の養成は必要不可欠ではあるけれども、算数学習のごくごく一部でしかありません。ですから、計算力を高めるための学習は、効率よく行う必要があります。おまけに、中学受験の算数を解くために必要な計算力は、少なくとも小学5年前期に完成していなければなりません。したがって、小学校修了までに学習する、小数計算・分数計算・□の式・(比に関する計算)を、その時点でしっかり習得しておく必要があります。
計算力の養成は、主に家庭学習で行われます。
公文のような、それ専門の補習対象の塾を除き、毎回計算練習を塾の中で行うことは、難しいでしょう。では、どういった点に注意し、家庭で学習したらいいのか。効率よく学習を進める方法について、アドバイスします。
まず初回から、計算力アップのための学習法をお教えします。
《マッキー直伝『計算の上達法六箇条』を伝授!!》
その一:筆算は、汚く書かない。自分で自分の字を読み間違えるな!
0と6,1と7,2と3、5と6,7と9などが、その子供の癖によって見間違う数字として挙げられます。子供の癖を見つけ、指摘してあげる必要があります。
計算の数字は、「早く丁寧に書く」と言う、相反する要求が為されます。
日頃の練習の時に、そこを意識して、学習を行います。
自分で読み間違えるような数字は、入試の採点者も見間違える危険があります。
字を粗雑に書く生徒は、その他の所でも、ケアレスミスをすることが多い!
その二:途中式は、ていねいに書くこと。あとでミスをチェックできるように!
計算力が高まると、先の式を書きながら、前に書いた式を意識的にチェック出来るようになります。
先の計算をしながら、やった計算を確かめる、そんなことが出来るようになります。
文章題を解く初めの式は、与えられた条件の数値を加工しないで、そのまま使って式をたてた方が、後からチェックしやすい。
【途中式の書き方の例(小3)】
64÷(16-32÷4)
=64÷(16-8)
=64÷8
=8
《長い式は、必ず等号を左にそろえて書くこと》
それは、上の数字を下に降ろすことにより、書き間違える可能性が少なくなるからです。
悪い途中式の例:その1
64÷(16-32÷4)=64÷(16-8)=64÷8=8
数字を左から右へ書き写すときに、式が長くなるにつれて、ミスをすることが多くなる。
悪い途中式の例:その2
32÷4=8 16-8=8 64÷8=8
式を分解して書く。「バラバラ事件!」と呼んでいる。学年が上がると対応できない。
【途中式の書き方の例(小4)】
3×{51-5×(□×8-39)}=18
51-5×(□×8-39)=18÷3
5×(□×8-39)=51-6
□×8-39=45÷5
□×8=9+39
□=48÷8
□=6
数字を1個ずつ丁寧に移項して計算する》
どんな複雑な問題でも、計算の順序を考えて、一つずつ丁寧に計算すると、ミスが少なくなる。
中学で習う1次方程式と同様に、□の式は等号をそろえる。
(注:原稿では、等号がそろっているのですが、残念ながら、ブログでは左揃いになってしまっています。)
慣れないときは、もっと途中式を丁寧に書く。
悪い途中式の例
18÷3=6 51-6=45 45÷5=9 9+39=48 48÷8=6
式を分解して書く。バラバラに書くと、学年が上がると対応できない。
その三:計算の工夫を心がける。簡単に速く計算が出来ることが多いよ!
交換・結合・分配の各きまりを十分に理解して、活用します。
特に、円周率を伴う求積問題(面積・体積)は、「長くなっても一本式!」でやる。
①30-60+50=……この問題が出来ない子供もいる。…交換のきまりを使う
100-20-30=100-(20+30)…★「結合のきまり」を使う方が楽。
では、②1000-300+200=……この問題をミスする子供がいる
①は、引けない。マイナスになっちゃう!
30+50-60と★「交換のきまり」を使って計算し、答えは20。
②は、「結合のきまり」を曖昧に知っている子供は、300+200を先に計算してしまうミスを犯す。無論答えは、900。
昨日授業で解いた、立体図形の体積を求める問題の式ですが、
3×3×3.14×4+6×6×3.14×8×1/3-3×3×3.14×4×1/3=……「長くなっても1本式!」で解く。
この問題自体は基本問題!
途中式は、
=36×3.14+96×3.14-12×3.14
=(36+96-12)×3.14
=120×3.14 …この式だけ筆算する!
=376.8(㎤) …★「分配のきまり」を使うと計算が楽になる!
その四:計算力のある人は、できるだけ暗算する。頭の回転が良くなるよ!
かける数が1桁、わる数が1桁の計算は、出来るだけ暗算で出来るようにする。
3.14×25を、暗算で出来るだろうか?
指導者レベルなら、出来ないとまずい!
「そろばんはやっていないよ。」ですか?
3.14×100÷4=314÷4=78.5 でどうですか!
3.14×125は、暗算で出来ますか?…やはり指導者レベルなら、……
3.14×1000÷8=3140÷8=392.5
上の問題は別として、子供には、一桁でわるわり算なら、暗算で出来るように指導します。
その五:間違えた問題の筆算と途中式は、消さないこと。別に書き直す!
計算・途中式は、ノートでやることは当然として、どこでミスしたのか、それは「やり方の間違え」なのか、「計算ミス」なのか、自分で判断できるようにすることが大切。
筆算の書き方や途中式の書き方は、ルールに則って練習すること。
自己流の書き方では、いつまでたっても上達しません。
その六:計算力は集中力だ。30分のだらだら学習より、10分の集中学習だ!
頭脳を目一杯使って計算練習を行う。
5年前期までは、出来るだけ毎日練習することをお勧めします。
百マス計算などは、九九の練習には、ある程度有効ですが、それ以上に速さを競ったりすることは、意味ある算数の学習とは言い難いと思います。
マッキー直伝『計算の上達法六箇条』を参考にして、《学習の仕方を間違えない》ように、短時間でもかまわないので《集中して学習すること》をお勧めします。
次回は、もう少し具体的に計算問題について、お話しします。
計算力を高めるためのポイント・その2:間違えやすい計算
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