「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーが教える算数…計算力を高めるためのポイント・その2:間違えやすい計算

2008年05月19日 | 学習指導法



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前回は、1回目として《計算力アップのための学習法》を、伝授しました。
それでも、計算が上手くできない。計算に自信がないと言う生徒は、多いはずです。計算には、多くの生徒が共通して間違える箇所、覚えるのに苦労する場所があります。そのポイントを理解して、上手く指導することが大切です。

体験的に、子供が陥りやすい間違いを、正確にできるだけ広く深く理解していることが、指導する側の能力といえます。

日頃、センサーの感度を上げて、子供の学習状況を把握していく熱意とエネルギーが求められます。


また、計算力に自信の無くなった子供が、一体どこでつまずいているのか、そこを診断することも、計算指導の重要な条件です。そのためには、計算について体系的に全体像を把握していることが求められます。計算力は、線的思考なので、A→B→Cとなっているなら、Aを理解していない子供に、BやCを教えても、徒労に終わります。



子供が小学校の計算を習得するためには、7つのハードルと、3つの鬼門を乗り越えていく必要があります。今回は、子供が計算を学習していく上で、共通してつまずいてしまう所を具体的に説明し、チェック問題を付けてあります。


第一ハードル…たしざんの筆算の「くり上がり」、ひき算の筆算の「くり下がり」を間違える。
…理解していても、ミスをする子供が多い。

小学2~3年 くり上がり

チェック1:259+455=
対策:くり上がったら、上の位の数字の上に、くり上がった1を書いておく。


小学2~3年 くり下がり

チェック2:800-293=
対策:上の問題は、8の上に7,次の0の上に9、一の位の0の上に10を書く。


第二ハードル…九九が不確か。

小学2年

チェック:ランダムに九九を聞いていったときに、スムースに答えが返ってくるかチェックする。
対策:特に、4・7・8の段がミスが多いとされています。

実際は、個人によってミスしやすい段がありますので、チェックしてあげると良いでしょう。また、学年が上がって計算が苦手な子どもの多くは、九九が不確かなことが多いので、確実にできるように練習することが重要です。


第三ハードル…かけ算・わり算の筆算がうまくできない。

特にわり算で、わる数が2けた以上になると、時間がかかる。
…《計算の鬼門その1》

(学校では、小学4年で学習。塾では、小3で指導する場合が多い。)

チェック3:674÷16= (商を整数で求め、余りも出す。)
対策:上の計算は、16を丸めると,およそ20になるけれども、商の十の位にいくつがたつのかを練習して早く出せるようにする。とは言うものの、上手く丸めて商を立てても、引けなかったり、引いた差がわる数よりも大きかったり、初めはどんな生徒でも苦労します。そこで留まるのか、その先に学習を進めるために練習を繰り返すのかで、計算力の差が出てきます。

チェック:100÷600=(計算の工夫を使い、商を整数で求め、余りも出す。)
対策:筆算は、まず必ず式の通りの数字を書きますが、わられる数とわる数の両方から00を/で消して、実際は81÷6を筆算します。無論、このまま計算できますが、計算の工夫を使って練習させましょう。この問題は、商は新しい81の位の小数点を用いますが、あまりは元の8100の位の小数点を用いることを、忘れている子どもが多くいて、あまりを3としがちです。このミスを繰り返すと、子どもは計算の工夫を使うことをやめてしまうので注意が必要です。筆算の書き方を徹底させましょう。



四ハードル…加減乗除の式の、計算順序が良く分からない。

□の式も、この計算順序が理解されていないとうまくできない。

小学3~4年

チェック4:34-(5×5-9+6×2)=

対策:この計算については、答えができているかではなくて、途中式がちゃんと書けているかを、チェックすることが大切。計算の順序を常に念頭に置きながら練習をさせます。この問題は、式の書き方が重要ですが、それは前のブログを参照してください。

チェック5:27÷(24÷8×□)=3

対策:□の式は、「まず計算できるところがあったら計算する」が最初で、後は1個ずつ丁寧に計算していきます。この式のたて方も、前回のブログを参考にしてください。公立小学校レベルの□の式でしたら、どんなやり方でも許されるのですが、中学入試を前提に考えると、しっかりとした式のたて方をマスターしないと、対応出来ません。



第五ハードル…小数のかけ算…わり算の計算がうまくできない。

特に、「わる数が小数」の筆算で、余りのあるわり算が、最難関!
…《鬼門その2》

(学校では、小学5年で学習。塾では、小4で指導)

チェック6: 5.8÷0.73= (商は小数第1位まで求め、余りも出す。)

対策:筆算では、必ず元の数値を書きます。わる数が小数の場合、筆算では整数にするために小数点をずらします。そのずらした桁数分、わられる数も小数点を移動します。初めの小数点は/で消しますが、元あった位置は確認できるようにしておきます。商は新しい小数点の位置、余りは元の小数点の位置で、答えを出します。この計算をミスする子どもは、余りの小数点を元の小数点の位置にもどすことを忘れる、商と同様に新しい小数点の位置にしてしまいますので、しっかりと指摘して上げる必要があります。この問題を間違える子どもは、筆算の書き方の指導が徹底されていないからです。


第六ハードル…異分母のたし算・ひき算の、通分・約分がうまくできない。

2つ以上の整数の最小公倍数・(最大)公約数を、上手く出すことができない。
…《鬼門その3》

(学校では、小6で指導。塾では、小5の最初で指導。)

チェック7:8-1と1/6-2と1/4=(分数表記ができませんのでご理解を)

対策:約分は、最大公約数でわらなくとも、約数でくり返しわっていけば正解できます。しかし、通分は最小公倍数を求めないとできません。したがって、通分できない、またはできても時間がかかる場合は、最小公倍数を求める練習をします。連除法による、最小公倍数を求める計算を知っていると、大きな数の通分には役立ちます。通分できない子どもに、分母どうしをかけた数値で計算させる指導をしている教師がいますが、それではいつまでたっても計算は上達しません。できないんだからしょうがないだろうは、許されません!


第七ハードル…整数・小数・分数の加減乗除計算の方法(小学校課程の最終的な計算の形)を理解していない。

中学受験では、この形の計算を正確に素早くやりこなす力が求められます。

チェック8:0.2÷{2/3-(2/15+2/5)}=

対策:基本的には、分数に直して計算する問題が多いのですが、時に小数計算をすべて分数計算に直しかえってややこしくしている子どもを見かけます。

個々の計算はできるが、この様な全てが含まれる計算ができない、もしくは大変時間がかかるといった場合は、練習不足と言うことになります。この様な四則混合計算を、短時間でも良いので、毎日集中して取り組むしか、上達の道はありません。途中式が、ルール通りちゃんとノートに書かれているか、答えではなく、途中式をしっかり見てやる必要があります。



ここで取り上げた計算は、多くの子供達がつまずく箇所です。教える側は、単に答えにマルバツを付けるだけではなく、計算式の書き方、筆算の書き方をしっかりとチェックして、的確な指導を行う必要があります。このブログがその手助けになると思います。

計算力を高めるための学習法・途中の計算の書き方などをまとめた前回のブログです。参考にしてください。

マッキーが教える算数…計算力を高めるためのポイント・その1:学習の仕方


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