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今日は、今年の桜蔭中学校の算数・問題Ⅲを取り上げます。小さい頃に割り箸に図形を張り付けて、それを勢いよく回転させると、割り箸のまわりに、立体図形が出来上がる遊びを経験した方は多いことでしょう。このようにしてできた立体を回転体と言います。
回転体の問題は、出来上がった立体の見取り図を描いてみることが大切です。実際に回転体の見取り図を描かせる入試問題もあります。描いた立体図形が、本来の図形と異なる場合、その体積や表面積を計算しても無論得点にはなりません。
回転させる平面図形から、出来上がる立体図形がどんな図形なのかを理解し、日ごろ見取り図をノートに描いてみる練習が必要です。それも、ある程度素早く図形をかけるように練習しておきましょう。
【問題】
1辺の長さが2cmの正方形を下の図のように、4個、6個、8個、・・・・・・と並べて図形を作っていきます。さらに、できた図形を直線ABのまわりに1回転させて立体を作ります。
(1)正方形を6個並べた図形を直線ABのまわりに1回転させてできる立体の体積と表面積を求めなさい。
(2)立体の体積が11304立方センチメートルとなるとき、もとの図形の正方形の個数を求めなさい。
【解答・解説】
(1)の問題で正方形を6個並べた図形とは、上の図の真ん中の図形です。これを直線ABのまわりに1回転させてできる立体は、下の図の一番左のような図形になります。この図形の体積は、ちょっと工夫して計算すべきでしょう。
下の図のように、三段になっている円柱の一番下の円柱を切り取り、それを中が空洞になっている部分に埋め合わせると、真ん中のような立体となります。同様に二段目の円柱を切り取り、それを中空になっている部分に埋め合わせると、最終的に半径が正方形3個分の6cm・高さが2個分の4cmの円柱になることが分かります。
したがって、求める立体の体積は、ちょっと工夫して計算を簡単にします。
6×6×3.14×4=452.16立方センチメートル
次は、この立体の表面積です。もちろんのこと、体積を求めた変形した図形の表面積を求めても答えは出ません。出来あがった回転体の表面積を求める必要があります。それでも、できるだけ工夫して計算を少なくする必要があります。
この回転体の底面積は、上から見ても下から見ても、半径が6cmの円となりますから、6×6×3.14×2という式で表すことができます。
側面積は、外側の側面積と内側の側面積を合わせて上手く計算しましょう。半径が6cmの円柱の側面積が6×2×3.14×4、半径が4cmの円柱の側面積(外側と内側を合わせて)が4×2×3.14×4、半径が2cmの円柱の側面積が2×2×3.14×4となります。
よって求める表面積は、
6×6×3.14×2+6×2×3.14×4+4×2×3.14×4+2×2×3.14×4
=(72+48+32+16)×3.14
=168×3.14(筆算はこの計算だけ!)
=572.52平方センチメートル
もちろんのこと、一本式で分配の法則を用い、3.14の計算は一回で行います。
この回転体の体積および表面積を求める問題は、基本的な問題ですので、落とすことがあってはならないでしょう。
では、(2)の問題です。 正方形が4個の回転体は、(1)の体積を求める時に工夫した考え方を利用すると、半径4cm・高さが4cmの円柱の体積と等しくなります。
この規則性を整理すると、
正方形の数4個・・・・・・円柱の半径4cm 円柱の高さ4cm
正方形の数6個・・・・・・円柱の半径6cm 円柱の高さ4cm
正方形の数8個・・・・・・円柱の半径8cm 円柱の高さ4cm
・・・・・・
そこで、立体の体積が11304立方センチメートルの円柱の高さも、4cmですので底面積を求めます。
11304÷4=2826平方センチメートル
2826÷3.14=900・・・半径×半径の数値
小学生は無論のことルートは使えませんので、こうした問題は必ず平方数になっています。
よって900=30×30ですので、この立体の半径が30cmであることが分かります。
半径の数値と、正方形の個数の数値は、規則性を整理して等しいことが分かっていますから、答えは30個となります。
基本的な考え方を利用して、「ちょっと工夫する問題を解いてみよう」という主旨の出題です。確実に得点したい問題でしょう。そのためにも、展開図・投影図・回転体・転がり移動・回転移動・対称移動などの図形を、日ごろノートにフリーハンドで素早く確実に描く練習をしておくことが必要です。また、計算の工夫で、素早く正確に解答を導き出す練習も大切です。