「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの一問必答(11):特殊な角度に注目して解く問題

2015年02月15日 | 学習指導法



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 「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む26年度の問題を取り上げ、ポイントを解説します。

 前回2回にわたり、二等辺三角形の性質を利用した、角度の問題を取り上げました。今回取り上げる問題は、知識として持っていないと、難解に感じる問題です。特別な角度が出てきたら、それを使って考える方法を知っていることが重要です。


【26年度の入試問題】 (分数の表記および記号などの表記が、実際の入試問題と若干異なります。)

 特殊な角度に着目して考える問題は、多くの学校で出題されていますが、今回は、跡見学園中学校・田園調布学園中等部・東京女学館中学校・豊島岡女子学園中学校の4校の26年度入試問題を取り上げます。

1.跡見学園中学校

跡見の26年度算数入試問題は、1番目の問題は計算と時間の単位変換の問題が4題、2番目が小問6題、その後に小問3題でできた大問2題という構成です。今回の問題は2番目の小問の一つです。

【問題】下の図の平行四辺形ABCDの面積を求めなさい。




2.田園調布学園中等部

26年度の田園調布の算数は、1番目の問題が小問10題で構成され、その後に小問2~3題によってできている大問が4題で出題されました。今回の問題は、1番目の問題の小問です。

【問題】図のように、おうぎ形の中心Oが点Bに重なるように折ったところ、角アの大きさが90度になりました。角イの大きさを求めなさい。




3.東京女学館中学校

26年度の算数は、最初の問題が計算4題、2番目が小問6題、その後に大問5題の構成です。今回取り上げた問題は、2番目の小問の一つです。

【問題】下の図のように6つの同じ大きさの正方形を並べ、2本の直線をひきました。角アと角イの大きさを合計した角度を求めなさい。





4.豊島岡女子学園中学校

26年度の豊島岡女子の算数は、1番が計算を含む小問4題、2番が同様に小問4題、その後に大問4題という構成です。今回の問題は、2番の小問の一つです。

【問題】下の図の四角形ABCDはAB=AD、AC=10cmです。角ACBの大きさは15度であり、角ABCの大きさと角ADCの大きさの和は180度です。このとき、四角形ABCDの面積は何㎠ですか。



このシリーズで取り上げる今春の中学入試問題は、私が作成した解説および解答を見ずに、まずは自力で解いてみることをお勧めします。大人には頭の体操になりますし、また受験生は、算数に対する興味や面白さが、倍増するはずです!


【解答と理解しておくべきポイント】

1.跡見学園中学校

この問題は、底角が75度の二等辺三角形という特殊な条件に注目します。この頂角の大きさは、
180−75×2=30(度)と出すことができます。

頂角30度の二等辺三角形で、等しい辺の長さが出ていると、この二等辺三角形の面積を求めることができるのです。これは基本事項であり、知っておく必要があります。

この類題で、半径が8cmの円に内接する正十二角形の面積を、同様にして求める問題も出題されます。

角Bから辺ACに垂線を引き、その交点をEとすると、三角形ABEは角が30度・60度・90度の特殊な三角形(三角定規)になります。よって、AB:BE=2:1となり、BEの長さは4cmと出てきます。

三角形ABC=8×4÷2=16 求める平行四辺形の面積は、16×2=32㎠




2.田園調布学園中等部

まず三角形AOBにおいて、折り返した辺なのでAO=AB、また辺OBは半径なので、AO=AB=OBとなり、三角形AOBは正三角形であることが分かります。

また、三角形DBOにおいて、折り返した辺ですからDO=DBで、角ODB=90度という条件から、三角形DBOは直角二等辺三角形です。

ここまで気づくと、あとは簡単!

角イ=角AOB+角BOD=60度+45度=105度




3.東京女学館中学校


下の図のように、一本の補助線を引きます。するとこの三角形が直角二等辺三角形になっていることが分かるでしょうか。

そして、角アの錯角と角イの錯角の合計が、この直角二等辺三角形の底角になっていることに気づけば、この問題を簡単に解くことができます。

角アも角イもそれぞれ何度かは分かりませんが、その二つの角の和は45度であることは分かります。




4.豊島岡女子学園中学校


三角形ABCをそのままにして、三角形ACDを図のように三角形AC’D’の位置に等積移動します。

すると与えられた条件から、三角形AC’Cは底角が15度の二等辺三角形になることが分かります。

後は、等しい辺の長さが10cm、底角が15度の二等辺三角形の面積が出せるかどうか?・・・基本事項!

頂角Aから底辺C'Cへ垂線を引き、その交点をHと置きます。次に、その直線でこの二等辺三角形を二つに分けます。そしてその二つの合同な三角形を、辺C'Hと辺CHが重なるように合わせると、頂角が30度の二等辺三角形になります。

この三角形は、上で説明した跡見の問題と同じです。

よって求める図形の面積は、10×5÷2=25㎠となります。



小学校の小学4年で学習する三角形の性質三角定規について、学習を深めると今日の問題はその解き方が見えてきます。

二つの三角定規、30度・60度・90度の直角三角形は、正三角形を半分にして作られています。そのことが理解できていれば、一番長い辺と一番短い辺の長さの比が、2:1となることは容易に理解できるでしょう。

また、45度・45度・90度の直角二等辺三角形は、正方形を半分にして作ることができます。そのことから、斜辺の長さが出ているだけで、その三角形の面積を計算することができます。

この二つの三角形は、小学校だけではなく中学校や高校でも、三平方・三角比・三角関数の学習で出てきますので、しっかりと理解しておくことが大切です。

次回は、ちょっと工夫を必要とする平面図形の面積を求める問題で、入試に頻繁に出題される問題の求め方を伝授しましょう。

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