……日本人にとって、富士山は特別である
単にその均整の取れた姿と日本一の標高だけではなく
その情景に幾重にも重ね合わされた私たちの記憶が
富士山を不二の山とする……
私がそのように思う富士山の眺望を、竜ヶ岳は充分に楽しめる山の一つでした。
今年の私の登り収めは、富士五湖の一つ本栖湖を見下ろすように、なだらかな稜線を見せる竜ヶ岳(りゅうがたけ・1485m)。
冬至間近の12月20日(日)、師匠Y氏と乗り換えの高尾駅で待ち合わせ、富士急河口湖駅で下車。
駅前のバス停から本栖入り口まで、私にとって久しぶりの懐かしい車道をバスに揺られ景色を楽しみました。
子どもが小さかった頃は、笹塚に住んでいたので、甲州街道の上を走る首都高に入り、中央自動車道を使って頻繁にこの河口湖周辺で遊びました。
当日の天候は、西高東低の冬型気圧配置のため、午前中は雲ひとつ無い快晴で、午後に入って少し雲が出たものの、天候は終日申し分ない冬晴れでした。
逆に、私の故郷新潟市は、ここしばらくの天候で、久々に12月中にかなりの積雪があったようです。
一般道から湖畔周遊道に下りる階段から本栖湖と竜ヶ岳
本栖入り口バス停からしばらく歩くと、本栖湖を周遊する道に出ます。
観光のオフシーズンで、人気の少ない湖畔をしばらく歩くと、竜ヶ岳の駐車場と本栖湖キャンプ場に行き着き、頻繁にある道標にしたがって進めば、竜ヶ岳登山口にたどり着きます。
バス停から登山口まで、ゆっくりと歩いて30分ほどです。
登山道の周囲は、しばらく歩くと低木交じりの笹薮となり、視界が開け景色を楽しみながら歩くことができます。
富士山を間近に望む
石仏と富士山を正面に望む東屋がある場所を過ぎると、なだらかな道がゆったりとした気分にさせてくれます。
真っ青に晴れ渡った空に向かって、緩やかにのぼりが続き、長閑な冬日の登山を楽しませてくれます。
ゆったりと長閑な気分にさせてくれる山容の竜ヶ岳
冬至の高度を落とした冬日を浴びて快調に歩くY師匠
登山口から1時間40分ほどで、かなりの広さの平坦な頂上に到着。
頂上には、中高年のグループを中心に多くの登山客が、富士山の眺望を楽しみながらの食事タイムでした。
私たちも早速敷物を敷いて、正面の富士山を見やりながら、熱々のカップ麵を作って食べました。
竜ヶ岳山頂…富士山の展望台と言って良いでしょう
正午に近い時間ですが、冬至間近の太陽高度は低い
登山者の影が長いのが分かるでしょう
冬至の太陽の南中高度(およそ正午頃の最高高度)を計算してみましょう
この地点(竜ヶ岳)をおよそ北緯35度の地点とします
今、太陽は南半球の南回帰線(南緯23.4度)の真上を照らしています
小5の理科で学習する方法で計算します
(小4の図形の性質で出すことができます)
90ー(35+23.4)=31.6…冬至の太陽高度
すなわち、2組の三角定規のうちの細長い方の三角定規
およそ、この直角と60度の角がはさむ辺が人の高さとすると
直角と30度の角がはさむ辺がその人の影の長さの割合とほぼ一致
…計算して私も気づきました
夏至の頃には、南中高度は80度近くあったので
冬至の頃は、正午でも夏の夕方の太陽高度です
山頂から富士山を間近に望む
多くの登山者は、登りの道をピストンしてキャンプ場の駐車場に戻るか、下山路の途中から左手に分岐し、やはりキャンプ場に戻る登山道を利用して下山したようです。
また、あるグループは端足峠(はしたとうげ)まで下り、雨ヶ岳と左右の下山路の分岐点で、右手に道を採り、湖畔遊歩道に下って本栖湖キャンプ場に戻るルートを選択していました。
冬枯れの枝々が、真っ青な冬の空に向かって伸びている
私たちは、端足峠で下山路を左手に採り、山稜の南の中腹を大きく周回してキャンプ場に戻る下山路を選択して、途中のキャンプ場手前の根原から国道139号線バス停に出ました。
帰りは静岡県側の新富士から新幹線で東京に戻ることにして、バスの待ち時間を近くの富士山の展望の利く場所でホットコーヒーを飲みながら過ごしました。
終日楽しめた富士山の眺望…バス待ちの場所から
一面のススキ原が冬の地平に傾いた光線を受け光っていました。
午後に入っても霞むことなく、数日前の片山右京さんの遭難事件の巷の喧騒を知らぬかのように、富士山は冬日を浴びて静かにそびえていました。
バスを富士宮で下車してもよかったのですが、私たちは終点の新富士まで行きました。
暮れ往く富士山を望める駅中の飲食店で、地元の釜揚げ桜えびやカサゴのから揚げなどを酒の肴に、生ビールと焼酎で今年の山登りの打ち上げをしました。
日帰り登山と忘年会、おまけに新幹線利用の大名山行となった竜ヶ岳登山でしたが、最大の贅沢は無論名峰富士山を心行くまで堪能できたことでした。
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行き先は奥秩父の北方にある両神山(りょうかみさん)。
両神山は日本百名山で、標高1723メートルの山です。
山稜は急峻で、登山者には岩場の登りも楽しめ、山頂は視界が開け眺望が良く、交通の便は悪いのですが人気ある山です。
11月15日、未明の4時30分起床。
5時25分の電車に乗車し、6時15分発の西武池袋飯能行き電車に乗りました。
就寝が0時を過ぎていたので、乗車すると眠気が襲ってきました。
この時期に、ちょっと遠出をする山登りの場合、起床はまだ日の出前となります。
アラームで目を覚ますのですが、ぬくい布団の中から起きるのがおっくうです。
それでも、暖かい布団と決別しないと、山登りの後の充実感を味わうことができません。
ちょっと躊躇した後に、よしっ!と決意して起きるわけです。
池袋から1時間弱で飯能に着き、今度は西武秩父行きの電車に乗り換えます。
乗り換えてから50分ほどで西武秩父駅に到着。
駅前の4番小鹿野行きバス停でバスに乗り、小鹿野町役場で町営のバスに乗り換え日向大谷口まで行きます。
乗換えを含め西武秩父駅から1時間20分ほどの時間で日向大谷口に到着しました。

両神山荘…イチョウの黄葉がきれいでした
左手から登ってきて、山荘前を折り返し、
白い手すりに従い左手に進みます
バス停から少し先の両神山荘の脇から登山道が始まります。
高度を上げるに従い、紅葉した木々から落葉した木に変わっていきます。
すっかり落ち葉が敷き詰められた登山道を歩くことになります。

落ち葉が敷き詰められた登山道
30分ほどで、七滝沢ルートとの分岐点の会所を通過。

会所案内板
左手の薄川の沢沿いの登山道を進み、幾度か沢を渡り高度を上げていきます。

沢
登山道周囲にはモミジ類も多く、微かな重みに耐えかねた赤や黄の枯葉が、ぼた雪のようにハラハラと舞い落ちてきました。

紅葉
紅葉した木々は、綺麗であると感じるばかりでなく、何か訴えかけてくるようにも感じます。
山に生息する動物たち、かつてわれわれのご先祖様も、山が信号の黄や赤に染まる頃、それをシグナルに厳しい冬の到来を悟り、忙しく栄養をストックし冬支度に追われた、その名残が私のDNAの中に組み込まれているようです。

葉を落とした冬支度した木々の間につけられた小道
途中に「弘法之井戸」と呼ばれる水場があり、そこで喉を潤し、しばらく進むと最近は営業していない清滝小屋に到着し、ここで小休止。

塩ビ菅ではちょっと風情がないが、水は美味しい

清滝小屋
清滝小屋からしばらく登ると、鎖場が数カ所あります。

鎖場
鎖場といっても慣れた人であれば、下りは別として、鎖に頼らずに登った方が楽かも知れません。
両神神社本社まで登ると、あと20分足らずで頂上です。

両神神社本社
歩き始めて、休憩を含め3時間ほどで両神山山頂に到着しました。

両神山山頂
天候も良かったので、富士山や奥秩父の山並みがきれいに望まれました。

山頂
両神と言う山名は、イザナギ、イザナミの神を祀っているからなど諸説があるらしいが、数多くの石仏や石碑が登山道脇にあり、信仰の山だったことが実感できます。

石仏
両神山の岩はチャートと呼ばれる堆積岩で形成されています。
チャートは、石灰岩と同様に、数億年前に生きていた生物の堆積によりできた堆積岩です。
チャートは極めて堅く、火打ち石としても使われます。(塾では、小5で学習)
帰りのバス時刻は、14:54と16:36で、先のバスに間に合うのはちょっと厳しそうなので、ゆったりコースの後のバスに決め、ゆっくりと山頂で昼食をとりました。
山頂は狭く、それでも10名ほどの団体が私の脇で、体を寄せ集めて昼食をとっていました。
この日は風が強く、「ビュー」という音は、時には木々が鳴っていると言うより、山全体が山鳴りのように音を出していると言った印象でした。
30分ほど頂上に滞在して下山開始。

両神神社本社の狛犬は、よく見ると狐か?

清滝…鎖を頼りに登った人がいたのでパチリ
人がいるおかげで、滝のスケールがよく分かります
清滝小屋裏手の滝で、空いたペットボトルに水を満たし、下り始めて間もなく、「あれはなんだ?」…動物らしいのですが、全く身動きしません。
「シカかも?」…いや待てよ、「カモシカかな!」

カモシカ
小さな沢を隔てて、10mから20mの間ほどの距離に近づいても、そのカモシカは逃げようとも動こうともしません。
後から写真でチェックすると、初めは手前から来る私を見据え、最後は後へ下る私を、頭と目だけが追っているのが分かりました。

優しそうな目でお見送りするようなカモシカに
つい「またな!」と、手を振ってしまいました
こんなに至近距離で、じっくりとカモシカを観察できたことはありませんでした。
すぐ先を行くグループに追いついて、「カモシカをご覧になりましたか。」と声をかけると、「えっ!」という反応。
剥製のように動きを止めたカモシカは、周囲に溶け込んで、私のようにカメラで周りの風景を撮っているもの以外、気づくのが難しかったようです。

夕日を浴びる小さな峰
山頂から、休憩を含め2時間30分ほどで両神山荘登山口に戻りました。
まだバスの出発まで時間がありましたので、両神山荘で缶ビールを買い、バス停と駐車場脇の東屋で、
冷気が忍び寄る夕暮れ時
ジャンパーを着込み
ビール片手に一人酒宴を開始

登山者を睨みつけるように立つ石仏
登山者がいなくなり、夜の帳が下りる頃
このいかめしい顔をした石仏が
ふっとため息をついて
柔和な顔に戻ることを想像しました
今回の両神山も先週の金峰山も、人間が勝手にランク付けした百名山ではあるけれども、やはりひと味違う何か が「百名山」にはあります。
すっかり暗くなった山道を、帰りのバスはライトを点けて走り、行きと同様小鹿野町役場前でバスを乗り換え、6時近くに西武秩父駅に着きました。
山里の紅葉
山の上の冬支度をした木々
晩秋の山登りを存分に味わった一日でした

晩秋を彩る黄葉と紅葉のコラボレーション
【標準歩程】
日向大谷口~0.30~会所~1.20~清滝小屋
~0.45~両神神社本社~0.25~両神山
~1.00~清滝小屋~1.10~会所~0.30~日向大谷口
計5時間40分
【交通費】
西武池袋~西武秩父 750円
西武秩父~小鹿野町役場前 460円
小鹿野町役場前~日向大谷口 410円
復路も同じ金額
特急ちちぶを使う場合プラス620円

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11月8日(日)、先週の『五里山・魔子の山(山梨)』に引き続いて同じ奥秩父山系の百名山『金峰山』(きんぷさん)に登ってきました。
金峰山を含む奥秩父山系は、北に日本海側の河川・南に太平洋側の河川の源流となり、いわば中央分水嶺となっています。
大弛峠(おおだるみとうげ)から金峰山へは、かれこれ十年以上前に、子ども2人を連れて登って以来です。
参加者は、私の山菜師匠Y氏、Sさん、Aさんそれに私の計4名。
車を提供するSさんの住む国立の駅前に6時30分に集合。
そのために私は4時30分に起きて、新宿線の始発に乗車し、新宿で乗り換えて国立駅まで行きました。
(土曜日ももちろん授業ですので、帰宅後山の準備などしていると0時を過ぎ、遠方の山登りですと早朝起床のため、いつも睡眠時間が足りないまま、日曜の山登りとなります。)
定刻に国立駅前に全員集合し、6時40分に出発。
中央高速に入り勝沼インターで下りて、甲斐武田氏の菩提寺・恵林寺(えりんじ)の前を通り、林道に入ります。
大弛峠までの林道は、以前来たときは未舗装で、普通車での通行はかなり厳しいといった印象の道でした。
私は今でもダートな道と思っていましたが、現在はしっかりと舗装され、奥秩父の懐まで一気に入り込むことができました。
朝の冷え込みで氷が張った水場
大弛峠から金峰山までは、およそ2時間30分ほどで登ることができます。
また、大弛峠から反対方向に行くと、恵林寺の開祖・夢窓疎石(国師)からその名を取った国師岳(こくしだけ)に登ることができますので、金峰山から帰ってきた余力で場合によっては国師岳にも登ることにしました。
気持ちのよい稜線を歩く
9時15分過ぎに大弛峠を出発。
少し高度を上げると、左手に大きく富士山を望むことができます。
天候は登山日和で、終日富士山を仰ぐことができました。
流石に甲州 富士山が大きい
大弛峠から1時間ほどで朝日岳山頂。
山頂手前に大きな岩が積み重なった富士山を眺望するのに最適なビューポイントがありますので、そこで一休みすると良いでしょう。
いたるところで霜柱が見られます
朝日岳から大きく下り、朝日岳西のコルを通過して、再び登り返します。
金峰山への最後の上りの稜線に入ると、大きく展望は開けて、左前方に富士山・右手に八ヶ岳連山が大きく迫り、また右手前方に目をやると、南アルプスの連なりを見渡すことができます。
頂上近くのシャクナゲの小道を歩く
ガレた岩場を過ぎ、五丈岩が鎮座する金峰山の山頂に、11時45分に到着。
休憩を含め大弛峠から、およそ一般的なルートタイムの2時間30分で登りました。
五丈岩が印象的な金峰山の山頂 後ろに南アルプスも見えます
山頂で昼食を取り、周囲の眺望を楽しみ、五丈岩と少し戯れ、1時間ほど楽しい時を過ごしました。
金峰山は、本来は瑞牆山荘側から入り、百名山の瑞牆山(みずがきやま)も含めて1泊2日で登る方が、登頂価値があります。
しかし、奥秩父山系の盟主で百名山の金峰山に、これだけお気軽に登ることができるのも、大弛峠まで車で行けるおかげでしょう。
天候がよい時期に、子ども連れで天下の名峰に登頂すれば、子どもにとって忘れ難い経験になると思います。
八ヶ岳の峰々 手前の岩峰は瑞牆山
遠方から見ると瑞牆山と金峰山は山の連なりとして見える
しかし、金峰山から見ると、名峰・瑞牆山を従えているようだ
休憩を含め2時間弱で大弛峠へ下り、時間的な関係から国師岳までのルート途中の『夢の庭園』まで登って帰ることにしました。
大弛峠から、小屋の前を通り、整備された階段を登ると夢の庭園に着きます。
夢の庭園からは、今日登ってきた金峰山への稜線・富士山・八ヶ岳山稜・南アルプスを見渡すことができます。
晩秋の淡い夕方の光線の中で、モノトーンの墨絵のような山々が、その微妙なグラデーションの中に静かに佇み、『夢の庭園』の名に恥じない美しさでした。
暮れゆく峰々
秋の黄昏どき
山々はその暮色の中に溶け込んでいく
静寂と哀愁を残して
展望を楽しんだ私たちは、足早に暮れゆく秩父連山を後に、帰路につきました。
大弛峠から林道を下る車中で、山を覆うほど黄葉したカラマツ林が、夕日を受けてオレンジ色に染まっていくのを目撃。
先週に続いて、カラマツの黄葉の美しさに目を見張った山登りでした。
予想通り、帰りの高速は渋滞していましたが、集合場所の国立駅前に無事に到着し、各自JRに乗車して家路につきました。
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総勢25名が、7時30分に相模湖駅前に集合し、そこでチャーターしたマイクロバスに乗って甲州瑞牆山近くの五里山(ごりやま)と魔子(まこ)の山に出発。
参加者名簿には、井の頭支部の会員とゲスト3名が記載されていて、私以外はすべて新ハイキングの会員番号が記されていました。
参加者は、60代から70代にかけての中高年の『おじさん・おばさん』。
車中の話題が、お孫さんのことだったにせよ、『おじいさん・おばあさん』と呼ぶ印象ではありません。
頻繁に山に登られているようで、中高年パワー(老人パワーとは言いたくない)を見せつけられた一日でした。
参加者の中では、私が一番若かったかも。
事前の天気予報では、ピンポイントで日曜だけ雨の確率が高かったのですが、中高年パワーのおかげなのか、昼過ぎまでは晴天で登山には申し分ないお天気でした。
須玉インターで高速を下り、しばらくして山道に入ると、周囲の山々の紅葉が素晴らしく、道路脇の清流の紅葉は、奥入瀬を連想してしまうほどでした。

燃え立つような紅葉
9時30分、五里山登山口に到着。

落ち葉の道を歩き始める
そこからしばらくは林道を歩き、涸れ沢に沿った道と小さな尾根に取り付く道との分岐点で向山へ直登する尾根筋の道を取り、涸れ沢の踏み跡は下りに利用しました。
向山までの直登ルートは、急勾配で滑落を注意する必要があります。
また、足下の地表は軟弱なので、落石にも注意を払わなければなりません。
特に、25名という集団では、先の人たちが登る九十九折りの急勾配の踏み跡程度の登山道は、後の人にとって見上げると頭上にありますから尚更のことです。
登山中、何回も小石程度の落石があり、「ラク!ラク!……」と言う声に冷やりとさせられました。
ほとんど「通の人」しか登らない今回のような山での少人数登山なら、後ろに続く人がいませんので、ちょっとした路肩の崩落は気にする必要がないのですが。

急坂が始まる

瑞牆山も見え始める
向山(1673.2m)山頂は、集団登山では、全員が立った状態でやっと入りきるほどのスペースで、山頂を示すプレートと三角点があります。
五里山へは、山頂からちょっと戻り、来た道と反対側につけられたふみ跡の分岐で右方向に進み、いったん鞍部へ下ります。
この鞍部は、今回のルートでは唯一多人数で休憩できる場所であり、私たちはここで昼食をとりました。
鞍部からしばらく登ると、滑落を注意する場所を通過します。
その場所以外は、落葉した木々の合間から奥秩父の山々を望みながら、尾根歩きを楽しめるところです。

カラマツが日に映えて美しい
五里山山頂は狭く、3~4人が立てるほどのスペースです。
私たちは代わる代わるその頂に立ち、眺望を楽しみました。

五里山の山頂からの眺望
五里山…ある地点から5里ある山という意味なのか、この付近のピークを5つ数えて、五つの里山という意味なのかは、よく分かりません。
五里山からの下り、滑落を注意しなければならない地点では、リーダーとサブリーダーが手際よくザイルを張り、全員の安全を確保しました。

滑落防止用ロープを張る
中高年の登山グループとして安全第一を考えて、リーダーの人たちは、このルートの下調べをするなど、しっかりとした準備をしていることに感銘を受けました。

小枝や根につかまりながら急斜面を注意して下る
再び鞍部に戻り、そこから涸れ沢沿いの下山路を、周囲の紅葉を楽しみながら登山口へ下りました。
砂礫用の堤防を巻くように下ると、林道に降り立ちます。
枯れ葉が敷き詰められた林道では、仕留めたシカを荷台に乗せたハンターに出くわしました。
この時期、子どもがよくしているように、乾いた枯れ葉の上を音をたてて歩く楽しさは、大人だって格別です。
2時過ぎに登山口に到着。すぐ待機していたマイクロバスに乗り、10分ほど先の魔子の山登山口へ向かいました。
魔子の山…何か謎めいた山の名前です。その名前の由来にはこんな伝説があったそうです。
この山に魔子(まご)じじいという大男がおったんじゃ。
そいつの体といったらそれは頑丈でな、
鳥やけものを食べ、村里へ出てきては家畜をぬすみ、
時には赤ん坊までもさらっていったそうじゃ。
ほら穴の入り口には、骨が積み重なり、
奥からは生臭い風が吹いてくるそうな。
子供がいつまでも泣いたりすると、
「魔子じじいが来るぞ」と言えば、
ぴたりと泣き止んだそうじゃ。
五里山に比べて、魔子へは快適な登山道を進みます。
五里山は、ある程度山登りに慣れている人向きで、この魔子の山は、一般の登山道として整備されていて、子どもでも登山可能です。
魔子(1700m)からの眺望も良いですが、もう少し先の展望台と呼ばれているピークまで行って、奥秩父の連山を間近に見ることをお薦めします。

展望台からの眺望
瑞牆山を正面に、金峰山の五丈岩も望むことができました。
また、この展望台と呼ばれるピークを巻くように登山道が付けられていますが、その道の先に『魔子の人穴』と呼ばれる小さな洞窟があります。
先の伝説にある魔子爺の穴は、『魔子の人穴』と呼ばれ、骨が積み重なり、奥からは生臭い風が吹いてくる…と思いきや、人為的に掘られた穴らしく、懐中電灯を頼りに数メートル先まで中に入りこの魔子の人穴の居心地を体験できます。

魔子の人穴の入口
「骨でも積み重なっていたら、見てあげても良いけどね」などと言うおばさんたちの会話が満ちている所では、魔子爺も出たくとも出て来られないでしょうね。

洞窟内部
もし単独登山で、この魔子の人穴に至った人は、勇気を出してこの洞窟に入ってみて欲しい。
その時こそ、穴の奥から生暖かい風があなたの首筋を通りすぎ、伝説の魔子爺が立ち現れるかも知れません。

カラマツ林
登山口から行って帰ってくるのに、1時間ほど見ればよいでしょう。
だいぶ薄暗くなり、いつしか空も雲に覆われた3時半頃、この日の山登りを終え、今度は日帰り入浴ができる須玉インター近くにあるホテル「若神楼」へマイクロバスで向かいました。
露天風呂も付いているゆったりした湯舟に身を浸し、久々の温泉で身も心も温まりました。
帰りは、小仏トンネル付近の渋滞を避け、上野原駅で全員下車し、中央線で帰路につきました。

枯れ葉を踏みしめながら晩秋の稜線を歩く
ところで、今回の山のようなマイナーな山登りを考えることも、マイカーを使わず公共交通を使って山深い登山口まで行くことも、個人的にはかなり難しいことです。
また、滑落を注意しなければならない人気(ひとけ)の少ない山は尚更のこと、今回のように自宅からかなり遠方のマイナーな山への登山計画を思いたつことは、単独登山では少ないことです。
グループ登山は、安心して山登りができることと、山を熟知した方が企画する今回のような一般ルートになっていない面白い山登りができるという利点があります。
今回の費用は、自宅と集合地点および解散地点までの交通費は自弁ですが、バス代と入浴代(800円)込みで3300円と、とてもリーズナブルな山登りとなりました。
いつもは、単独が多い私の山登りですが、こうした面白い企画があれば、ゲストと言わず会員になって参加するのも良いのかなと思い始めています。

カラマツの黄葉
日の当たったカラマツの黄葉が
こんなに綺麗に感じたことは
いままで無かったように思う

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先週の奥多摩に続いて、今度は『私のホームグラウンド・高尾山系』の山登りに出かけることにしました。
午後に用事があったので、ある程度山登りに満足できて、あまり遅くならない時間帯で帰宅する条件を加味すると、私にとっては、やはり高尾山系と言うことになります。
そろそろ秋らしい草花が咲く時期、デジカメを片手に山歩きを楽しみました。
高尾山口から、今日は稲荷山コースを辿ることにしました。
高尾山までのルートは、高尾山口駅に下りてからケーブル下の清滝駅まで歩く途中で考えることが多い私ですが、今回は草花を楽しむ目的もありましたから、稲荷山コースとしました。
このルートで今一番見頃な花は、ホトトギスでした。
山頂まで注意して観察すると、この時期、登山道の至る所に咲いています。

ホトトギス
先週の奥多摩山登りのブログでも、ホトトギスは登場。
《ホトトギス》
ホトトギスは山野草として人気の高い植物で東アジア~インドに約20種類(内、日本原産のものが10種類)が分布します。
名前の由来は花びらの斑点模様が鳥のホトトギスのお腹の模様に似ているところに由来します。
春の新芽にうす茶色の斑が入るものがありそこから油点草(斑が油のしみに見えるので)の別名で呼ばれることもあります。
それから、ツル植物でほおずき状のつぼみを付けている植物を見ました。
しばらく登ると、そのつぼみが開き、咲いた花を発見。
帰宅後調べると、ツルニンジンであることが分かりました。

ツルニンジン…つぼみはほおずきに似ている
《ツルニンジン》
ツルニンジンはキキョウ科の蔓性多年草。東アジア一帯の森林に生育する。別名はジイソブ(爺のそばかすの意)といい、これは類似種バアソブ(婆のそばかすの意で、花冠にある斑点による)に似てより大きいことによる。
高尾山を越えて下るとモミジ台がありますが、その手前の登山道分岐点に「ここより奥高尾」と書かれた大きな看板があります。
しかし、ここから奥と言うより、ここから本当の高尾が始まります。
ケーブルなどで高尾山頂に登られた方は、本当の高尾山の姿を見たことにはなりません。

ヤブラン
この分岐点から、本道を外れて、左側の登山道を歩きます。

サラシナショウマ
ここでは、タマアジサイが登山道の至る所で花をつけ、またサラシナショウマの群落やヤブランも見られます。

“生まれたばかりの”タマアジサイの花…割れた卵の殻がまだ付いているようです
《タマアジサイ》
玉紫陽花は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木。
樹高は1.5mから2mくらいになる。
葉に葉柄があり、枝に対生し、葉の形は楕円形から倒卵形で、大きいもので長さ25cm、幅14cmほどになる。縁は細かい鋸歯状になり、葉の表面、裏面ともざらつく。
花期は7月から9月で、苞に包まれ玉状になった蕾が裂けるように開花し、淡紫色の小さな両性花の周りに花弁4枚の白色の装飾花が縁どる。
新エングラー体系では、ユキノシタ科アジサイ属になっているが、クロンキスト体系ではユキノシタ科の木本類をアジサイ科として分離独立させている。
名の由来は玉のような蕾から。

タマアジサイのつぼみ
一丁平から城山への登山道は、植生の養生のためロープが張られ、登山道の雰囲気を害しています。
しかし、長年この道を通っている方はご存知でしょうが、近年登山道を外れた多くの迂回路が、結果を考えない登山者により自然発生的にできて問題になっていました。
そうしたツケが、この有様になったのです。
残念ですが、致し方ありません。

キク科の植物
城山からは、富士山がとても良く見えました。
名物「ナメコ汁」(250円)を注文して、富士山を眺めながら、味わいました。

キバナアキギリ
城山から景信山までは、滑りやすい道を歩きます。
景信山は、城山より混んでいることが多いように思います。
小仏バス停から登り、陣馬山方面と高尾方面の両方向に行く、分岐点になっているせいでしょう。

アザミ

アザミ

アザミ…さまざまな種類があるようです
景信山のベンチで、富士山を見ながら、ちょっと早いランチを食べました。
ランチ?…今日は、おにぎりではなく、マフィンを持参して、ハムとチーズをはさんで食べました。

この時期は何処を見ても萩の花
下山路は小仏バス停までのルート…このルートは数十回通っています。
いつものようにこのルートで下る予定でしたが、下山途中の小仏と日影方面の分岐点で、小下沢林道から山頂を目指していた年配の女性を見かけました。
ふと私は景信山からの下りに、初めて小下沢林道を通って日影バス停まで行くルートで帰ってみようと思い立ちました。

ツリフネソウ
このルートに入ると、人影はなく、登山道もここが高尾山系かと思わせるほど、ワイルド!
キャンプ場までは、なかなか面白い登山道でした。
ただ、行き交う人はなく、滑落しやすい場所もありますので、単独の初心者は避けた方が良いでしょう。

ジャコウソウ
下りで出会った花は、クサギ・シモバシラ・ツリフネソウ・ジャコウソウ・アザミ類・キク科の植物などでした。

クサギ
《クサギ》
日本全国に見られる高させいぜい3~4mほどのお馴染みの落葉樹です。
クサギはもちろん「臭木」の意味で、葉をもむと独特の臭気が漂います。
観察会等で葉をちぎって臭いを嗅いでもらうと、たちどころに名前を覚えてもらえるという植物です。
しかし、葉の臭さが強調されるあまり、花が発散するユリに似た芳香には気づかれにくいようです。
また、花も果実もとてもきれいです。臭(くさ)いだけではないのです。

清流の沢伝いに歩く
下りの途中から、沢伝いに歩き、綺麗な流れの小下沢に垂直にぶつかり、橋を渡ると林道となります。
小下沢林道は、北高尾ルート途中からの下りで利用したことがありましたが、日影バス停までは、やはり長く感じられました。

下りで見たケヤキの巨木
日影バス停で、時刻表を確認すると、10分程度間がありましたので、二つ先の摺指バス停にある「するさしの峰尾豆腐店」まで、歩くことにしました。

ミズヒキ
帰りに小仏バス停を利用するとき、途中下車して買うのもイマイチ、なかなか豆腐は買えません。
日影沢林道を利用したときや、蛇滝口からの下り、摺指バス停まで歩いて買ったこともありました。
後からやって来るはずのバスを気にしながら、急いで寄せ豆腐と木綿豆腐を2つずつ買って、ドアの閉まりかけたバスに手を挙げて乗車。

今年初めてのムカゴの収穫
楽しかった山登り…これで「高尾の冷ややっこ」をお土産に、家族も高尾を味わえる満足?…勝手に自己満足しながら、ずしりと重くなったリュックを背に、高尾駅から帰途につきました。
【標準歩程タイム】
高尾山口駅~70分~高尾山~60分~城山~60分~景信山~60分~小下沢出合~60分~日影バス停

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私の山菜師匠Y氏と青梅線河辺駅北口で待ち合わせして、8:20始発の上成木行き都バスに乗車。
上成木バス停に8:55到着。

綺麗に石組みされたような、民家に沿って流れる清流
バス停からおよそ25分、舗装された集落の道を歩き、案内板に従い左手の登山道に入ります。
登山口から20分程度で升ヶ滝の案内板があり、そこを左に入るとすぐに左手に滝が見え始めます。
涸れた沢を越えしばらく下ると、途中釜を持つ二段の升ヶ滝全体を見ることができる場所に着きます。

分岐点の小さな橋を渡ったその清流が、升ヶ滝となって流れ落ちていることが分かります。
涼を楽しんだら、再び分岐点に戻り、名坂峠に向かいます。
ミンミン蝉の鳴き声から、高度を上げるとツクツクボウシの鳴き声に変わります。
このコースは峠まで沢沿いを歩くルートですので、眺望は利きません。

沢に沿って続く登山道を登るY氏
何処から湧いてくるのか、冷たい沢水です
滝の分岐点から30分ほどで稜線上の名坂峠に着き、そこから左手の稜線を歩いて岩茸石山山頂に到着。
岩茸石山は奥多摩登山の入門コース「高水三山登山ルート」となっていますので、高水山を経由して軍畑へ下るコース・惣岳山を経て御岳駅へ出るコース、また棒ノ折山まで足を伸ばすコースなど様々なルートを選択できます。
今回バス終点上成木まで一緒だった単独登山者は、上成木からの登山路を使い、棒ノ折山方面へ向かいました。

岩茸石山山頂から棒の折山方面の展望
この日も、岩茸石山山頂は、多くの中年登山グループでいっぱいでした。
山頂を吹き抜ける風は、もうどこか秋の涼やかさを含み、秋の七草のハギの花がほころび始めていました。

山頂のハギの花も咲き始め、早くも秋めいてきた山
下山道沿いに、至る所で見ることができます

山菜師匠Y氏が岩茸石山でゲットしたキクラゲ
他に、ホウキタケの一種も収穫
岩茸石山を経由する上記のルートは、くり返し登っていましたし、また教室の生徒を連れて二回ほど(30年ほど前と数年前)、高水三山を歩いたこともありました。
今回登りは初めて升ヶ滝を経由したルートで、下りも一般ルートから外れて、御嶽に下りるルートを考えていましたが、時間も早いことだし、沢井に下りて「一杯やりましょう!」と言うことになり、惣岳山を経て沢井駅へ下るルートを選択しました。

ホトトギスの花
秋に日陰に生えるユリ科の植物
この名は、若葉や花にある斑点模様が、
鳥のホトトギスの胸にある模様と似ているから
惣岳山からは、一般ルート以外にも、様々な下山ルートが選択できます。
下山も1時間30分から2時間ほどで沢井駅まで下ることができました。
沢井駅周辺の民家の栗林には、たわわに栗が実っていて、秋の訪れを感じさせます。
沢井と言えば、「澤乃井の小澤酒造」。
利き酒ができるコーナー、そして川縁で一杯やることができる「澤乃井園」は、駅から川に向かって下り、国道411号線を渡るとすぐにあります。
我々は、まず利き酒コーナーで、各自気に入った日本酒をぐい呑みで一杯。
次に、日本酒のボトルと冷ややっこを買って、多摩川を望むテラスに移動し、利き酒用に付いてきたぐい呑みで乾杯。

澤乃井の酒は「秋あがり」
肴は各自持ち帰り冷やっこ一丁に醤油を垂らし素朴にいただく
山登りの後、下山した麓で、その山から湧き出たミネラル豊富な清水で作られた冷ややっこをいただくことは、とても味わい深いものがあります。
多摩川を渡ってくる涼風
時折川の向こうにある寒山寺から聞こえる鐘の音
一杯、一杯、また一杯
日本酒を酌み交わしながら
夏山登山を肴に、秋の訪れを味わっていました

沢井駅近くに咲いていた仙人草(センニンソウ)
…キンポウゲ科センニンソウ属の蔓性多年草
楽しいワンデーハイクの後の一杯で、ほろ酔い気分になった我々は、
タイミングよくやってきた列車に乗り込み、
うとうとするうちに、私の下車駅・新宿に着きました。
【標準歩程時間】
上成木バス停 →25分→ 登山口 →20分→ 升が滝分岐(滝まで往復15分程度)→35分→名坂峠 →15分→ 岩茸石山→20分→惣岳山→80分→沢井駅

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二十六夜山という名前は、江戸時代に二十六夜信仰があり、月待ちの行事が行われていたことからきているようです。
その夜の月を拝むと、月の光の中に弥陀と観音と勢至の三尊が浮かぶという言い伝えから、そうした神事が行われていて、今回登った二十六夜山も、その場所として選ばれた山だったことになります。
この山のベストルートは、『今倉山』を経由して『二十六夜山』に登り、『芭蕉月待ちの湯』に下って、一風呂浴びて帰るコースでしょう。
今回私達は、二十六夜山の北面の引野田から入って、上戸沢に周遊する登山路を使って二十六夜山に登りました。
無論、最後は『芭蕉月待ちの湯』に立ち寄って、夏山登山の汗を流し、一杯やってから帰ることに。
なんで待ってくれないの!
都留市駅に9時48分に到着する『ホリデー快速河口湖』と、接続するバスの発車時刻の時間差が1分でした。
そこで、駅で精算する時間を省くために、予め各自が都留市駅までの切符を、緑の窓口でわざわざ購入していました。
『ホリデー快速河口湖』から降りて、すぐに改札を抜け、駅前のバス停にたどり着くと、1台のバスが発車した直後でした。
いくら何でも、電車と接続を考えてバスを発車させるだろうと思い、しばらく辺りを見渡しましたが、バスが来る兆候がありません。
やっぱり、先ほど出発したバスが、目的地へ行くバスだったのでした。
少ないバス便なのですから、列車との接続を考慮するのは当たり前なのですが?
そこで、登山口まで駅待ちのタクシーに乗って行くことにしました。
一人あたり600円程度で、予定のバス停からしばらく歩いたところにある登山口まで行くことができました。
人気(ひとけ)のない登山道を行く
引野田から二十六夜山への登りは、登山者が少ないためか、倒木も多く踏み跡が不明瞭な所もありました。

登り初めは、倒木などが多い
しかし他の2人と比べ、最近山菜師匠Y氏と道無き道の山登りをしているので、私にとっては、この登山道もさほど苦にはなりませんでした。

夏の灌木の中を登るTさん
今年は、梅雨明け後も、すっきりとしない天気が続いています。
当日も薄曇りで、夏の低山の山登りとしては、強い日差しを避けられるだけ好都合でした。
気温はさほど高くはないのですが、登山道は中腹までは樹林帯の中で湿度が高く、体が汗ばんでききます。

ミスした画像?…枝に擬態した大きなナナフシ
ナマケモノのように、動かなかったこの虫が、
ちょっと触っただけで、地上に落ち、
その後素早く茂みに隠れてしまいました。
高度を上げていき、稜線間近になると、木々を渡る風が体に心地よく感じるようになります。
頂上手前の急坂を登り切ると、御正体山・そしてその先に富士山を望むことのできる、二十六夜山山頂に到着します。

二十六夜山の山頂標識

雲の中から姿を見せる富士山

正面に腰を据える御正体山
頂上には、『今倉山』を経由してきた数人のグループが下山の準備をしていました。

ヤマオダマキの花
今回の登山では、このグループを除き、出会う登山者も無く、とても静かな山登りを楽しむことができました。

アザミの花
日帰り温泉『芭蕉月待ちの湯』へ下山
下りも、樹林帯が中心で、眺望はありませんが、途中に『仙人水』と呼ばれる清水があり、この程度の低山としては極めて冷たい水を飲むことができます。

『仙人水』…その冷たい水で顔を洗い、喉を潤せば、そこは天国だ

快調に下山道を下る
登山道から集落に出て、右手の道をしばらく行くと、目指す日帰り温泉『芭蕉月待ちの湯』にたどり着きます。

里山に、至る所に咲いているネムノキの花
その施設の道を隔てた斜面は、7月下旬にもかかわらずアジサイで埋め尽くされ、見頃の時期はさぞ綺麗だろうと思わせる散策路が整備されていました。

アジサイの道

日帰り温泉『芭蕉月待ちの湯』
私達は、ゆったりとした湯舟に浸かり、夏山登山の汗を流し、山酒会のメンバーらしく、ビールで乾杯し、山登りの余韻に浸ったのでした。
私達は、都留市駅の手前の駅『赤坂』でバスを下車し、電車待ちの間、古めかしい駅舎で、再び酎ハイで親交を深め、やって来た『トーマスランド号』(機関車トーマスが所狭しと電車の内外に描かれている)に乗って帰路につきました。
これで終わらないのが、山酒会!
高円寺駅で途中下車して、焼鳥屋で再び乾杯。
実はこの途中下車には訳があって、高円寺に住むリーダーTさんから、今年も『スズムシ』を頂くためでした。
Tさんが自宅からスズムシを持ってくる間、焼鳥を肴に乾杯し、再びTさんが戻ってきて、再び乾杯。
自宅に戻って調べると、Tさんが持ってきた紙袋には、二百匹以上のスズムシが入っていました。
スズムシの半分は、今年もペットボトルで作った虫かごに入れ、教室の子供たちに分けました。
この小さなスズムシも、餌を食べ急速に大きくなり、お盆を過ぎる頃、子供たちの家庭で、精一杯羽をこすり合わせ、夏が過ぎるのを惜しむように、鳴き始めることでしょう。
公共交通を使い、今回のルートで二十六夜山に登る場合、都留市駅とのバス便は、とても少ないので、予めのチェックが必要です。
【標準歩程】
登り2時間30分~3時間 下り1時間30分~2時間

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山菜師匠Y氏と、箱根外輪山の一部である、芦ノ湖の西側に延びる稜線歩き が目的でした。
この日は、梅雨の真っ直中でしたが今年は空梅雨で、当日も薄雲が少しかかった程度の、晴れた空に夏の太陽が眩しく輝く一日でした。
新宿西口の小田急ハルク前のバス停から、7時40分発の高速バスを使い、9時半過ぎに乙女峠バス停で下車。

金太郎の像…お尻が光っています
ここを撫でると、子どもが元気に育つそうだ
ここから乙女峠への登山路がスタートします。
30分ほどで、乙女峠に到着。

ここを左の登山路を行くと金時山で、今回は芦ノ湖西岸の外輪山の稜線歩きですので、右手の登山路を取ります。

かわいいホタルブクロ
乙女峠の展望ベンチには、数組のパーティーがいましたが、我々を除いては金時山方面への登山者でした。

登山路の随所に見られたヤマアジサイ
今回の外輪山稜線の登山路は、たいへん整備されていて、最後の箱根町のバス停に下りる道を除いて、ほぼ迷うことなく目的地に到着できます。

終日、笠をかぶった富士が望まれました
登山路の右手に富士山、左手に芦ノ湖と箱根山を随所に望み、一部藪がうるさいところを除き、開放的な爽快な山歩きでした。

ハコネダケのトンネル
登山路の左右が、背丈をはるかに超える篠竹のハコネダケによって囲まれている場所も多く、そうした場所を除き湖面から吹いてくる涼風が、夏の太陽に照らされた肌に気持ちよく感じる登山路です。

バイケイソウ
この外輪山の登山路には、比較的低山の花と高山植物が同居し、植物観察の好きな方も楽しめる山道です。

ハクウンボクの花
それから地図上では、登山道が芦ノ湖スカイラインと併走するようになっていまが、完全に車道と分離していますので、車道歩きをする心配はありません。

最初のピーク丸山
さて、登山ルートですが、お気軽にハイキングを楽しむならば、今回のルートを前半と後半に分けて、いずれかを選択するのも一つの方法です。
まず前半は、乙女峠登山口~乙女峠~丸岳~長尾峠~富士見ヶ丘公園14:20~芦ノ湖展望公園~湖尻峠~深良水門~湖尻水門~桃源台と歩くルートです。
標準タイムは5時間ほどです。

乙女峠から湖尻峠へ向かうY師匠…奥にまだ遠く湖面が見える
次に後半は、桃源台~早川口~深良水門~湖尻峠~三国山~山伏峠~海ノ平~登山口~バス停というルートです。
この標準歩程時間は4時間30分ほどです。

芦ノ湖を左手に身ながらの爽快な稜線歩き
この日私達は、乙女峠バス停~乙女峠~長尾峠~湖尻峠~三国山~山伏峠~海ノ平~登山口(国道1号線に面した道の駅箱根峠)~箱根町のバス停まで、上の二つのルートを連続して歩きました。

爽やかな風が吹き渡る、芦ノ湖西岸の稜線歩き

下山途中に見た、ガクアジサイ
バス停に到着したのは、5時半を回っていたと思います。
その後、バスで箱根湯本駅まで行き、小田急ロマンスカーに乗り換え て、1時間30分ほどで新宿駅に降り立ちました。

ロマンスカー新型車両
今回歩いた登山路は、カルデラ湖である芦ノ湖と中央火口丘の駒ヶ岳・神山を取り巻くように連なる外輪山の、湖面から西側に連なる稜線でした。

ヤマオダマキの花

オカノトラノオ

このカルデラという地形ができる代表的な例は、『陥没カルデラ』と呼ばれるもので、それは大規模な噴火で、火山灰、火砕流、軽石、溶岩など「火山噴出物」が大量に噴出し、空洞化した地下のマグマ溜まりに、落ち込む形で地表が陥没することによって形成されます。
日本では、世界最大のカルデラとして、阿蘇山が有名です。

シモツケ

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「山菜採りの場所が分からないと、興味が湧かないな!」
そうおっしゃらず、…確かに山菜に興味ある人ほど、他人のテリトリーが気になるところですが。
でも、やはり内緒!…これは、私が開拓した場所ではなく、私の山菜師匠Y氏から教わった場所ですから、やはり秘密にしておくのがルールというものでしょう。
今年のわらび採りの山行きは、わらびの収穫の他に、二つの楽しみがありました。
一つは、わらびが多数自生している場所へ向かう登山道近辺に、木イチゴ(主にモミジイチゴ)が実をたくさん付けているので、収穫して持参したタッパーで持ち帰ること。
もう一つは、そこに山椒の木もありますので、上手くいけば青山椒も収穫できるという期待がありました。
6月7日(日)、前日まで雨模様の天候でしたが、当日は回復して、初夏を想わせる暑い日でした。

久しぶりに青空がのぞく早朝
バスを降りて、すぐに登山道が始まります。
登山道に沿って、ミツバが生えていますので、まず私達は最初の採集として、歩きながらミツバを摘みました。
ミツバは、市販されている水栽培されているようなヤワなものではなく、大地の養分をたっぷり吸収した骨太のミツバ。
したがって、自生しているミツバは、生食のサラダよりも、おひたしや油炒めが似合います。

ユキノシタ
登山道の途中に、数軒の一軒家が、かなり高度を上げた地点まで点在しています。
民家が無くなると杉の樹林帯に入り、そこを抜けると低木とツル植物がからまったブッシュとなり、この辺りから木イチゴが現れます。
オレンジがかった黄色のモミジイチゴと、赤い実をつけたニガイチゴだろうか、同じ背丈ほどの木に、実をつけていました。
食べてみると、どちらかというとモミジイチゴの方が美味しく、数も赤を圧倒しています。
実がなっている場所は、我々のために採りやすい所にあるわけではなく、ちょっと道を外れて2~3m入った所にあるものも多く、手を伸ばして採取します。

木イチゴ(今年は収穫に意識が集中して…これは昨年の画像)
木イチゴ類はバラ科の植物なので、枝には鋭い棘が密生していて、夢中で採っているときには気が付かないのですが、家へ帰ってから見ると両手にはネコと格闘したように、無数のひっかき傷ができていました。
今週、腕まくりをして、口角泡を飛ばし、熱の入った授業をしていると、生徒から授業と関係のない質問が飛んできました。
「先生、その腕の傷、どうしたの?夫婦げんかでもしたの、それともネコに引っ掻かれたの?」

コアジサイ
そんな努力の結果、木イチゴも予想以上に採れて、大きなタッパーがいっぱいになりました。
木イチゴの木が無くなる地点まで行くと、今度はわらびが登山道周辺に見られるようになり、目的地のわらび採集地に到着。
数日雨が降ったためか、わらびの出も良く、他の人に何日かは収穫されていない状態でした。
短時間でずしりと重くなるほどわらびを収穫して、私のザックは木イチゴとわらびで満タン。

エゴノキ
しばらく運動らしい運動をしていなかったので、このザックの重さは、重くなった体に加えて、私の足腰に堪えました。
わらびの生えている場所のすぐ上に、何本かの山椒の木が生えていましたが、一番上にある一本だけが実をつけていました。
山椒は雌雄異株なので、雄花しか咲かない木と、雌花しか咲かない木があります。
したがって、雌の木にのみ実がなるのです。
ここで、ほんのちょっぴり青山椒を入手しましたが、家へ帰ってその重さを量ってみると、9gほどでしたので、3番目の目的は達成できませんでした。
山登りと山菜等の採集に要した時間は6時間弱でした。
ずっしりと重くなったザックを背に、Y氏と新宿で別れ、家路につきました。
家に帰ってからの、わらびのあく抜きと木イチゴのジャム作りなどは、別の機会に皆様お楽しみの「サンデークッキング・男の料理」でお話ししましょう。

収穫したワラビ
後日談ですが、山登りの翌日・月曜日、昼食を食べようと弁当箱を開けると、早速収穫したミツバとわらびの料理がしっかりと入っていました。
「ムッ、やっぱり入っていたか!」
こうして、私は山で遊びながらも、多少なりとも家計に貢献していることで、家族にその言い訳ができるのです。
たぶん、田舎では当たり前の自然との付き合いが、都会では自然との付き合い方の知恵さえも忘れ、また、肝心の自然も少なくなっているために、こうした楽しくかつ《実のある》自然と人間の付き合いは、難しいものとなっているようです。

日曜日に採ったワラビ…「ワラビのたたき」

盛った器は、鈴木三成の青磁のぐい呑み
「ワラビのたたき」は、ご飯のお供に、酒の肴に良いのでは。結構美味しい


乾燥ワラビ…保存用として作ってみました。
私の思いつきで、こうした調理法があるのかどうかは知りません。
もどした後、油炒めなど、どうでしょうか。挑戦してみます
後日談をお楽しみに


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『山酒会』は、産経新聞社の退職者と現役を中心に、月1回の例会と山登りを主な活動とする山登りの会です。
『山酒会』…名の通り、山に登っては酒を飲み交わし、酒を飲んでは山に登る…健全なのか不健全なのか?…ただ、だんだん構成員の年齢が高くなるに連れ、健全志向の山登りになってきているようです。
今回の参加者は、総勢16人。
観光目当てなのでしょうか、『勝沼ぶどう郷駅』に改称したかつての勝沼駅に、9時33分着の電車までには、全員改札に集合。
タクシー4台に分乗し、2000円程度の距離を乗車して、大滝不動手前まで行きました。
ちなみに、勝沼の駅から歩くと2時間近くかかるそうです。

大滝不動山門
大滝不動山門をくぐると石段が奥宮まで続き、右手に小さな滝が、そして左手奥の山の頂上から、ちょっと感動するスケールで大きな滝が流れ落ちていました。

石段の途中にある滝
落差が140mあるという、一見に値する垂直方向に雄大な滝でした。

大滝不動尊の社奥にある裏山から流れ落ちる雄滝
階段上部に大滝不動奥宮があり、各自参拝した後、右手から始まる登山道を歩き出しました。
イカリソウやフデリンドウなどの花を足下に見ながらしばらく歩くと展望台に到着します。

フデリンドウ
名前の通り、とても小さなリンドウ
リンドウは、一般的には秋に咲きますが、フデリンドウは春に咲きます
春霞と言うより、かなり気温が上昇して、初夏の陽気といってもよい霞の彼方に、南アルプスの連なりが遠望できました。
棚横手山と甲州高尾山の尾根までの登山道の周囲の木々は、最近あった山火事で、焼けただれ、きな臭い匂いも立ちこめていました。

山火事跡・登山者の火の不始末によるもの…火を使う場合充分に注意したいものです
尾根まで登り着くと、最近の積雪で、真っ白く冠雪した富士山がかなり間近に姿を現しました。
この尾根を右手に進み、今回の山火事で焼けた植林を通り、三角点のあるピークに到着します。

5月としては、暑い一日でした
甲州高尾山の頂上は、このピークより先の、山頂案内板がある場所です。

甲州高尾山の山頂案内板
ここで昼食をとり、お決まりの酒盛り…それでも、かつてよりだいぶ少ない酒量(日本酒・ビール等)で乾杯。
下りは、大善寺に至る登山道を行く予定でしたが、どこで道を間違えたのか、勝沼駅に近い麓にたどり着きました。

大善寺からだいぶ離れた、変な場所に出てしまいました
向こう奥に『ぶどうの丘・天空の湯』が間近に見えています
ワインを堪能したい人たちの願いが強すぎたせいでしょうか?
今回の山行きは、『ぶどうの丘・天空の湯』で、入浴とワインの試飲をして、宿泊(酒盛り)する方が多く、日帰りは私を含めて数人でした。
下りた場所が予定と異なったため、主に宿泊される方達は、翌日に『大善寺』参拝をすることになり、日帰り組のうち私を含む3人は、予定通り大善寺を参拝し帰ることにしました。
『ぶどうの丘・天空の湯』経由のお楽しみをあきらめ『大善寺』を参拝するために、しばらく一般道を初夏のような陽光の中、ひたすら歩きました。
やっぱり、『ぶどうの丘・天空の湯』経由が正解だっただろうか。
たどり着いた国宝『大善寺』は、その思いを吹き飛ばすほど素晴らしいお寺でした。

大善寺山門
まず、重厚な山門に圧倒され、その山門をくぐり石段を登ると、鎌倉時代に建立された国宝の薬師堂と呼ばれる本堂があります。

大善寺国宝薬師堂
薬師堂に入ると、冷房でも入っているかのように、そこは涼やかな空気に包まれていました。
中央に南北朝時代に作られた国宝の厨子があり、その中に5年に一度ご開帳となる薬師如来を中心に平安時代初期作の重文・薬師三尊像が安置されています。
その厨子の左右に、鎌倉時代作の重文指定の日光月光菩薩と十二神将が鎮座していました。
これらの仏像は、間近に寄ってみることができますので、こうした美術品に興味のある方は、充分堪能できることと思います。
私達は、悠久の時代を超えて存在する薬師堂の中に座り込み、仏像と対面しながら、不思議な安堵感に包まれてしばらく時を過ごしました。
このお寺には、江戸時代に作られた庭園もあり、休憩できる座敷から眺めることができます。

大善寺庭園

大善寺・休憩の座敷から見える庭
帰りは、タクシーを呼んで勝沼の駅まで行くものと思っていましたが、かつての中央線の旧トンネルを使用した隧道があり、そこを通って駅まで歩くことになりました。
しかし、寺の受付で道順を確認すると、3時でそのトンネルは閉まるとのことで、私達はあわてて小走りで、この寺から少し離れたトンネル入口まで急ぎました。
トンネルにたどり着いてみると、案内板には午後4時に閉まると記載されていて、そんなにあわてる必要の無かったことが分かり、汗だくの急ぎ足は徒労に終わりました。

ひんやりとしたトンネルの中
『中央本線大日影トンネル遊歩道』(全長1367.8m)
待避所に、歴史や見所などの解説プレートが付けられています
しかし、真っ直ぐに続くトンネルに入ると、ひんやりと冷気が心地よく、くねくねと曲がりくねった一般道の測道を、太陽に照らされながら歩くことを思えば、地図上に真っ直ぐ引いた直線の上を歩くようなこのコースは、天国のようで大変ありがたく感じました。

トンネルに続く線路は、ここで終点
明治36年開通~平成9年閉鎖~平成19年遊歩道化
トンネルを越えて間もなく、勝沼ぶどう郷駅に到着。
お土産にブドウ酒、そして片手にビール缶を持ち、やがて着いた電車に乗り込み帰途につきました。
今回の甲州高尾山は、ゆっくり歩いても歩程3時間程度で、お気軽な山登りです。
やはり、『大滝不動』と『大善寺』、それから『トンネル歩き』を組み合わせて楽しむと、充実した山登りとなるようです。
また、今回グループの多くが立ち寄った『ぶどうの丘・天空の湯』を組み入れるのも、飲んべえには、堪らない魅力かも知れません。

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年末年始は、元旦を除き受験生指導がありますので、家族で帰省するのは年2回ということになります。
ゴールデンウイークで新潟に帰省したときの私の楽しみの一つが、中学校時代以来の親友と、周辺の山へ日帰り登山をすることです。
私の住んでいた新津からちょっと内陸の方に目を向けると、天候が悪くなければいつも見えている五頭山に、今年は登りました。
五頭山という名の由来は、五ノ峰・四ノ峰・三ノ峰・二ノ峰・一ノ峰と呼ばれる峰が、五つあることから来ています。
この山は、809年に弘法大師によって開山されたと言われ、奇しくも今年開山1200年の節目の年でした。
また、この山は私にとって、高校1年の春、ワンゲル部の新人ボッカで登った思い出深い山でもあります。
キスリングに、基準となる重さまで、重い石を詰め込んで登りましたが、そのせいで背中に、大きなたんこぶができているのが、帰宅後に分かりました。
それ以来、およそ40年ぶりの五頭山登山です。
今回は、旧村杉のスキー場手前の駐車場に車を止め、そこからまず菱ヶ岳に登り、稜線歩きをして五頭山一ノ峰に至り、一ノ峰から順に五ノ峰まで歩き、駐車場まで下山する、周回コースをとりました。
5月2日(土曜日)、親友のN氏の車で出発し、旧スキー場近くの駐車場に、9時前に到着。
天候は快晴で、早速、我々は支度をして出発しました。

親友が新緑の海を泳いでいるようだ

カタクリの花
歩き始めて間もなく、チゴユリ・イワウチワ・ショウジョバカマ・カタクリ・ヤマツバキ・ツツジ・スミレ・マンサクなどの草花が目を楽しませてくれます。

ショウジョバカマの花

春の陽光の中、稜線を歩くN氏
イワウチワの花は、ピンク色のものから、純白のものまで、場所によって個体差があるように思いました。

イワウチワの花

すべての木が、根元から谷川に向かって湾曲している
冬の間、積雪の重さに耐えた姿です
春山の新緑を楽しみながら、2時間ほどで菱ヶ岳山頂に到着。
そこからは、五頭連峰に続く稜線歩きとなります。
行く手の左側に、若干春霞の中で、飯豊連峰が手招きするように、まだ冠雪した姿を現していました。

飯豊をこよなく愛するN氏
稜線の至るところにまだ残雪があり、そうした所を通る時、私の歩く震動で、突然木の枝がムチのように雪の重みを跳ね返して、起きあがると言ったことが度々ありました。
10cm以上の木の幹が、私を乗せたまま20cmほど雪面からリフティングすることもありました。
もしも、雪に埋もれた木の枝を跨いでいる時に、突然ムチのように跳ね返ってきたら、大変だあ~…などと、変なことも考えながら、足から伝わってくる雪の感触を楽しみつつ歩きました。
雪国の春山登りの楽しさは、五月ともなれば、気候は関東地方とさほど変わらないのに、豊富な雪が残っていて、春いや時として初夏の山登りと、積雪期の山登りを二つ味わえることでしょう。
12時40分、五頭山のピークを過ぎ、そこから少し離れた一ノ峰に到着。

一ノ峰頂上
一ノ峰は、三角点のあるピーク(912m)よりも、若干低い地点にあるものの、展望が開けていることから、五頭山頂上の扱いをされているようです。
五頭山の各峰には、地蔵が奉られていて、この山は、地元の信仰の対象にもなっていたようです。

五頭山から菱ヶ岳を望む
また、新潟の山の山頂には、登山者が鳴らす鐘が設置されていることが多く、面白いなと感じました。

五ノ峰の鐘
一ノ峰から五ノ峰まで距離はさほど無く、ちょっとしたアップダウンをくり返しながらの稜線歩きとなります。
展望は、一ノ峰と五ノ峰を除いてあまり無く、休憩地点とするならこの2ヶ所が良いと思います。
我々にとって最後の五ノ峰(こちらから登ってこられる登山者も多く、その人達にとっては、最初のピークとなりますが)からは、越後平野を一望することができます。
昨年登った白山からは、水田に水が引かれ新潟全体が水没したように見えましたが、今年はさほどではありませんでした。
五ノ峰で小休止をとり、小鳥のさえずりと、足下の草花を楽しみながら下山開始。

下山路で見た、かなり大型のスミレ


ツツジ
下山から1時間ほどで、かつてスキー場があった場所を通過し林道に下り、そこからしばらく歩いて、午後3時に今朝車を止めた駐車場に到着。
帰路の途中、そこから間近にある、ラジウム含有量が多いことで有名な村杉温泉の共同浴場・薬師の湯(入浴料:250円)に立ち寄り汗を流し、寄り道して、麓のこれまた有名な豆腐屋「川上とうふ」で、お土産の豆腐を調達し帰路につきました。
私とN氏は、山道具と車を各家に置き、新津駅間近の焼鳥屋さんで、一年ぶりの再開と今年もできた山登りに生ビールで乾杯しました。
私は、新潟に帰ると、東京では感じない、空気の透明感や爽快感を感じます。
山で出会った山野草から、そして実家の庭に咲く草花から、故郷新潟の清々しい空気の中で、新鮮な美しさを感じ、そして何よりも生きる元気をもらったように、私は思います。

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昨年から私も参加している、恒例の山菜採り山行きを、存分に楽しんだ日曜日でした。
この春の恒例(高齢)山菜採りは、新ハイキングの江戸川支部のメンバーだった人たちが、リーダー格のKさんを中心に、二十年も前から続けている、春のお楽しみ行事です。
最高齢は八十歳のOさん(ただ体力的には、私とさほど変わらない、健脚な方でした)で、なんと私が最も若輩者でした。
朝9時過ぎに駅を出発して、爽やかな朝の散策を開始しました。
しばらく民家の続く道を歩き、やがて林道に入ります。
昨日の雨に洗われて、木々も草花も朝の空気の中で、生き生きとしていました。
やがて、今年初めて見るミツバが、足下に美味しそうに現れ始め、いざ山菜採集開始。
昨年、このミツバを、類似の植物と区別するのに四苦八苦したことを想い出しながら、私自身山菜について、かなり知識が増えたことを実感。
山菜だけではなく、登山路の周囲には、シャガ・イチリンソウ・ニリンソウ・スミレ・ヘビイチゴ…、その他様々な山野草が咲き始めていました。

チゴユリ

クサイチゴ?の花

キランソウ
また、山の木々の新緑は、まだ芽吹いた初々しさを残し、快晴の青空に映えて、目に優しく春山の躍動を伝えてきます。
山菜としては、ミツバの他には、モミジガサ(シドケ)・ハナイカダ・イタドリ・クレソン・ワラビなどが採れました。
山菜採りは、やはり経験がものを言うようで、長年行っている人は、収穫量が多いようです。
小さな谷川で収穫したものを洗ってから、小さな尾根を登り、いつもの宴を催す場所に到着。

いつもの山菜の洗い場

宴会場までの小さな尾根登り

登山路一面が、新緑の淡い緑に包まれる
一年ぶりの再開と、春山の恵みに感謝しつつ、採れたての山菜を料理し、それを肴に総勢12名の宴会開始です。

料理の開始

料理は、やはり女性陣が指揮を執る
ミツバはおひたしに、モミジカサの油炒めとごま和え、イタドリのポン酢和え、それに参加者が持ち寄った料理で、春山の宴は盛り上がりました。

山菜などでお腹が満たされた後、最後は各自が持ってきたおにぎりを、「闇鍋」のように様々混ぜ合わせて、特製チャーハンの出来上がり…こういう食べ物が結構いける!
帰りはいつものルートから外れて、新規開拓ルートで下りましたが、それが瓢箪から駒の大正解。
その山道の両脇に、シドケが大群生していて、思わぬお土産の収穫にみんなホクホク顔でした。

モミジガサ(シドケ)
その山道を下ると、登りの途中山菜を洗った地点に合流しました。
薄暗いヒノキやマツの林の中で、太陽光線が差し込むその光の中に、数え切れない微粒子が、上から降り注いでいるのが見えました。
「これは何だろう。」…花粉症の原因物質だろうか?
その正体は、分かりませんでしたが、帰宅後に、遅効性の花粉症の症状が現れたのは勿論でした。

帰路、振り返ると、午後の陽光の中で、初々しい若葉で彩られた山が、私達を見送っていました
朝集合した駅に再び戻り、ちょうど発車する電車に乗り、帰路につきました。
その後、YさんとTさん、それに私の3人は、新宿で下車し山の反省会と称して、居酒屋でビールで盛り上がりました。
帰宅後、早速採ってきた山椒の葉を使った佃煮作りに挑戦。

山椒の葉の佃煮…信楽焼・高橋楽斎の馬上杯のぐい呑みに盛る
翌朝、お茶漬けにして、いただきました。

山椒の佃煮をのせたお茶漬け・根来のお椀でいただきました
これは美味い!やみつきになりそう!
今日の昼の弁当を開けると、おかずに、またまたシドケの油炒めが!

飽きないか?…ですか?…シドケは、野菜よりも淡泊な味で、飽きの来ない山菜だと思います

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3月29日(日)、講習の合間の休日を利用して、奥武蔵の山に登りました。
2年前の2月、同様のコースで登り、山伏峠を経由して伊豆ヶ岳へ登り返し、子ノ権現を通って吾野駅まで下りました。
その時は、大分長い歩程でしたが、今回、武川岳から名郷に下るルートでしたので、標準歩程で6時間弱の気軽に歩ける山登りでした。
6時に家を出て、池袋7時4分の電車に乗り、芦ヶ久保に8時39分に到着。
身支度を済ませ、8時50分に出発しました。
駅の左手を進み、すぐに線路下のトンネルを越えた所からすぐに登山道が始まります。
登り始めると、足下には霜柱が見られ、今朝は零下の冷え込みだったことが分かります。
今年は、例年より早く桜が咲き始めましたが、その後花冷えとも言える、例年よりも寒い日が続いています。
早朝は、手袋をしないと、手がかじかんでしまうような風の冷たさでした。

登山道
涸れ沢に沿って高度を上げて、やがて稜線に到達します。
双子山への登りに入ると急斜面となり、北面しているこの急坂は、凍結時にはかなり気を遣って登ることになります。

双子山(雄山)頂上
双子山は、名前の通り二つの峰が続いていて、二つ目がピークとなっています。
頂上は展望が無いので、左手の甲仁田山方面へちょっと進むと、展望が開けた岩場がありますので、休憩を取るならそこがよいでしょう。

双子山の展望の利く岩場から、武甲山を望む
二子山から焼山までは、いったん大きく下り、登り返します。
焼山は、このルート随一の展望で、正面には石灰岩の採掘で痛々しい姿の武甲山を望むことが出来ます。

焼岳山頂
焼山から武川岳へ向かうと、左手に林道がしばらく平行しています。
林道に下りて進むと、やがて登山道とは大きく隔たってしまい、また登山道へ合流する道もないので、林道には下りない方が無難でしょう。
私はかつて、この林道をだいぶ進み、大きく上の方に隔たった登山道へ向けて、急坂を藪こきして戻ったことがあります。
私は、山登りで体が順応して、自分のペースになるまでに、時間がかかる方です。
今回も、登り始めは、体や足が重く感じられましたが、1時間ほど歩いていると体も慣れて、標準タイムよりもだいぶ速いペースで進むことが出来ました。

武川岳山頂
武川岳には、予定よりも1時間早く到着しましたので、前回同様に伊豆ヶ岳からその先に縦走してみたいとも感じました。
しかし、今回のもう一つも目的である、いつも通過する『さわらびの湯』に浸かって帰りたいという気持ちが強かったので、やはり予定通り天狗岩を経由して名郷へ下ることとしました。

天狗岩付近
この下山道は、樹林帯のいたる所に石灰岩が露出していて、天狗岩も大きな石灰岩が風化浸食されたものです。
いわば、石灰岩質の地形が浸食されたカルスト地形状になっていて、そこが樹林で被われていると言う状態です。
教材用に、手頃な石灰岩をリュックに仕舞い下りました。
やがて、舗装した林道にぶつかり、林道に下りて左手に進むと、看板の指示で再び名郷への登山道が始まります。
しばらく登山道を進むと、また林道にぶつかり、地図では林道にぶつかったら左手に進むように記載されていましたので、左手に進みました。
これが、実は間違いで、右手に進むと間もなく名郷のバス停があったはずですが、左手に進んだために、湯ノ沢石灰岩採掘場へ行ってしまいました。

採掘後に、細かく破砕された石灰岩の山
だいぶ遠回りして、2時過ぎに名郷バス停に到着。
2分前に、バスは出発していました。残念!

民家の庭先に咲く桜
40分近く後のバスまで、コーヒーを入れて飲んだりするうち、そのバス停には、中高年登山者が十名ほどに増えました。
私は、予定通りさわらびの湯で途中下車して、山登りの汗を洗い流しました。

さわらびの湯正面
さわらびの湯は、可もなく不可もない、一般的な日帰り温泉でした。
私は、温泉好きで、まだ秘湯ブームが始まる前から、山登りやドライブでかなりの数の温泉に入ってきました。
かつて、山間部に湧く温泉は、自炊で過ごす年老いた湯治客が、薄暗い部屋にごろごろしていたり、前近代的な建物も健在で、まさに秘湯と言うに相応しい温泉も散見されました。
その後、法師温泉や白骨温泉などが牽引役となり、一時は大変な秘湯ブームだったと思います。
最近は、そのブームも一服した感があり、秘湯まで出かける労力を考えると、都会の中に出来た温泉スパなどの方が、リラックスできるせいか、そうした施設が繁盛しているご時世となったようです。
さわらびの湯で、1時間ほど湯に浸かったりしながら時間を使い、飯能行きのバスに乗り、帰途につきました。
【標準タイム】
芦ヶ久保駅~2.00~二子山~0.45~焼山~1.40~武川岳~0.40~天狗岩~0.45~名郷
合計5時間50分
【今回の歩程タイム】
芦ヶ久保駅8:50~1.15~10:05二子山10:15~0.35~10:50焼山11:05~0.57~12:02武川岳12:30~0.35~13:05天狗岩13:15~0.52~(湯の沢の石灰岩採掘場を経由)14:07名郷
合計4時間14分

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今回の山登りは、私の山菜師匠Y氏と、またしても道無き道を行く山登りです。
この時期としては例年より温かい日が続いていましたが、2月22日(日)今年になって3度目の早春の山登りをしました。
今回もY氏と、昭文社の山と高原地図の登山道になっていない尾根筋の道を登ります。
武蔵五日市駅から南郷バス停まで行き、そこから10分ほど林道歩きをして、熊倉沢と矢沢の分岐でいったん橋を渡り、橋のたもとから下りて、3m幅の川を渡ります。
向こう岸の崖から、笹尾根に至る登山道が始まります。
急坂を登るY氏
周りの小枝を頼りに崖に近い急坂を登り、私の登山ペースに馴染む前に、いつもながら道無き道の急坂の試練が続きます。
しばらくは、崖の急坂を登り、その後は痩せ尾根を通過します。
高度を上げていくと、尾根も広くなり、浅間尾根や大岳山も望まれるようになります。
浅間尾根方面を望む雑木林
この時期になると、気温より先行して、日光の強さが春到来を実感させます。
この矢沢・熊倉沢出合から、軍刀利山(ぐんだりやま)西峰に至る北尾根は、長尾尾根と呼ばれているようです。
長尾尾根は、時折岩場混じりで、変化に富んだ面白いルートです。
軍刀利山西峰手前のなだらかな尾根
軍刀利山西峰は、熊倉山から生籐山への笹尾根上の小ピークです。
長尾尾根を登り切ると、明るい笹尾根上に出て、富士山を正面に南面が開けて、明るい登山道となります。
体力のある方は、上川乗バス停から登り、この笹尾根を通り、和田峠を登り返して、陣馬山へ向かい、高尾山までの縦走ルートも、少し長い歩程ですが、私も歩いたことがある面白い行程です。
笹尾根上の小ピーク・軍刀利山西峰
軍刀利山西峰の先にある軍刀利神社
今回予定では、熊倉山南西尾根を下る予定でしたが、大分時間も早かったので、三国峠~醍醐丸と通り、高岩山から再び登山道から外れて、そこから北東に延びる尾根筋を通り、要倉山を経由して、関場バス停まで下るルートに変更しまいた。
醍醐丸は、八王子八峰登山大会の通過点で、笹尾根最後のピークです。
この山の付近からは、植林された針葉樹林帯となり、今回は、その先に連なる道の尾根に挑戦するために、和田峠への登山道を右に見ながら、道をそれて歩きました。
しばらく行くと、林道とぶつかり、3mほどの擁壁を植物につかまりながら、レインジャーのように林道に降り立ちました。
やはり、このルートは、一般登山者用にはまだ整備されていないようです。
この林道を渡った先には、意外としっかりと踏み跡のある尾根筋の道が続いていて、一部藪こきがこの季節でもありましたが、要倉山までのルートは比較的安心して歩くことが出来ます。
笹に被われた道・やはりここも笹尾根の延長か?
薄暗い林の中のカンアオイの花(ピンボケ)
新潟の実家に咲いていたカンアオイの花
要倉山からの下りは、ルートファインディングが多少難しく、私達も関場バス停手前にある民家裏の竹林から、陣馬街道にひょっこりと出ました。
私達が竹林を抜けきると、その前を1時間に1本の定期バスが通過していきました。
関場バス停で、1時間ほどホットコーヒーなどを飲みながら、今日一日で一番寒い時間を過ごすこととなりました。
それでも、生籐山・醍醐丸から陣馬山~高尾山へと何回も通過している山域でしたが、そこを外れて思わぬ新しいルートを歩いて、2人とも満足のワンデーハイキングでした。
ただし、こうしたルートは、登山者がほとんどいませんので、(今回の山登りも、笹尾根の一般ルートを除き、誰とも会うことがありませんでした)単独登山の場合、事故が起きたら、すべてのことを自分一人で処理する覚悟が必要でしょう。
また、ルート変更はよくあることですが、こうした未知の道でかつ単独登山の場合、予め決めた予定を自分以外の人に通知して、途中のルート変更は避けるべきだと思います。
あの日は、植物の蔓につかまりながらの擁壁下り・急坂下りなどレンジャー部隊になったような、または、ジャングルを行くベトコン(なんか発想が古いな!)の如く、早春の道無き道を駆け回った元気な中年二人組でした。
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