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ロースクール留学(していた)日記

米国ロースクールLLM卒業生の日常→アメリカ駐在員の日常

秋学期の成績発表

2014-01-23 13:11:53 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。表題の通りですが、今週になってようやく秋学期の成績が出そろいました。

                            …省略されました。続きを読むにはこちらをクリックしてください。















結論として、良くも悪くもなくという面白くない感じなのですが(どちらかというと個人的にはあと一声って感じ)、まぁ春学期はもっとがんばりまっす!


これだけでは面白くないので、、、誰かの何かの参考になりそうなデータをいくつか…。


1.答案の長さ=2176words

手元に答案があるので、とある科目の答案の単語数(例:an appleなら2単語)をカウントしてみたところ、Word2013君は2176語と表示してくれました。
この試験は3時間のOpen BookのIn-class Examで、大問1の配点が50%、大問2から4は配点が各25%で3問から2つ選択して回答するという形式でした。
問題文は手元にないので、すでに薄れている記憶がベースになるのですが、大問1がレターサイズ(A4より少しだけ小さい)で2.5ページ分、大問2から4が各1ページだったと思います。

したがって、3時間以内に、英文を4から5ページ読んだうえで答案を2,176単語で作成したことになります。
(ちなみに、当然に問題は違うのですが、昨年度のベスト答案は約2400単語のようでした。)


これだけだと何が何だかって感じだと思いますので、とりあえず比較対象としてTOEFLのデータを持ってきたいと思います。
TOEFLのライティングは2つの形式がありますが、それぞれ
・Independent task (2-3行の問題文についてエッセイを作成)
 = 300 words/30分 
・Integrated task (200-300単語の英文を3分で読んで、2分間のリスニングをしてから、エッセイを作成)
 = 150 – 225 words/20分
がTOEFL公式の最低ラインとされているようです。
(もっとも、実際はもっと長めに回答しておかないと大学院留学に必要な点には届かないといわれています)

これを単純に3時間に直してみると、おおむね1800-2000単語数になりますでしょうか。


とすると、ロースクールの期末試験だと、それなりに複雑な英文を読んで答案を構成する時間も含めて3時間で2000文字以上ですので、TOEFLよりはキツイといえそうです。

答案は中身の品質であって量ではないのではないかという話もあると思いますが、結論からすると、中身も量も重要なようです。

なぜか。


それは採点が減点方式ではなくて加点方式だから。


それは評価が絶対評価だけではなく相対評価だから。


例えば、イメージ的には「甲と乙の間で契約を締結する」という問題に遭遇したとして、
・申し込みと承諾とコンシダレーションがあるので契約成立!と回答した人と、
・申し込みと承諾とコンシダレーションがあって、かつ、契約の成立を妨げる事由がないので契約成立!と回答した人がいたならば、検証している論点数が多い後者の方が得点が高くなります。
(ただし、さすがに間違っている論証には点がつかない)

別の試験の教授なんかは「ロースクールの試験は数ページでは”回答”などできるわけがない」といいながら、10ページ近いファクトパターンを与えて、3時間で15ページ以上の回答(しかもClosedBook)を要求する人もいたりしましたので、ロースクールの試験はReadingとWritingが苦手だときついかもしれません。
(※ただし、ロースクールによってはLLMは回答時間が長めに設定されるところもあるそうです。)

もっとも、文学作品のような気の利いた英文である必要はないので、ワンパターンといえばワンパターンかもしれないです。
例:
1.「~という問題(事実)がある」
2.「(~という判例で導出された)~という法がある」
3.「法を本件事実にあてはめる」
4.「したがって、~という結論である」


そして、最終的な成績は各受験者の素点をもとにしつつ、大学によりますが、平均的な評価(あるいは標準レベルの理解度)の人がBくらいになるように調整しているようです。


2.英語のミスは許されるのか?
結論からすると、ミスはないに越したことはないですが、意味さえ伝われば、ミスがあっても得点が付かないということはなさそうです。改めて答案を読み直してみると、文法ミスやTypoが散見されましたが、それだけで0点なんてことにはならないようです。


3.実際、単位を落とす人はいるのか?
非常に気になるトピックです。

結論としては、いないわけではないが、稀であるというのが実際のところのようです。
例えば、とある教授は実際に過去に必修科目で単位をあげなかったことがあるといっていました。

他方、知人で課題を出し忘れていたけど、単位をもらったという人もいましたので、教授の厳しさに依存するようです。


4.実際、評価はぬるいのか?
これまた気になるトピックです。


端的にいえば、教授による、という何の意味もない回答になるのですが、他のLLM生と話してみると、思ったより評価が厳しいという声がちらほら聞こえました(自己弁護的ですね、スイマセン ><;)。


実際のところ、知人から聞いたところ、私も受講していたある科目では次のような分布だったそうです。
A 13.27 %
A- 20.41 %
B+ 29.59 %
B 32.65 %
B- 2.04 %
C+ 1.02 %
C- 1.02 %

この科目はLLM生限定の科目でほとんどの学生がとっていたので、受験者はたしか150人くらいだと思うのですが、とりあえず150人だとして計算してみると、
A 20人
A- 30人
B+ 44人
B 49人
B- 3人
C+ 2人
C- 2人
ってことになります。世界各国のローヤー(又は一流ロースクール卒業生)との競争になるわけですので、自国でAしかとっていない人生を送ってきたような人たちでも上位33%に入れなければ、Bレベルになっていたということかと思います。


以上。







ちなみにこの科目ではA-でした。(^^)v

ソフトウェア

2014-01-21 09:42:01 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
以前オバマケアのシステムが不調というはなしにふれましたが、どこの会社が担当しているかがわかりました。
http://www.gao.gov/assets/660/655291.pdf の別紙1(米政府のサイト)にコントラクター一覧が載ってます。
ちなみに、その中のCGIフェデラルという会社はこんな会社だそうです。
参考:ワシントンポストの記事1
参考:ワシントンポストの記事2

ネットで見つけたミシガン大教授のパワポによれば、多くの大型開発案件(50%超!?)は失敗しているようなので、本件もその一つなのかもしれないですね…。

ちなみにこちらの資料(PDF)でもSW開発(ウォーターフォール型)の失敗率が書いてありました。筆者はアジャイル開発の賛同者のようですので、その辺を割り引く必要はあるのかもしれませんが、なかなかショッキングな数字です。

ーーーーーーーー
ということで、今日はソフトウェア関連の記事です。秋学期に図書館で”Information Technology Law”という書籍を見つけまして、立ち読みしたころ、なかなか面白そうということでアマゾンで購入していました。
基本的には英国法に基づいた書籍ですが、
・ソフトウェアに”完璧”はありうるのか?
・バグと契約違反の関係
・契約交渉中の声明は契約条件となるのか、表明保証となるのか
・契約交渉中の声明とEntireAgreementClausesの関係
・システムやソフトウェアの仕様の位置づけ
・ソフトウェアはモノなのかサービスなのか etc.
といった興味深い項目がずらり。図書館にしろネットにしろ検索を掛けると、SW開発に関しては多くの文献が純粋なIPイシューにフォーカスしたものばかりなので、意外と上記のようなトピックを取り扱った文献等を見つけるのが難しかったです。

まだ読了していませんが、次のような記載から、日本のSI業界で議論しているようなことがやはり海外でも議論になっているんだなという印象です。

・瑕疵あるソフトウェアの契約上または不法行為上の責任を分析する際の最初の問題は、所定の状況下における”アクセプタブル”なソフトウェアのベースラインを設定することである。
・SW業界の専門家は、バグを効果的に取り除くことは、複雑化したSWパッケージ、他のHWやSWとの連携の必要性、バグをすべて取り除くことの非商業性、といった観点から不可能と主張することが多い。
・他方、批評家はすべてのバグを取り除くことは無理かもしれないが、SW会社はもっとバグを減らせるはずで、いまはリスクを買い手側に押し付けることで、SW会社は利益を上げていると主張する。

イギリスでも上級審で判決が出た例は少ないとの前置きがありますが、同書籍はいくつかの判例を紹介したうえで、”バグと契約違反の関係”といったテーマを最初に分析しています。

総論として、UKでもバグの発生=即契約違反となるわけではないということで、やはり何を契約で合意していたか、仕様書で何を書いていたかというところに焦点がおかれるようです。ちなみに、”いわゆる受注開発型の場合はユーザー側の関与が必要で、開発過程ではテスト&ユーザの確認が繰り返されるのが業界常識である”といった趣旨のフレーズもありました。どこも同じですね。

本書は続いて”何が合意事項か”という点の判例分析に移っていきまして、たとえば政府入札案件で営業担当者が”(できないことを)言い過ぎた”(納期とか)事例が紹介されています。(どこも…以下自粛)
この項目では、ベンダーとユーザー側の情報の非対称性についても触れられていまして、やはりプロであるベンダー側の発言については、ユーザー側が信頼してもやむなしといった判断になる傾向が見受けられるようです。ちなみに、基本的には、UKの裁判所は完全合意条項を比較的肯定的に解釈してくれるようです。

祝日

2014-01-19 21:16:25 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
街中をあるいていると、教会の近くの駐車場の看板になにやら張り紙のようなものがついていました。


なんだろうと思い近づいてみると…

なんとも立派な犬もいるもんです。



さて、1月20日(1月の第三月曜日)はマーチンルーサーキングJrディという祝日です。ちなみに、その根拠は合衆国法典タイトル5の6103条になりまして、具体的には次のような条文になっています。

法令検索@コーネル大学
その他、米国祝日の簡単な解説はこちら(在日本米国大使館のサイト)。


アメリカの条文は各休日の名称と日付だけが列挙されている一方で、日本はどうだったかなと思って調べてみると、国民の祝日に関する法律では、それぞれの祝日の趣旨の説明まで付記されていました。

多民族・多文化国家のアメリカのほうが記念日の趣旨の説明が必要になるような気もしましたが、逆にそうだからこそ、無用ないざこざを生みそうな説明はかかないのかも?と思ったりしました。


情報の提供方法について

2014-01-18 09:13:56 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
本日第二弾。

少し前にヤフーがニュース要約アプリを買収したという話がありましたが、こんな記事がでてました。
“Yahoo!、ニュース要約配信サービスなど一連の新サービスを発表”
参考:IT Proの記事
そのほか、最近気づいたんですが、ライブドアニュースでもニュースを“ざっくりいうと”と簡単にまとめてから、詳細リンクに飛ぶような仕組みにしているようです。


以前もご紹介しましたが、伝統的なロースクールの授業スタイルだと、判例の原文がぽーんと与えられるので、それを、目的・用途に応じて、サマライズしたりする能力が必要とされます。要はその情報を精査してまとめる能力です。学生は普段の授業を乗り切るという目的、テストの対策をするという目的で、ひとつ又は複数のアウトラインを作成・入手します。

色々な分類ができますが、参考資料の参照可否という観点だと、ロースクールのテストには次の2パターンがあります。
・Open Book:試験時間中に資料の参照ができる
・Closed Book:試験時間中に資料の参照はできない
そして受講科目がどちらの形式をとるかというのはあらかじめ明らかにされています。

あらかじめ”情報の使い方・使われ方”を意識して、その情報をまとめておかないと効果的ではないなと思いました。特にClosedBookの試験についてですが、自分の記憶だけを頼りに回答することになりますので、まず一番重要なのは”肝”や”骨格”をいかに正確に抑えることで(例えば構成要件)、細かい論点情報はオプション的な位置づけにならざるを得ないです。(ちゃんと利用できない情報なら知らないのと一緒なわけで)

たいていの試験問題は事例問題です。とすると、OpenBookというのはオフィスで作業しているときに近い環境、ClosedBookというのは契約交渉、打ち合わせ中、出張中といった資料の検索・参照が難しい状況に近いのではないかなと思います。

英語、専門用語、不慣れな概念に囲まれる中で勉強していて、英語ネイティブやそのジャンルの専門家と比較して情報の消化吸収にハードルがある立場におかれて思ったのですが、同じようなことは専門職スタッフと現場の間でもあるんだろうなーっていうこと。

自分も専門職というアイデンティティを示すためにも、ついつい詳細情報までどどどっと情報を提供してしまうことがあった気がしますが、ClosedBookで活動する人からしてみると、そんなの覚えきれないしわからないよ!時間がないよ!ということになっていただろうなと反省。




というわけで、上記の試みは面白いなと思った話。社内向けFAQとかに使えるかも。

近況と思うこと

2014-01-18 08:13:40 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。前回の投稿から時間があいてしまいました。寒波で凍り付いたわけではありません!
さきほど書いていた記事が全部消えてしまったので、今回は短めにしたいと思います。

新学期がはじまりました。今週は受講科目決定の猶予期間ということで、一回だけ授業に出てみてから、その科目を受講するか最終的に決められることになっています。私もほぼ予定が固まりました。そのほか、卒業式関連の案内も増えてきています。留学生活もあと数か月と思うと複雑な心境です。


新学期前の特別授業でファイナンスの授業を聞いていました。そのときに経済活動に関していえば、法人にあてはまるような概念はその構成単位である組織や自然人にもそれなりにあてはめられるところがあるんじゃないかなーと思いました。

たとえば、デュポンの式



これを自分に置き換えてみると、たとえばこんな感じでしょうか。(ちょっと違うかも?)


ということは、今回派遣していただいたことにより、自分のEquity部分が著しく大きくなったので、成果を出さないと”割に合わない奴”になってしまいそう。Debt(サービス残業とか?)の増加は採用できないですし、この式が示唆する通り、単純にアドバイス量だけ、あるいは知識だけ増やしても意味がないので、難しいですね。そのほか、DCF法的な発想から考えてみると、自分のNPVも割引率が高まることになるって説明になるとおもいます。

ということで、今学期はBARの関係の対策も本格的に始めないといけないし、秋学期以上に大変そうですが、ひとつづつ着実に・効率的に頑張りたいと思います。知識=本の知識=”BookValue”以上のMarketValueを出せるように。(すいません、BookValueって言いたかっただけです。笑)