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ロースクール留学(していた)日記

米国ロースクールLLM卒業生の日常→アメリカ駐在員の日常

近況

2014-02-21 18:10:40 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。前回の投稿から時間があいてしまいました。
体調不良で数日寝込んでいたのと、その後、ちょいと小旅行に出かけていたので更新ができませんでした。

体調不良については、日本からもってきていた風邪薬がなくなったこともあり、こちらの薬局で適当に薬を見繕って服用して回復しましたが、日本と違って病院に行くという選択肢が安易に取りづらいのは大変なところもあるなと身をもって体験しました。

さて、こんなときに心にしみるのは人のやさしさでして、寝込んでいて授業に出られなかったときに、特に頼んでもいなかったにもかかわらず、「今日、クラスにいなかったよね?」と休んだ回の授業ノートをメールで送ってくれたクラスメートがいました。アメリカに来てから一番感激したかもしれません。。。


そのほかの出来事としては、
・FORM8843提出準備開始(結局、Fビザの学生は全員提出が必要との大学からの指示)
・OPT提出準備開始(卒業後の滞在資格確保)
・卒業写真撮影
・卒業用衣装手配
といったところを通常の学生生活に加えて実施していました。そのほかMPRE、NYBAR、プロボノといった諸要件についても少しずつ準備を始めています。

何かと忙しい春学期ですが、体調に気を付けて、各種準備を進めていきたいと思います。

画像と英語トリビア

2014-02-10 11:51:01 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。

この銅像のタイトルは「Commuter」だそうです。一昔前のアメリカのビジネスマンはローラースケートで通勤していたのかもしれません。

そんな通勤・通学過程でみかけるアメリカの広告には結構面白いものがあります。
最近ウケたのはこちらの駅構内のパネル。非常に地味なのですが、会話の様子を想像してみるとじわじわときます。



続いて、これは英語の教科書だそうです。

三度の飯よりゾンビが好きなアメリカ人らしい作品です。


続いて、こちらの画像をご覧ください。


パトカーに「K-9」と書いてありますが、これが何を意味するかわかりますでしょうか。
※ ヒントは発音です。答えを知りたい方はこちら(英語WIKI)へどうぞ。


続いて、最近になるまで読み方が分からなかったものにアメリカの電話番号表記があります。
たとえば、よくCMを流しているこちらの配管会社の電話番号は、(800) 948-MIKEですが、「MIKE」ってなんやねんと思っていました。
ご参考:右上に電話番号が書いてあります。

調べてみたところ、どうやら次のような仕組みらしいです。
2:A B C
3:D E F
4:G H I
5:J K L
6:M N O
7:P Q R S
8:T U V
9:W X Y Z

これで先ほどのMIKEを調べてみると、確かに6453になりました。
日本の携帯入力の感覚からすると、MIKEは64445533になりそうなものですが、こちらではそうはならないようですね。


最後はリーガルネタ。契約法の勉強をしていると”Blackacre”だとか"Widget"なんて言葉が出てきます。
最初は何を意味するのかよくわからなかったのですが、これは架空の存在を取り扱う場合の業界用語みたいなもので、前者は土地を、後者は動産を示しているようです。
参考:Blackacre

参考:Widget

具体的に「XXXXという土地」だとか「パソコン」だとか言ってもいいのですが、そのものの特性や性質自体が論点ではない場合などは、お約束的にこれらの用語を使うようです。

何事にも先達はあらまほしきことなり。

2014-02-07 15:20:45 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連

さて、卒業が近くなってきましたので、再び事務手続きの話が増えてきています。まずは卒業後の滞在資格変更に向けての手続きや所得税免除(アメリカ)があるようです。
後者については「留学生は収入がアメリカにないから不要では?」というアドバイスももらったことがあるのですが、留学前に購入していた『アメリカ留学公式ガイドブック(アメリカ大使館推薦)』にも、
>留学生(F-1、J-1、M-1の学生)は収入の有無にかかわらず全員が納税免除申請用紙Form8843をXX月XX日(XXXX年)までに提出しなければなりません。
なんて記載がありましたので、存在は意識していました。そしてどうやら一部の友人には彼/彼女の派遣元から必要情報等が送られてきている様子。うーん。

世界中で古くから活躍しているグローバル企業では各国に派遣する従業員の現地手続(税務とか)のような情報も豊富なようで、我々も学ぶべきところがあるなぁと改めて痛感。考えてみれば「ペーパーワークに時間を取らせるよりも営業は顧客のところへ行かせた方がいい」という思想と一緒ですよね。こういう地味なイシューこそ各社の経験の差が出るのかもなと感じました。

ところで、納税免除については、ネットでもソースによって言っていることが異なるので、自分で調べたほうが早い!と思い、ざっと調べてみました。(なお、例によって本内容の正確性は保証しません)

調査の取っ掛かりとなるのは"Form8843"というキーワード。

するとこんなサイトを見つけることができました。
Form 8843, Statement for Exempt Individuals and Individuals With a Medical Condition

こちらを見てみると、あなたが外国人ならこのフォームをSubstantial Presense Testに関して米国内の滞在日数を除外するために提出してね、と書いてありました。

これだけだと意味不明ですんで次は"Substantial Presense Test"で調査をしてみます。
すると次のような説明が。

Substantial Presence Test - Excluding Days of Presence - Form 8843

ここでも同じように
”If you exclude days of presence in the United States because you fall into any of the following categories”
という記載とともに
”3.You were temporarily in the United States as a student on an "F, " "J, " "M, " or "Q " visa.”
という記載がありました。

私はFビザですので、Form8843を提出することになりそうです。

しかし、ここで疑問が。

"exclude days of presense in the United States"しないといけないんでしたっけ。

ということで、調査を続行すると、次のページも見つかりました。

Publication 519, U.S. Tax Guide for Aliens

Foreign Students and Scholars

Taxation of Nonresident Aliens

Topic 851 - Resident and Nonresident Aliens

とりあえず、簡単にまとめると、大きくは次のような論理構造のようです。

1.外国人か否か(≒米国籍の有無)
2.定住外国人か否か(以下のテストに該当しない限りは非定住外国人)
 ・判定基準1:グリーンカードテスト(≒永住権の有無)
 ・判定基準2:サブスタンシャルプレゼンステスト(≒183日基準)
        ※日数計算から除外される身分:学生とか
        ※Form8843で日数計算から除外

⇒ここまでの判定フローで大抵の学生は"Nonresident Aliens"のステータスにあてはまる

3.収入が米国内かどうか
⇒殆どの学生は米国内収入がない(Fビザは原則としてバイトもできない)ので、Tax Returnのフォームを出す必要がない




・・・さて困りました。自分の場合、いちいちForm8843を出して除外を申請するすまでもなくそもそも183日以下なのですが、はたして提出が必要なのでしょうか。もう少しマニュアルを読み込む必要がありそうです。。。

法務部の話ー2

2014-01-30 13:30:40 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。こんなブログですが総計1万アクセスを突破しました。ありがとうございます。


さて、私が今学期に取っている科目に法曹倫理があります。これはMPRE(法曹倫理試験)に役立ちそうだからという理由もありますが、これをとっておかないとNY州司法試験自体が受けられないからということでもあります。

具体的に何をやっているかというと、
・モデルルールとその注釈の読み込み (※あくまでもモデルなので各州は異なる内容を採用している可能性もある)
※参考:モデルルール
・過去の判例の読み込み
(要は弁護士がやらかしちゃった事例集。新人弁護士が仕事を抱え込んだまま時間が経過し、クライアントの権利が時効消滅しちゃった事例とか。)
がメインになります。

このルールの中にこんなものがありました。(Rule 1.2:場合によっては仕事のスコープを絞ってよい)

>A lawyer may limit the scope of the representation if the limitation is reasonable under the circumstances and the client gives informed consent.

この点につき、例えば、(Rule1.1:しっかり仕事をしなければならない)

>A lawyer shall provide competent representation to a client. Competent representation requires the legal knowledge, skill, thoroughness and preparation reasonably necessary for the representation.

との関係が議論になることもあるようです。

例として紹介されていたのは、アメリカはとっても離婚が多いので、依頼者全員にフル装備のサービスを行うなんてのは非現実的・不適切という状況です。
(例えば、仕事が回らなくなって、結果的にサービスを受けられない人が出てきてしまう。)


ということで、この方向で調べものをしてみたら、次のような記事が見つかりました。

@法務部の生産性向上について
記事1
記事2

先日の記事と似たようなところが多いからか、目新しい発想はないのですが興味深かったのは次の点です。

・法務部の生産性は法務部の問題だけではない、クライアント側にも問題点(法務への情報提供の効率性)がある。
・とある企業では法務のサービス品質を階層別にした(依頼元の期待内容を考慮して、案件の種別、部署、地域等で異なるレベルをセット。)
・現場対応力向上のためにマニュアルや教育を増やす?
・トリアージを導入してみる?
・オフィスアワーを導入してみる?
そのほか、こちらの記事では”時差を利用しよう”なんてのも書いてありました。


とりわけ面白い表現だなと思ったのが、”アウトプットではなくスループット”を増やすというくだりです。
要は(結果的に)無駄にならない仕事をしましょうってことのようでして、ある企業では、契約類型別に実際に紛争になった率を補足して、あまり問題にならなそうな案件はさらーっと流すという方針を採用したようです。
この点につき、Top Terms in Negotiationsについて(PDF・英語)なんかも参考になりそうです。


ところで、今期はそのほかに契約法の授業をとっているのですが、いわゆる”法と経済学”に影響を受けている教授のようでして、”契約を破る自由”とでも言うんでしょうか、合理的経済人モデルをベースにして、いつ人は契約を破るのかという分析についての記載が教科書にありました。
(そのほか「契約によって得られる利益-契約に必要なコスト>0」のときに人は契約を締結するという説明とか)

簡単にいうと、契約を破った方が得なときに人は契約を破るというだけの話なんですが、このあたりの発想も何かに使えないかなーと思いました。(合理的経済人モデル自体が時代遅れかもしれませんし、意識せずとも使っている発想かもしれませんが)

例として、現場に「顧客はこの契約を破った方が得をするか?」と聞いてみるのはどうかなーと空想してみましたが、もしYESといわれるようだと、自社に一方的な契約を作らない方がいいという結論(契約を破られるから)になるし、NOといわれるようだと逆に自社が契約を破った方がいいんじゃないかって議論になるのかもしれないですね。

ロースクール生活で別に必要なかったもの&アウトラインについて

2014-01-28 08:28:59 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。

日本人LLM生にアンケートを取ったら意見が割れるところだとは思いますが、個人的にはわざわざ日本語の解説書や辞書を用意する必要性はまったくなかったなと思いました。

主なものを挙げると
『アメリカ法判例百選』 有斐閣
『アメリカ憲法』 樋口先生
『アメリカ契約法』 樋口先生
のほか、英米法辞典も三種類もっていますが、ほぼまったく使っていません。

なぜか?

・授業内容と書籍の内容が一致しない可能性が高い
・日本語書籍は内容が古い可能性がある

といった理由も多少ありますが、一番大きいのは、

・日本語で記憶しておくメリットがほとんどない

ことだと思います。

結局、ロースクールの授業や試験はすべて英語で実施されるわけなので、わざわざ日本語の書籍を読むくらいだったら、正々堂々英語の指定教科書を読んだほうが効率的だと思います。日本語で理解した内容を英語でアウトプットするよりは、英語で覚えたほうが、それをそのままアウトプットするほうが何倍も楽だと思います。


ところで、テストに対してどのように対策をするかというのは人によって異なりますが、大学からも作成をおすすめされており、ほぼ全員が何らかの形(自分で作る、人からもらう、市販で済ます)で用意しているのがアウトラインです。アウトラインは簡単にいうと今までの授業のサマリーメモです。

ロースクールの試験はごくまれに多肢選択式や数行の論述問題も出題されますが、ほとんどが架空の状況設定に対して意見を述べる論文試験です。なお、”XXXXという判例について分析せよ・説明せよ”といった問題は聞いたことがありません。

アウトラインの作成の仕方は問われるテスト形式と個々人の好みに依存しますが、たとえば、こんなパターンがあります。
<サンプル1:事件別のアウトライン>



このアウトラインの抜粋は学内で出回っていたものでして、個々の判例ごとに要旨をまとめたタイプのものです。

個々の判例がなんだったっけ?と思い出す観点では非常に優れていると思いましたが、テストの論述に使うという観点では、個人的にはやや使いづらいなと思いました。
たとえば、”取締役の善管注意義務”が問われているテスト問題があったとしたら、このアウトラインだと事件ごとに内容がまとまっているがために、いざ回答する段階で”取締役の善管注意義務”に関連する事件の判例を行ったり来たりすることになってしまいます。
また、個々の案件で特徴的であった判決の要旨しか書いていませんので、たとえば「取締役の善管注意義務違反を問うにはA,B,Cという要件がある」といったタイプのルールの宣言がやりにくいと思います。

そういった観点で、個人的に用意したアウトラインは次のパターンです。また、アウトラインにごちゃごちゃとなんでも書くとテスト時に参照が難しくなりますので、必要に応じて教科書や判例集の該当ページをメモっておいてあります。

業務用にもこういうのがあればいいなとおもったり。

<サンプル2-1:論点別のアウトライン>

<サンプル2-2:論点別のアウトライン>

<サンプル2-3:論点別のアウトライン>