ゴールドシップ、天皇賞春で敗れた後にこんなことを書きました。
「今年は国内専念だそうですから、秋は東京で1分58秒台の2000mと2分23秒前後の2400mが待っています。共同通信杯では、スタートから押して押して押しまくって好位に取り付くレースぶりを見せてくれたのですが。陣営の策や如何に。」
結局のところ、皐月賞や菊花賞の制覇によって、内田騎手も陣営も馬自身も過信というか驕りのようなものがあったのではないでしょうか。大胆不敵なレースでも勝てるんだと。ファンをハラハラさせるのもエンターテイメントだし、魅せながらも勝てばスター性が高まるでしょ?実際勝ってるし、みたいな。陣営の中では暗黙の了解のようなものだったでしょうが。しかし魅了されたファンの間では、この危うい脚質が故の期待感が大きく増幅されていきます。それが天皇賞春の単勝1.3倍の支持でした。
天皇賞春の敗退は、ゴールドシップが絶対王者ではなかったことを陣営に知らしめました。
内田騎手の栗東滞在は、ゴールドシップのイメージを陣営と再確認し共有するために必要だったのでしょう。その答えは、華やか(大胆不敵)なレースぶりはいらない。勝とうと。勝つためには、ショースケーターからもう一度競技スケーターに戻す必要がある。その最重要課題は、肉体面よりもゴールドシップのレースへの取り組み方をどう改善するかという、気持ちの問題だったように思います。
何しろ約1年間、大マクリ戦法を7戦繰り返して、レースとはそういうものだと身に染み付いています。
「(ゴールドシップは)我の強さの塊ですね」 内田騎手 競馬ラボ レース前インタビューより
そんなオレ様ゴールドシップを
「そうですね。別に先着するつもりはなかったんです。併走でゴールに走れればいいなと思っていたんですけれど、馬のほうが行きたい気持ちになって、ゴールをわかっているのか、半馬身くらいグッと自分で出ていったので、それを無理やり引っ張る必要もないので、最後は馬の気持ちを感じとりながらの追い切りでした。僕自身は凄く馬が前向きになっているなという感触はありました」 内田騎手 最終追い切り後インタビューより
その気にさせた陣営の手腕は見事なものだったと思います。
そして、レース前には
「前に行きたければ前に行ってもらっても全然構わないと思いますし、中団に行きたければ中団に行ってもらっても構わない。まあ、後ろになってしまえば後ろになっても、それも仕方が無いと思います」
などと煙幕を張っていましたが、
「スタートは速くなくても押していけば前につけられる自信があった。折り合いはいくらでもつくし、道中は全く問題なかったよ。力でねじ伏せてくれたね」 内田騎手 勝利インタビューより
「ここは真価を問われるレース。こういう競馬ができると確信していたし、証明できたね。内田君がゴールドシップの気持ちをうまく引き出してくれた」 須貝調教師 勝利インタビューより
レース後のコメントを読むと、陣営は前に行くことを決めていましたね。
「(同じ)ステイゴールド産駒やけど、とにかくフェノーメノを負かしたいという気持ちはすごいですね。あの馬だけには負けたくないという。2回負けてるから、今回は勝ちたいというね」 今浪厩務員 競馬ラボ レース前インタビューより
そんな想いに見事に応えたゴールドシップ。人と人、人と馬すべてが一体となった素晴らしい勝利でした。
さて、宝塚記念の余韻にもう少し浸りたいところですが、拙ブログは独自路線を進みます。
もうひとつの本題です。
先週、東京ダート最終週の攻略の糸口をUPしました。雨上がりのダート戦はアウト有利だと。
土曜朝未明まで降り続いた雨は1Rが始まる頃にはすっかり止み、乾き始めながらの中でスタートしました。土曜は全日重馬場、日曜は全日稍重の馬場で行われたダート戦。全13レースで馬券に絡んだ馬39頭のの馬番別分布グラフからご覧下さい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/b5/a9fdf395533beadcd9e66b0af40021c2.jpg)
人気は5番人気以内、穴馬は6番人気以下。
全レース結果を時系列に並べて表示。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/98/9541011bcbe7bb4a29380a97011f7ad0.jpg)
特に本格的に乾き始めた日曜の結果に注目すると、7レース(21頭)中1桁馬番から馬券に絡んだのは3頭のみ。いずれも人気馬です。穴馬は6頭全てが10番から14番から出現しています。
この10~14番がどういう馬場状態だったのかというと、日曜3Rダート2100m戦のレース画像をUPしましたのでご覧下さい。
スタート地点 ホームストレッチのちょうど真中付近
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/fb/f386a13eaffcf5d95984218b967e6a25.jpg)
フルゲート16頭立ては9番と10番が黄帽です。真ん中青帽の7番がポンと出脚よくゲートを飛び出しています。その外側でほぼ並んでスタートを切った黄帽2頭が9番と10番。それら3頭の脚元のダートの湿り具合をよく注視して下さい。7番は完全に完全に乾き始めているルートを走っています。9番はどちらとも言えるグレールート。10番から外と内では、脚抜きのよさがまるで変わってくるであろうことは容易に想像出来ます。
1コーナー
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/ac/b1bc6a7199d614291047ff66e3704802.jpg)
4コーナー
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/f8/16e5ebacc92045348e48223ef5cc483f.jpg)
3枚の画像から、バックストレッチもほぼ同じような状態であろうと想像出来ます。従って、向正面スタートの1300m、1400m、1600mでも同様に10番枠くらいから外の発走がスタミナをロスせずにスピードに乗ることが出来る有利な状況だったといえるでしょう。
これを知っているか、知らないか、こうなるのではないかと推測しながら馬券を組み立てられる者と立てられない者、その差は歴然でしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/51/2b423747f74e8b333c64dc192535f2ee.jpg)
この結果をインの砂が深かったとからいう一言で片付けるのは、非常に情けないことだと思います。
東京ダート1600m 馬場差の正体 完結編