空中ブランコにデンジャラスビューティーにタイガー&ドラゴン。
めったにないことだが、夕べの九時以降には、見たい番組が三つも重なってしまっていた。
仕方がないので、ナイターで延長時刻が不確かな空中ブランコ以外は一階と二階のビデオにそれぞれ録画すると言う手段をとることにした。
そして夕べ見た空中ブランコという二時間ドラマなのだが、いやぁ、これが実に、面白かったのである。
直木賞受賞作品、という肩書きにはあまり期待はしていなかったのだが、これがいいドラマに仕上がっていた。
超坊ちゃんで変人の精神科医と、その患者たちの繰り広げる、不思議におかしく、そして前向きな気持ちにしてくれるいいドラマだった。
まず登場人物のキャスティングがよかった。モデル時代の「好青年」のイメージを捨てきって、独特のアクをもつ、いい役者に成長した、主人公の変人精神科医を演じる阿部寛もよかったし、無口でいつもぶすったれている、でも超セクシーな看護士の釈も、ストーカー強迫観念の売れないモデル役の佐藤も先端恐怖症のヤクザの遠藤も、みんなよかった。
そしてそれらの役者のはじけ切った演技をさりげなく、そしてきっちりまとめていたのが不眠症で悩む空中ブランコ乗りの役を演じた堺だった。
はじめは、あの新選組! の山南さんを演じたあの人が? と言うイメージだったのだが、空中ブランコの失敗を他人のせいばかりにし、いらいらカリカリしたいや~な青年が、たまたまかかわりを持ってしまった破天荒な担当医の言動に振り回されるうち、自分の中にあった不眠や空中ブランコ失敗の原因に気付き、変わって行く姿を見終えたとき、ああ、やっぱりこの役はこの人でよかったのだな、と、実感した。
さじ加減を間違えたら収拾付かない変人オンパレードの話になってしまうところをぐっ、と、引き締めた“要”の役が、彼だったように思う。
それにしても、面白かったな。あの「先生自身も境界線上のヒト?」と思いたくなるような精神科医の活躍する話の続きも見たい気がするが、いい原作って言うものは、そうたやすくかけるものじゃないからなぁ。
ときに、このお話には恐怖症や依存症の患者さんが出てきたけど、体調も気分も優れず、いつもふさいだ気持ちで、就寝はしても真夜中に突然脳のスイッチが入ったようにカッ、と目が覚め、その後明け方までずっと自分の自殺の方法とかを考えているって人がいたら、それは間違いなく“うつ”なので、早めにお医者様に行こうね。
うつは特別な人のなる病じゃない。体力が落ちたときに風邪にかかるのと全く同じこと。
でも、体力の落ちた人は風邪が元で肺炎を起こして死に至ることもある。うつもそれと同じで心の力が落ちている人にとっては危険な病気になる。それだけのこと。
うつは治療できる病だから。苦しんで死を選ぶ人生より、たとえ思い通りにならない人生でも、朗らかに、お迎えが来るまで生きていく方が絶対にいいから。ね。
めったにないことだが、夕べの九時以降には、見たい番組が三つも重なってしまっていた。
仕方がないので、ナイターで延長時刻が不確かな空中ブランコ以外は一階と二階のビデオにそれぞれ録画すると言う手段をとることにした。
そして夕べ見た空中ブランコという二時間ドラマなのだが、いやぁ、これが実に、面白かったのである。
直木賞受賞作品、という肩書きにはあまり期待はしていなかったのだが、これがいいドラマに仕上がっていた。
超坊ちゃんで変人の精神科医と、その患者たちの繰り広げる、不思議におかしく、そして前向きな気持ちにしてくれるいいドラマだった。
まず登場人物のキャスティングがよかった。モデル時代の「好青年」のイメージを捨てきって、独特のアクをもつ、いい役者に成長した、主人公の変人精神科医を演じる阿部寛もよかったし、無口でいつもぶすったれている、でも超セクシーな看護士の釈も、ストーカー強迫観念の売れないモデル役の佐藤も先端恐怖症のヤクザの遠藤も、みんなよかった。
そしてそれらの役者のはじけ切った演技をさりげなく、そしてきっちりまとめていたのが不眠症で悩む空中ブランコ乗りの役を演じた堺だった。
はじめは、あの新選組! の山南さんを演じたあの人が? と言うイメージだったのだが、空中ブランコの失敗を他人のせいばかりにし、いらいらカリカリしたいや~な青年が、たまたまかかわりを持ってしまった破天荒な担当医の言動に振り回されるうち、自分の中にあった不眠や空中ブランコ失敗の原因に気付き、変わって行く姿を見終えたとき、ああ、やっぱりこの役はこの人でよかったのだな、と、実感した。
さじ加減を間違えたら収拾付かない変人オンパレードの話になってしまうところをぐっ、と、引き締めた“要”の役が、彼だったように思う。
それにしても、面白かったな。あの「先生自身も境界線上のヒト?」と思いたくなるような精神科医の活躍する話の続きも見たい気がするが、いい原作って言うものは、そうたやすくかけるものじゃないからなぁ。
ときに、このお話には恐怖症や依存症の患者さんが出てきたけど、体調も気分も優れず、いつもふさいだ気持ちで、就寝はしても真夜中に突然脳のスイッチが入ったようにカッ、と目が覚め、その後明け方までずっと自分の自殺の方法とかを考えているって人がいたら、それは間違いなく“うつ”なので、早めにお医者様に行こうね。
うつは特別な人のなる病じゃない。体力が落ちたときに風邪にかかるのと全く同じこと。
でも、体力の落ちた人は風邪が元で肺炎を起こして死に至ることもある。うつもそれと同じで心の力が落ちている人にとっては危険な病気になる。それだけのこと。
うつは治療できる病だから。苦しんで死を選ぶ人生より、たとえ思い通りにならない人生でも、朗らかに、お迎えが来るまで生きていく方が絶対にいいから。ね。