八月まるまる何も書いてなかった。
八月はものすごく目まぐるしい日々だった。
六月からずっと暇だけはあったので、近所の神社に行っては、良い仕事場が見つかりますように、と呪文のように唱える日々。
八月になってもまだ無職で、新しいバイト先も見つからず、貯金も底をつきそうな状況だったのに、いきなり正社員採用された。
アルバイトの面接を受けに行った先、その会社の別部門で正社員にならないか、と誘われたのだ。
嘘みたいな話だが、嘘ではない。
自分の経歴を見て、こいつならできるのでは? と思われたようなのだ。
その会社も事情があって、八月末に辞める社員の次の人を引継ぎしていたらしいのだが、その引継ぎを受けていた人があまりにもその仕事に向いていない人だったようで、どうやら解雇されたらしい。
それと全く同時期に私が別口のアルバイトに応募してきたので、こいつをとりあえず後釜に、となったようだ。
しかし、その仕事を引き継ぐ時間的猶予はほんの10日ほど。
こっちの負担は半端ない。
今までやって来た仕事と全く違う仕事で、事務系の、それもちょっと特殊な事務系の仕事なので死ぬほど判らん。
それでも必死でやって、まだひと月たたない。
マジ無理、と思った事も一度や二度ではない。
この先どうなるかもわからないが、とりあえず正社員。
この歳で正社員は本当に奇跡としか言いようがない。
各種保険関係も付き、給料も今までの倍以上になる。
猫たちに少しは贅沢させてやれる身分になれる。
奇跡のような事も、神仏にお願いしていたら時々起きる、という話。