九州場所、終わってみたら阿炎の優勝。
もう、今回しかチャンスないかもな、と思っていた高安は負けていたし。
夜、仕事から帰ってビックリでしたわ。
錣山親方が不整脈で入院中ということは知らなかったが、そのこともあり、奮闘したのかもな。
阿炎のことは本当に嫌いだった。
取り口も飛んだり跳ねたり、勝ちゃいいんだろ的取り組みも当たり前、いろいろ素行も悪く問題行動ばかり起こして、しかもそのことを叱責されても一向に改めず、親方も「やんちゃ」という甘やかしたことを言っていたので、結局コロナ禍の時期の重大なコンプライアンス違反で出場停止にされて。
前の阿炎は本当に大嫌いだった。
親方もなんであんなにあの力士を甘やかすのか、そこも腹が立った。
クソがつくほど素行の悪かった悪たれの阿炎だが、自身の起こした問題で自分を一番親身に擁護してくれていた親方に大変な迷惑をかけ、大事な家族にも寂しい思いをさせることになった。
結婚したてながら部屋に住み込みとなり、家族とも「面会」的にしか会えない状況になり。
でもそれは自分自身が起こした言動の結果。誰のせいでもない。
妻やかわいい盛りの子供とも会えず、尊敬する親方や仲間の部屋の力士、支えてくれる人たちに様々な迷惑をかけ、それでもそこで励ましてもらい、信じてもらえて、ようやく自身のやってきたこと、態度を深く考え反省することができたのだと思う。
再出場が許されてからは、前とは全く違う取組みを見せるようになった阿炎。
取り組みもちゃらけた相撲は無くなり、相撲に対する意識も、少なくともインタビューなどではビッグマウスを叩いたりすることもなくなり、淡々と真面目に受け答えをしていた。
怪我の手術で休場したのちも、一番一番大事に相撲に向き合っている姿は、昔の姿からは想像もできないものだった。
勝っても負けても、その取り組みに集中して当たる、力士にとって、それが一番基本であり、かつ大切なこと。
横綱は「勝つこと」を要求されるが、そこに行きつくまでの力士たちにとっては、勝っても負けても客が夢中で応援したくなる相撲を取る、それが一番大事なことだから。
そのことを出場停止の間に考え、気が付き、実践しだしたのであれば、下位からの再出発は無駄じゃなかった。
阿炎には、このまま相撲に対する真摯な考え方を持ち続け、できれば引いたり飛んだりの客をしらけさせる取り組みを極力なくして、相撲道を邁進していってもらいたいものである。
立派な体躯に恵まれているのだから。
ちなみに今日は照ノ富士のお誕生日らしい。
来年は場所に参加し、どんどん強くなってきている若手たちとの白熱した取り組みを見せてほしい。
来年一月、また力士のみんなに会えますように。