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旧林家住宅

2016-08-09 22:35:37 | 重要文化財
今回も前回からの‘長野、国宝&重要文化財指定○○巡り’ツアーの2日目の続きで、サンリツ服部美術館を出て向かった先は、岡谷市にあります旧林家住宅です。
この後、この旧林家住宅について色々と書く前に書いておきますが、今回の‘長野、国宝&重要文化財指定○○巡り’ツアーは、終わってみれば完全に、この旧林家住宅がメインとなりました。
それほどまでに、見るべきものが多数あった住宅で、見学している最中、説明員の方がずっとついて下さって説明して下さったのもあり、結局、2時間みっちり見学させて頂いたんですが、住宅に入る前と入った後の印象が、これほどまでに食い違った建造物も久しぶりでした。
主屋や離れ、洋館等、5棟が重要文化財に指定されていまして、明治期に製糸業を始め、その他にも多様な業種に携わった実業家である林国蔵という方の旧住宅なんですが、この林家住宅で最も価値が高いと言われているのが、離れの2階にある座敷なんですが、この座敷の天井、壁、襖に張り巡らされている金唐革紙は圧巻の一言で、明治期に国が中心となって製造、輸出され万国博覧会等でも好評となったため、欧米の建築物にも使用されているほどなんですが、現存しているのは、国内でも数ヶ所の建造物に使用されているのみで、ほんの30年ほど前まで製作技術も完全に途絶えていたそうなので、大変貴重な文化財となっています。
私は昨年の9/17付けのブログ‘舞子公園’で紹介した兵庫県神戸市垂水区にあり重要文化財に指定されています移情閣で、金唐革紙を見た事はあって(ただし復元品です)、その時も凄いと思ったんですが、旧林家住宅にある離れの座敷に張り巡らされている金唐革紙は当時のもので、年数が経っているため金色が退色して黒くなっているとは言え、座敷と言ういかにも日本的な部屋が、金唐革紙と言う洋風的なものに埋め尽くされているのは驚きで、説明を受けながら部屋の装飾に圧倒されっぱなしでした。
ただ、この旧林家住宅はそれだけではなくて、主屋にあります座敷の欄間や床の間の狆潜り(‘ちんくぐり’と読みます・・・詳しくはインターネット等でお調べ下さい)、豪華な仏壇に施されている彫刻の緻密さは目を見張るものがありましたし、襖についています引き手は、各部屋ごとに全て異なり、見るものを楽しませてくれます。
また廊下のガラス戸は、いかにも建築当初の板ガラスとわかる表面が波打っている板ガラスが使われ、障子戸には、当時としては非常に珍しく高価だったであろう、絵入りの砂摺りガラスが入れられていたり、部屋の電灯の配線部分にはふさがあったり、電灯のかさにも摺りガラスが使われたりと、和風の部屋にしてもモダンな感じになっていますし、台所には、これも当時としては珍しかったであろう電気配線がされており、壁にブレーカーのようなものがあったので、説明員の方に聞いたところ、それはブレーカーではなくて、各部屋にベルのようなものがついていて、そのブレーカーのようなボックスについている各ボタンを押すと、各部屋のベルが鳴りその部屋にいる人を呼ぶ事が出来るという今で言う呼び出しベルのようなものがついていて、このような物はこれまで訪れた住宅でも見た事がなかったですね。
さらに、この住宅には和風な離れと隣り合わせで続いている洋館があり、この洋館の玄関部分や玄関ホール、応接室のカーテンレールや天井中心部分(シャンデリアが垂れ下がる場所ですね)の装飾も見事で、洋館部分の天井にも上記で紹介した金唐革紙が使われ、なおかつ洋館の応接室に置いてある家具等も創建当時のものが残っており、飾棚等は細工が非常に丁寧で、保存状態も抜群でした。
しかも、この洋館部分は玄関ホールから扉を隔てて、応接室に繋がるんですが、もう1つ別の扉がありまして、その扉を開けると、洋風の玄関ホールから打って変わって和風の茶室に繋がり、またその茶室が主屋の座敷等同様、床の間や天井等に、ふんだんに上質の木材が使われ、非常に粋な空間となっていて、説明員の方の話によると、この住宅に使われている木材見たさに訪れる建築関係の方もいらっしゃるそうです。
本ブログを読んでおられる方で、これから諏訪近辺に行かれる方がいらっしゃれば、建築等に興味がない方でも、この住宅は見る価値十二分にあると思いますね。

さて、旧林家住宅を後ろ髪をひかれる感じで出た後は、岡谷市から再び諏訪市に戻ったんですが、どこに向かったかは明日以降のブログにて紹介したいと思います。