以前NFの発振器の歪を測ったとき、広帯域であるにも関らず大変歪の低いことを知った。広帯域型は振幅の平坦性や安定性が問題で殊更低歪である必要は無い。
だからこの発振器も低歪ではなかろうと予測していた。しかしその予想は間違っていた。
写真ではNFの広帯域発振器E1205型の20Hzを測っている。通常このような低い周波数だと、三万円クラスでは軽く1%を越える。サーミスタを使うのでそうなる。ところがこの発振器では二次歪が基本波に対しマイナス80dBのラインで漸くときどき顔を出す。三次歪はそれより更に低い。スペアナで歪を測る場合は二次と三次だけを見ればだいたいよく、四次や五次は相当低いので無視出来る場合が多い。二次~五次までを個別に測れるタイプの高性能歪率計をお持ちの方はお分かりと思う。
市販の発振器では歪が0.001%(マイナス100dB、10ppm)より低いものが有る。スペアナのダイナミックレンジは通常80~90dBくらいなので、歪が0.01%(マイナス80dB)以下だと回路が飽和するので一応は測れない。しかし、ここで歪率計を基本波のフィルターとして使う。歪率計は80dB程度の基本波除去が出来るので、スペアナには基本波を抜いた波形をいれればスペアナは残留波形だけを観測すれば良いので、更に低い歪を測れることになる。
勿論歪率計も歪を発生するのでそれが気になる。この場合は能動素子を使わないパッシブフィルターを入れる。この場合RやCの歪も考慮せねばならないので、それなりの配慮が必要になるが、10ppmの歪は測れる。それより低いものも勿論可能だ。
市販の歪率計は歪を測るのに最低これくらいは、というのが有って入力電圧が少なくとも100mVくらいはないといけない。しかし、スペアナはそれより更に一桁くらい少なくても良いがこれは強みである。
尚、管面に人の顔らしきものが見えるがこれは 幽霊 ではなく、私の顔が映っただけのことなので、奇怪な想像をされないほうが良いと思う。
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