酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『人情紙風船』 (1937・日)

2009年11月12日 17時00分13秒 | 名作・映画作家探訪
山中貞雄のつづきです。

当時15歳の原節子演じるお浪の貞操を守るべく2人のやくざな男が命を賭す傑作
『河内山宗俊』(1936)を堪能した翌日のきのう放送していました。

山中が日活京都からPCL(のちの東宝)に移籍して撮った最初で最後の作品。

当時PCLで助監督だった同学年の黒澤明にとっても山中は憧れの人だったようです。
なにかモゴモゴと独り言をいうように演出して変わった印象の人だったと
山田洋次が黒澤から伝え聞いた話を番組の冒頭披露していました。

その山田はといえば自身が時代劇を撮るにあたって参考にできたのはこの山中作品よりほかになかったと告白しています。

江戸のまち、流れる雲をとらえた三村明のキャメラの映像
それだけで映画をみる喜びにこころ震える作品というのもそうあるものではありません。

「人情紙風船ガ山中貞雄ノ遺作デハ チト サビシイ・・・。」
山中は自らの従軍記のしまいにこう書きしるしたそうですが

28歳の青年が遺したとはにわかに信じられないペシミズムと諦観に覆われた熟成した名品です。

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