酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『銀色の雨』(2009・日)

2010年02月16日 16時51分45秒 | 劇場鑑賞作品
先週末みてきました。

人生の影を引きずっていきる三人の男女が出会いやがて心かよわせるドラマ。
浅田次郎の同名短編が原作です。
鳥取県や地元の教育委員会から後援をえて米子市や境港市など鳥取県内でロケした地方色の濃い作品でもあります。

もと札付きの悪(ワル)ながらある人との出会いによって更正したプロボクサーの章次(中村獅童)。
一時の日本チャンピオンも世界への夢をはたせないまま時が過ぎいまはジムから引退勧告される身の上です。
老親を案ずる手紙をうけとったことから故郷鳥取を飛び出し上京してからはじめて帰郷の途につきます。
一方、鳥取県内の高校2年生で陸上部員の和也(加来賢人)。
三歳で父を亡くし周囲にいまひとつ心開かない彼は住み込みのバイト先の新聞配達所でささいな諍いをおこし夜中に衝動的に家を出ます。

別々の事情で米子駅に降りたった章次と和也。
二人はそこで和也の知人でもあるスナック勤めの女性、菊枝(前田亜紀)と出会います。
猫とくらす“キャンディ”のように飾りつけられた菊枝の部屋にあがりこむことになる章次と和也。
やがて因縁の事実が明らかにされます。

いったんわかれたはずの主人公たちが何度となく同じカメラにおさまる演出に
鈴井貴之というこの監督の律儀さを感じますし
章次と和也の関係が語られていく話法ひとつとっても
昔のテレビドラマをみているような既視感をおぼえますが
不思議と嫌いではないです。

でている役者も大仰なところがなくて
肩肘はらず素直にほっとできる
地方色と手作り感がまじりあった静かな小品です。

☆☆☆