ひからびろ 3.0

密かに輝くラクダとビロード、ロバ。お願いだから、ひからびてほしい。

吉本隆明が死んだ。

2012-03-16 | 思想
吉本隆明が死んだ。87歳。 いつかは死ぬかと思ってたけど、 まさか、もう来るとは。 メディアでは「知の巨人」なんて呼ばれてたけど、 普通に「イイおじいちゃん」というイメージで、 大学3回生の頃からその著作に親しむようになった。 それで、ずっと吉本隆明の追悼関連の記事を求めて、 ネットをさまよっていた。 * 宮台真司 「吉本隆明の思想と限界」 2012.03.16 宮台さんの話は、 吉 . . . 本文を読む

単独者の連帯は擬似的なもの。

2012-02-27 | 思想
吉本隆明が語る、 「単独者の連帯」(フーコー)の意味。 ***** 同性愛者っていうものの連帯性、 あるいは同性愛者の本質は単独者だ、と。 その場合の単独者っていうのは、 個人主義的個人というのとはちょっと概念が違って、 最後まで単独者なんですね。 ペアにはどうしてもならない。 ペアになったとしても、擬似的になるというだけ。 (大塚英志、吉本隆明『だいたいでいいじゃない』より) *** . . . 本文を読む

「子どもにかまってたら大変」。

2012-02-05 | 思想
まず、親は子どもに対して、 「これ(子ども)にかまってたら大変」 という思いが、 どこかにあるんじゃないでしょうか。 つまり、どこかに都合よく 子どもの面倒を見てくれるところがないかと、 親は思っているんだと思います。 とにかく子どもがそこにいる間、 親は「自分の手がかからない」。 誰もそう言わないかもしれませんが、 それが本音じゃないでしょうか。 学校の先生に 教育のすべてを委ねてしまう . . . 本文を読む

高度経済成長と動物化。

2012-01-19 | 思想
田原総一朗、東浩紀 http://www.ustream.tv/recorded/19316059 『一般意志2.0』についての対話。 いろいろ面白い話が満載なんでぜひ見てほしいんだけど、 ここではいろいろ思ったことのひとつについて。 ■ 高度経済成長期の日本って 「欲求」が商品という形で目の前にあったから 動物化するのが容易だったんだけど、 その一方で「欲望」がなかったんじゃないかし . . . 本文を読む

〈拡張現実〉よりも、〈添加現実〉。

2012-01-13 | 思想
〈Augmented Reality〉(略してAR)は、 宇野常寛『リトル・ピープルの時代』では 〈拡張現実〉って訳されてるけど、 平野啓一郎の『ドーン』では 〈添加現実〉って訳が当ててある。 ***** AR(Augmented Reality)を「拡張現実」と訳すことには、 それなりの歴史があるのだと思うが、 意味的に今ひとつピンと来ないので、 『ドーン』ではあえて、「添加現実」とい . . . 本文を読む

世界観哲学=自分の考えを述べる哲学。

2012-01-03 | 思想
カントからフッサール、ハイデッガーに至る面々は、 哲学者、フィロソファーであって、 哲学という学問をやっている。 ニーチェやキルケゴールになると、 これは学問をやっているというより、 自分の考えを述べている人たちである。 フッサールは、 前者を科学の基礎としての哲学、 後者を「世界観哲学」と呼んで区別した。 (小谷野敦『評論家入門』より) ***** 世界観哲学・・・。 「世界観学」と . . . 本文を読む

自動機械としての身体とその名前。

2011-12-29 | 思想
宮沢賢治的な言い方をすれば、 人間も自然の一部だ というふうな理解のしかたを徹底していきますと、 身体は、 あるリズムといいましょうか、 ある独特な時間の反復をもっている自然物といいましょうか、 天然物といいましょうか、 そういうものに全部還元されていってしまう ということになるような気がするんです。 (吉本隆明+芹沢俊介『宗教の最終のすがた オウム事件の解決』より) 自動機械としての身 . . . 本文を読む

社会が分裂病的だから。

2011-12-28 | 思想
「病人が自己の世界を機械化するのは、 彼が分裂病的宇宙を投影し、 そこで自己を見失うからだ というのは馬鹿げたことであろう。 彼が分裂病者であるというのさえ誤りである」。 (フーコー『精神疾患と心理学』より) 病人が分裂病的なふるまいをするのは、 社会が分裂病的だからなのである。 西洋の近代の資本主義社会は、 経済的および社会的な条件において、 人間に分裂を強いている。 人間は言語を持 . . . 本文を読む

フーコーの好きなところ。

2011-12-24 | 思想
フーコーの何が好きかって、 思想より何より、あの見た目ですよ。 こんな魅力的なルックスの哲学者を、 ぼくは他に知らない。 かっこいいハゲ。 セクシーハゲ。 爽やかハゲ。 フーコーの『言葉と物』が フランスでバカ売れしたのも 彼のルックスに起因すると思う。 フーコーはメディアに自分を映すのがすごくうまい。 「演じてる」感じが文学的で好き。 哲学者のくせに。 . . . 本文を読む

で、どっちが好き? というのが決断なんですよね

2011-12-20 | 思想
なんというか…… ここ10年くらいでみんな 「つっこみ力」ばかりが上がっちゃったんですよね。 学者も、マルクス主義消滅後のリベラルは、 みな「つっこみ知識人」と化したわけですよ。 ネットはその作法を体現してしまっている 「リベラルな空間」であるともいえて、 つっこみ力だけが上がっている。 あまりいい喩えではないけど、 たとえばここに二人の異性がいるとして、 この人と結婚すればこういう人生になる . . . 本文を読む

じつは鏡に写った自分自身のような相手としか コミュニケーションできない

2011-12-20 | 思想
喋ってみて喧嘩別れして、 「お前なんかと二度と会うか。知らん」 でいいんですよ。 それでもそういう人がいた、 ということはわかるわけだから。 みんな対等に同じような生活環境を享受しているのだからわかりあえるはずだ、 という間違った幻想がばらまかれてしまった。 そもそもリベラルの人たちって 「社交的」で「無限の他者に開かれている」とか言っているだけで、 彼らほど「他者」に弱い人はいないですよ。 . . . 本文を読む

きっちり調べ上げた上でないと何も言ってはいけないのか?

2011-12-20 | 思想
政府の透明性をいかに確保するのかなどとは また別の問題として、 コメント力をいかに高めていくのか。 つまらない例ですが、 昨日、自転車についてちょっとツイートしたら 「お前は自転車について詳しいのか」 と絡まれてしまったんです。 しかしながら自転車の安全性について、 きっちり調べ上げた上でないと何も言ってはいけないのか? ぼくも昔は自転車乗っていたのに? とか思うわけです。 「一般意志2.0 . . . 本文を読む

狂人レンツ、分裂症。

2011-12-18 | 思想
一切は機械をなしている。 天空諸機械。 天の星々や空の虹。 アルプス諸機械。 これらの機械は、 レンツの身体のさまざまの機械と 連結している。 ここにあるのは 機械のたえまなく唸る音。 (ドゥルーズ『アンチ・オイディプス』より) 自然は、機械みたいに、 人間の意志とは関係なしに動いている。 分裂し、狂ってくレンツの体は、 部品みたいに、 自然の中に組み込まれていく。 関連記事: 自動機 . . . 本文を読む

ブルレちゃん。1

2011-12-16 | 思想
ジゼル・ブルレの 『音楽創造の美学』がおもしろい。 「創造行為ってのはさー、 パッと音を聞いた感じをさー、 それを感じてる自分の根っこのところまでさー、 さかのぼってくことなのよねー。 批判的反省がないんだったらムリなのよそんなのはー」 (CV:マツコ・デラックス) 「ホントに独創的な作品を作りたいんだったらさー、 作曲家はさー、自分用の音響素材ってのをさー、 作らなきゃダメだと思うのよー。 . . . 本文を読む

「倫理」の圧倒的なインフレ。

2011-12-15 | 思想
90年代、ぼくが思想家として活動を始めたときに、 時代はすでにポストモダンから、 いわゆるカルチュラル・スタディーズや ポストコロニアルなど、 左翼的な、きわめて政治性の高いものに移っていた。 そこでぼくが見たものは、 ぼくの直接の指導教官が高橋哲哉氏だった ということも大きいのですが、 「倫理」の圧倒的なインフレだったんですよね。 たとえば高橋氏は 「無限の他者に対して無限に謝るべきだ」 と . . . 本文を読む