ひからびろ 3.0

密かに輝くラクダとビロード、ロバ。お願いだから、ひからびてほしい。

〈形式〉はあくまでも〈表現〉のための手段でしかない

2012-02-06 | 常々
〈表現形式〉と〈表現内容〉というのは 芸術においてよく話題にされるものの一つですが、 やはり「芸術」「天才」という概念が成立した 18~19世紀以降、 〈形式〉はあくまでも〈表現〉のための手段でしかない という考え方が支配的のようです。 . . . 本文を読む

子どもか二流か年寄りか。

2012-02-02 | 常々
世界は ある幼い神が創ろうとして果たさなかった 最初の試作品である。 彼は自らの半端な仕事ぶりを恥じて 投げ出してしまったのだ。 それとも、 それは半人前で二流の神の作品で、 先輩たちの嘲笑の的になったものだ。 さもなければ、 それは年寄って耄碌したヨボヨボ神の製品で、 その神の死後もまだ生き残っている……。 (ヒューム『自然宗教に関する対話』より) ***** 世界の不完全 . . . 本文を読む

小説を書くこと、キャラクターを作ること。

2012-02-01 | 常々
じつは連載の時、 僕は一人のキャラクターに かなりいろいろ悩ませてしまっていたんです。 そうすると、みんな同じ悩みを抱えるようになる。 当たり前です。 だってみんな僕の分身でしかないんだから。 で、これはよくないと思って、 単行本では大修正をしたんですよね。 そのとき、何をやったかというと、 要はキャラクターを当てはめるということなんです。 こいつはこれしか考えてないことにしよう、 あいつはそ . . . 本文を読む

遊びの4要素。

2012-01-27 | 常々
『遊びと人間』 フランスの思想家、 ロジェ・カイヨワによると、 遊びには4つの要素があるという。 1.アゴン Agon (競争) 2.アレア Alea (運) 3.イリンクス Ilinx (眩暈) 4.ミミクリ Mimicry (模擬) 「競争」、「運」は まだ分かりやすいと思うけど、 「模擬」というのは、 たとえばオママゴトみたいなもの。 何かになりきる遊び。 「眩暈」は、 カ . . . 本文を読む

「恥の文化」と私小説。

2012-01-25 | 常々
また、罪の文化では、 罪を犯したものはそれを告白することで 心の重荷を下ろす。 しかし、恥の文化では、 罪を告白しても心は軽くならない、 それどころか悪い行いが世間に知れない限り、 心は悩まないのです。 (http://www.wa.commufa.jp/~anknak/a-kotowaza-12-tsumi.htm) ***** 日本の「私小説」というジャンルは、 基本的に「告白」をす . . . 本文を読む

文学が変わるってそういうことだと思う。

2012-01-22 | 常々
対社会という意味では、 自分は文学者だと思っています。 そして、今の世の中では、 俺は本当にマイノリティに属してるんだな と思うんです。 で、マイノリティの重要さ というのを確信すればするほど、 いかにマジョリティに対して 戦略的にアプローチするかってことを 考えざるをえないんですね。 啓蒙主義的に 「マイノリティのことを尊重しなさい」 とか言っても意味がないし、 そういう中で、マーケットに . . . 本文を読む

「スケベ心」について。

2012-01-19 | 常々
『○○入門』という新書がよくある。 ニーチェ入門 精神分析入門 行動心理学入門 日本近代文学入門 イギリス経済学入門 ドラッカー経営学入門 日本憲法入門 合気道入門 ・・・ 「日本人はやたらと入門書が好き」 みたいな話を、 どっかで聞いたことがあるんだけど、 入門書だけ読んで、 結局、現物には一生当たることがない。 なぜか? はっきり言って、 この手の新書 . . . 本文を読む

批評と小説の違いとか。

2012-01-17 | 常々
例えば今も僕たちはカントを読みますね。 カントの思想それ自体は 単に非科学的だったりするのに、 今も読めるのは、 つまりはその後の二世紀の哲学が カントが作ったコンテクストでの内部で 動いているからです。 だからアクチュアリティがある。 けれども、カントと同世代にいた人間は、 単純に生き残ってないので、 時代を越えて読み直すコンテクストが もう作れないわけです。 そのコンテクストを 複数化する . . . 本文を読む

死を意味付けるミステリー。

2012-01-16 | 常々
そしてこの時期に「推理小説」が生じた背景として、 笠井は第一次世界大戦で生じた 数百万単位の「無意味な死」という事態を挙げ、 戦場にはならなかったアメリカとイギリスでは 特権化された「死」を演出する「本格推理小説」を、 実際に戦場となったドイツでは ハイデガーの死の哲学と 作品ではなくベンヤミンらの推理小説評論を 生み出したとしている。[笠井;1995,1996] (吉野ヒロ子 犯人は告白する . . . 本文を読む

ドストエフスキーの死に顔を描くクラムスコイ。

2012-01-14 | 常々
ドストエフスキーが死んだのは 1881年の1月9日。 それはなんか、なんとなく知ってた気がする。 けど、画家クラムスコイが、 彼の死に顔をスケッチしてたとは知らなかった。 クラムスコイは、 その頃のロシアの権威主義的な画壇に反発して、 生涯、「ふつうの人」しか描かなかった。 もちろんドストエフスキーは天才だ。 けど、この死に顔は、 天才である前に、 彼もまた「ふつうの人」だった . . . 本文を読む

分からなさ自体を分かるということ

2012-01-10 | 常々
読んでいる間だけ、 自分の中で発生する何かが重要だともいう。 それは、 「なぜおれはこんな本を読んでいるんだ」 という、身もふたもない問いかけだ。 「自分と向かい合うこと。 世界は簡単な輪郭で描けるものではないという、 分からなさ自体を分かるということです」 (宮沢章夫さんと読む「資本論」(上) BOOK asahi.com http://goo.gl/xSO3Z) 「世 . . . 本文を読む

認知的不協和、にんちてき、ふきょうわ。

2012-01-04 | 常々
認知的不協和 現実と願望との間で、 矛盾が生じたりした場合に、 「それは意味のあることなのだ」 と、現実を捻じ曲げてでも理由付けをし、 肯定しようとする「精神防衛機構」のこと。 だそうな。 ↓ここの文章で初めて知った。 (自殺しない回路 http://jrptls.web.fc2.com/column/005.html) 「認知」というのは、 「物事を把握すること」みたいな意味 . . . 本文を読む

エロティックなのは、出現―消滅の演出である。

2012-01-04 | 常々
身体の中で最もエロティックなのは、 衣服が口を開けている所ではなかろうか。 (ロラン・バルト『テクストの快楽』より) ここだけ読むと、 バルトがものすごいエロオヤジみたいだけど、 別にそういうわけではない(いや分からないけど)。 『テクストの快楽』というタイトルからも分かるように、 バルトが語ろうとしているのは、 〈快楽そのもの〉であって、 〈快楽に身を任せること〉ではないからだ。 ここ . . . 本文を読む

創造性の無い政治・学問・芸術は悲惨です。

2011-12-26 | 常々
一つの文明が繁栄している時には必ず分業化が進みます。 繁栄している時というのは、価値観も社会システムも文化も定まっています。 身分や収入も安定しています。つまり変化は必要ありません。 変化がない時には、なるべく細かく分業して励みます。 その方が楽だし、効率が良いからです。 分業化するほど一人の人が出来る仕事は狭くなりますから、 他人への依存度は高まり、経済は大きくなります。 仕事だけではなく、 . . . 本文を読む